インドネシア全34州の旅 #10 
リアウ諸島州 
最北端の島の1つ。石群が織りなす造形。

文・写真…鍋山俊雄

 インドネシアの西端はサバン、東端はメラウケ。さて、インドネシアの最北端はどこか? 多数の島があるインドネシアならではの論争だが、第1回でご紹介した北スラウェシ州メロングアネのさらに北に位置し、昨年に空港が出来たミアンガス島か、西端アチェ州のサバンのあるウェー島のどちらか、というところか。そして今回ご紹介するリアウ諸島州の大ナトゥナ島(Pulau Natuna Besar)もまた、インドネシアの最北端地域に属する島の1つだ。

 広大なインドネシアの地図を眺める時、ジャカルタにいる私たちは、当然ながらジャカルタを中心にして、サバンからメラウケまでを見渡す地図を基本とする。しかし、大ナトゥナ島が中心になるように地図を動かすと、その風景は大きく異なって見える。ジャカルタははるか南方になり、四方をマレーシア、ブルネイ、シンガポール、ベトナム、タイ、カンボジアに囲まれ、それらの国々に海を越えてアクセスできる位置にある。
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 島から北へ向かえばベトナム、東西はマレーシア。島内でも、特にマレーシアとの交易は多く、市内のスーパーにもマレーシア産の製品は多く見られた。中国や東南アジア諸国に対して領海上でも重要な地域であり、国境警備のインドネシア国軍が駐留している。ジョコ・ウィドド大統領も何度か訪問している。

 大ナトゥナ島へは、ジャカルタからはバタム島経由でウイングエアーが毎日就航しており、アクセスは悪くない。3連休を利用した弾丸ツアーも十分、可能である。

 乗り継ぎ時間の少ないバタムでの接続のため、オンタイムでのバタム着を祈りながら、早朝にジャカルタを出発した。無事、バタムでウイングエアーに乗り換えると、今度はひたすら海上を飛び続け、約1時間半で、軍共用のラナイ空港に到着した。
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 この島の中心は、島東部にある空港周辺の街ラナイ。あらかじめ旅仲間に紹介してもらっていた地元の運転手と合流し、昼食後に島巡りを始めようと思ったら、あいにくの雨が降り出した。

 ラナイから海岸線に沿って島の南端まで行く計画だったが、雨の中での見学となった。「Batu Madu(はちみつ石)」、「Batu Kasah(敷物石)」と呼ばれる大きな石がモニュメントのように横たわる海岸を散策した。晴れていれば南端の港から付近の小島にも渡ろうと考えていたが、断念し、夕方早々に宿に戻った。

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最終日に再訪した「Batu Madu(はちみつ石)」


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海岸に横たわる「Batu Kasah(敷物石)」

 翌日は朝から晴れ渡り、今度は北に向かって車を走らせる。主目的は、この島北部の石の名所、 「Batu Kapal(船石)」、「Batu Sindu(スプーン石)」、そして「Alif Stone Park(アリフ石公園)」の3カ所だ。

 山を背景に映える街外れの「ナトゥナ・モスク」を越えて、最初に到着したのは、まるで周りの民家を守るようにたたずむ「Batu Kapal」。

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大きな石に家が寄生しているような、「Batu Kapal(船石)」の全景


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 大きな石の周りに民家が取り囲むように立っており、座り込んだ大きな動物に家が寄生しているかのような、不思議な風景だ。石は砂浜にあるので、一部の家は水上家屋になっている。外国人の訪問が珍しいらしく、例によって興味津々の子供たちが集まって来て、写真撮影大会となった。
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 次の「Batu Sindu」は、その石の所まで行くのではなく、高台から眺めるのが良いとのこと。天気も良く、絶景を楽しめた。
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 さらに北上すると、ブリトゥン島のゴロゴロ石の海岸と同じような風景が広がる。立ち寄ったのは「Alif Stone Park」という、個人オーナーが岩場を利用してホテルを建設した小公園だ。
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 空港から車で1時間以上かかるため、ちょっと遠いが、石を利用した部屋はなかなか面白く、庭(海岸)に広がる大小さまざまな石群を眺めることができる。石には、木やコンクリートで道や橋が架けられている。便利な反面、人工的な部分が自然景観を少し変えてしまう。しかし、なかなかユニークな試みだと思う。
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 この公園を過ぎた辺りから、また雲行きが怪しくなってきた。どうやら、到着日もそうだったが、午前中は晴れて午後から夕方までは雨、というパターンらしい。この後はひたすら海岸線に沿って車を走らせ、約2時間かけて島の北端に向かった。所々に小さな村はあるが、あまり人が住んでいない地域のようだ。海沿い、岸と草原の間のドライブが続く。

 北端に近付くにつれて、国軍の駐屯地や戦車の演習場が見えてきた。数十台はあろうか、多数の戦車にカバーがかけられている。今まで訪問した地域の中でも、国軍の駐留自体は珍しくないが、このように軍事車両を大量に見るのは初めてだった。野原にも所々、演習場を示す色付きの旗がはためいていた。
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 ようやく到着した北端の小さな村、タンジュン・ブトン(Tanjung Buton)では、海岸に長く伸びた船着場の両脇に水上家屋がある。皆、漁師の家だそうだ。目前には、細長く広がったパンジャン島(Pulau Panjan)と青い海。
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 降り出した小雨の中を3時間かけて、またラナイの街に戻った。あまり見る所のない街中だったが、県庁を中心にした官公庁街(建設予定地)を見に行った。国境警備のために、軍事・港湾施設が今後、建設されることになっており、行政機関も強化されていくようだ。広大な山肌の麓に新しく出来た県庁から見下ろすメインの通りの両脇は、まだ野原だが、今後、行政機関のオフィスが建築されていくらしい。

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県庁と、その前に広がる広大な敷地


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県庁ビルから見たメインの通り。まだ野原

 3日目は出発便が昼だったので、運転手に頼み、初日に雨中での見学となったBatu Madu、Batu Kasahをもう一度、見に行った。

「Batu Madu(はちみつ石)」
この岩群に蜂が巣を作っていたのが名前の由来らしい


 街から車で1時間、Batu Kasahから空港までも1時間の距離だったので、午前7時に出れば同11時には空港に着ける予定だ。最後の目的地のBatu Kasahは街外れで民家も車通りもほとんどない所。そこで、前日の雨で水が溜まった悪路でタイヤが滑り、車が動かなくなってしまった。

 運転手にオーナーまで連絡してもらい、代車をよこしてもらうようにしたが、代車が到着するまでは1時間かかる。そして空港まで1時間。まだ飛行機には間に合う時間だったが、何かほかの手がないかと考えていたら、100メートルほど先の路地にバイクが1台停まって、おじさんが何か作業をしていた。これは、とばかりに頼み込んでバイクを貸してもらい、運転手にオジェックをしてもらって空港まで運んでもらった。一人旅の身軽さゆえのラッキーだったが、道路状態が安定していない離島での移動では、用意周到に行動しよう、と改めて誓った旅であった。
 
 
鍋山俊雄(なべやま・としお)
インドネシアに在住期間は計10年になる。仕事でジャワ、カリマンタン、スマトラへの出張が多いことに加えて、「週末弾丸トラベラー」としてインドネシア各地を放浪し、全34州を訪問した。
 
 
インドネシア全34州の旅バックナンバー
#0 空港
#1 北スラウェシ州 インドネシアの最北端?
#2 アチェ州 インドネシア0キロ地点と津波の跡
#3 ブンクル州 英国の砦、スカルノの足跡
#4 南カリマンタン州 川の街の水上マーケット
#5 バンテン州 バンテン王国跡へ、列車の旅
#6 西カリマンタン州 春分の日に赤道へ 影がなくなった!
#7 南東スラウェシ州(上) 波の音しか聞こえない、ぜいたくな空間
#8 南東スラウェシ州(下) インドネシア最大級、ブトン王国の城壁都市。
#9 バンカ・ブリトゥン州 アホック前知事の故郷、「ラスカル・プランギ」の島。

西宮奈央さんのMASAK KIRA-KIRA 
#11 ラープ

 「旅先で出会ったおいしい物の再現レシピ」、今回ご紹介するのはラープ(ゆで肉とハーブのサラダ)です。初めてラープを食べたのは、ラオスに行った時。もち米と一緒に出された肉のさっぱりしたサラダにテンションが上がりました。魚醤のうまみとライムの酸味、そしてハーブの香りを生かしたサラダは、インドネシアでは出会わない味です。その後、タイでも何度か食べる機会がありました。材料を見て、「これならインドネシアでも作れる」と思って作って以来、わが家の定番になっています。

 サラダですから、味見をしながら自分の舌が「おいしい」と思う配合で、自由に作ってみてください。感覚で作った方がおいしく出来たりするものです。肉も、牛でも鶏でも豚でも、何でもおいしく出来ます。

 バンコクでは生肉のラープを食べたこともありますが、生肉の代わりに刺身をざっくりたたいて作ってもおいしいです。

 使うハーブはお好みですが、私は「ラープのカギはミントにあり」と思っています。フレッシュミントをたっぷり使ってみてください。

 手間は、米を炒るところ、肉をたたくところだけ。 肉は、ある程度の食感を残した粗挽きぐらいの大きさがおいしいので、ひき肉は使わず、一手間かけましょう。あとは、材料をざっと混ぜて出来上がりです。肉のぎゅっとした歯ごたえ、炒り米のプチプチ感、そしてハーブのさわやかさで、ご飯が進む一皿になります。
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材料(2〜3人分)
お好みの肉(脂質の少ない赤身) daging merah (sapi/ayam/babi) 250g
生米(あれば餅米) beras ketan 大さじ1
シャロット bawang merah 3〜4個
レモングラス serai 1本
フレッシュ・チリ cabe rawit お好みで1本〜

  ライム果汁 jeruk nipis diperas 大さじ2
① ナンプラー kecap ikan 大さじ1/2
  パームシュガー gula palem 1つまみ

お好みのハーブ(ミント、パクチー、ワケギ等) herb (mint, daun ketumbar, daun bawang, dll) 適量

作り方
1.生米をフライパンなどで、から煎りする。きつね色になったら、すり鉢などですり潰す。少し粒を残した方が、食感が良い。
2.肉を粗く刻む。鍋にたっぷりの湯(分量外)を沸かし、刻んだ肉をゆでる。色が変わって火が通ったら湯を切り、あら熱を取っておく。
3.レモングラスは外側の硬い何枚かを剥がしてから、みじん切りにする。フレッシュ・チリもみじん切りにし、①と混ぜる。
4.あら熱の取れた肉と3を和え、炒り米、お好みのハーブを加えて、ざっと混ぜる。
 
 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA西宮奈央(にしみや・なお)
イギリス出身の写真家の夫とバンドン在住。ご飯は食べるのも作るのも大好き。インドネシアで簡単に作れる料理をご紹介します。
 
 
 
 
西宮奈央さんのMASAK KIRA-KIRA バックナンバー
#1 イチゴとクマンギのシャーベット
#2 ココナッツ・レモン・チキン
#3 ソムタム2種
#4 パン粉のスープ
#5 花椒風味の中華風チキン
#6 キャロット・ジンジャー・ケーキ
#7 タンドリー風の焼き魚
#8 桜色のビーツのペスト
#9 チェコ風ジャガ芋のパンケーキ

ミレニアルの肖像 
Zola Yoana (32) 
結婚仲介人

10_zola_DSCF4809ゾラ・ヨアナ
1984年、スマラン生まれ。2013年、米ニューヨークにある結婚仲介人学校(Matchmaking School)を卒業。インドネシアに帰国後、結婚仲介を行うHeart Inc.を立ち上げる。恋愛問題のエクスパートとして、テレビやラジオにも出演。

 
 
 インドネシア語ではmak comblang(仲人)、英語ではmatchmaker。英語の方が格好いいですよね(笑)。

 高校生のころから「カップルを作る」のが得意で、「話を聞くのがうまい」とか「最も的確な解決策を示してくれる」と言われていました。多分、直感が優れていたのでしょう。そこで、マッチメーカー、結婚仲介人になることが、自分のやりたいことだ、と感じました。

 中途半端は嫌だったので、米ニューヨークの専門学校へ2年間、通いました。父はもう亡くなっており、一人っ子でしたので、母1人を置いて行くのは辛かったのですが。学校では結婚仲介のことだけでなく、経営や心理学などを幅広く学びました。インドネシアに帰ってから、「Heart Inc.」というお見合いの会社を立ち上げました。

 これは、結婚紹介のオンラインサイトではありません。私自身が選んだ会員の中から、結婚相手の紹介を行います。会員の条件は、女性は24〜27歳、男性は30〜50歳、安定した収入があること。結婚相手の紹介料は2000〜3000ドルです。生涯の伴侶を得る幸せに比べたら、いかほどのものでしょうか。

 現在の会員は約1000人で、6割が女性、4割が男性です。米国、日本、シンガポール、オーストラリア、欧州などの海外の方とのお見合いもアレンジできます。

 世界は愛に満ちています。結婚相手には必ず巡り会えるものですよ。

10_zola_heartincimageHeart Inc.
結婚仲介のほか、デート・コーチング、メイクのコンサルティングなども行う。
http://www.heart-inc.co
 
 
バックナンバー
<特集>ミレニアルの肖像 イントロダクション
Yohana Irawan (29)実業家
Kiki Febriyanti (30)ドキュメンタリー映画監督
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