【インドネシア居残り交換日記】 
Day 19 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 
2020年5月24日~29日 魚づくしごはん

レバランの休みはどこへも行けず、いつものごとく釣りでした。
爆発的な感染者や死者の増加が見られないのはええことですが、先の見えないトンネルで幅が狭まって行く中を進む感じ。
それでいて、なんか慣れみたいのものが生じてきて、こんなんでええんやろかと。

 

24日の日曜日ですが、いきなりトラブル。
船長が寝坊した上に、船外機をチョーク使わずに、セルモーターをぱかぱか回して始動不能に。
2サイクル船外機なんで、そらあプラグかぶってしまいますわな。
そんなことで1時間遅れの出発。

 

前回は私のいる島から東のレンバタ島を目指しましたが、今回は西へ。
ソロール島とフローレス島の間の水道を抜けたとこに複数の無人島が点在し、そこを片端から叩く寸法。

左から山羊島、灯台島、箱島

まずは灯台島。
水道の出口に位置して、水道から吐き出される潮がまともにぶつかる島。
水深もそんなに深くなく、前回にロウニンアジを釣ったスワンギ島に似てます。

しかし遅刻が響いたか、到着した時にはすでに潮が緩んでいる。
何度か流してルアーを投げるが反応なし。
まあ水温もさらに下がってるし仕方ない。

 

隣の箱島に移動。

ここは水深がやや深く、キャスティングでロウニンアジも釣れますが、
メタルジグという鉛のルアーを沈めてやるジギングでの実績が高い。
水温低下で、ロウニンアジの表層への反応が悪くなったのと引き換えに、
こないだアリ船長に釣られてしまったカンパチが浅場に来てるのでないかと期待。
本日の大本命ポイントです。
が、何もナシ。
アタリ一つナシ。

 

ここで私の脳裏に響き渡る蛍の光

本日は南西海域ポイントにご来訪いただき、誠にありがとうございます。
当ポイントはただいまをもって終了の時間となりました。
次の大潮の日曜日、お魚一同、アングラーの皆様のご来訪を心よりお持ちいたしております。
チャラ~ラ~ラ、ラ~ラ~♪

脳内ラジカセが前職の時にさんざん聞いた蛍の光とアナウンスを流し出す。

 

箱島を見切って山羊島へ。

山羊島

無人島群ではいちばん大きい島。
キャスティングのロウニンアジもジギングの実績も十分アリ、
私のイソマグロの自己記録はこの島で揚げた。
しかし!
ここ最近は箱島や灯台島に比べて全然釣れなく、もう一つの鮫島に向かう前、
いい潮が流れるまでの時間つぶしポイントに落ちぶれていた。

その鮫島は水深が浅くてキャスティングオンリー。
水温が下がっている中、箱島スカったら後がない。

蛍の光が流れる理由である。

 

テンション下がりまくりで山羊島に到着。
そして釣り開始。

だが。

あれ?

潮が流れている。

それも釣れる向きに。

これは?

と100Mラインを一生懸命シャクる。

そこにアタリ。

底近くで掛けたので無理やり出る糸を止めて強引なファイト。
おそらく掛かってるのはアレ。

来たっ、ヒレナガカンパチ

無事に揚がってきたのは予想通りヒレナガカンパチ。
それも丸々肥えたやつ。
これはおいしそう。
前回のアリ船長のカンパチもホントは食べたかったのだ。

船長にヒット


その直後に寝坊船長にヒット。
アリ船長ほど慣れておらずに、ぎこちない手付きだが、オオクチイシチビキを釣り上げる。

オオクチイシチビキ

その次は私。
これもラインを止める強引なファイト。
三度目の反転を止めたとこで軽くなってしまった。
強引すぎたか?と回収すると、鉤素がざっくり切られてた。
これはイソマグロに飲まれて、その歯でやられたか?

新しいジグを付けて投入。

すぐに来た。

今度は無事に確保。

キツネフエフキだ!

キツネフエフキ

口吻の長いフエフキダイの仲間。
○○タイという和名の付いた魚は多く、
インドネシアでも結構釣れる。
そういう○○ダイで、私がインドネシアで釣った中で、二番目においしいのがキツネフエフキ(一番は、めったに釣れないが、ナミフエダイ)。
カンパチといい、おいしい魚が続いて一気に上るテンション。

 

もうここで帰っても良かったが、ここまで来たらと鮫島へ。

鮫島は広がる浅瀬に3つほどの岩礁が顔を出しているポイントで、
ここはロウニンアジ狙いオンリー。

でも今日はだめだろとルアー投げているとアタリ。

でもこれは乗らない。

しばらくして来る。

これは乗った。

小さいらしいので一気に寄せる。

やはり小さかった。

ロウニンアジ

その後、もう一度当たったが、それは針ハズレでバラす。

しかし、釣れた後なんで、気落ちせずに、にこやかに帰路へ。

もう心の中は食べることしかない。

 

帰って後片付けをして温泉に入って、
その後にビール飲みながら釣ったばかりの新鮮な魚を

ってことはしない。

これは人それぞれかもしれないが、釣りたての魚って、おいしいとはあまり思わないので。
カツオくらいかな?すぐに食べるのは。

釣りたての魚で食べて際立つのは歯ごたえ。
コリコリ。シコシコってやつですな。
その歯ごたえを私はあんまり重視しないので。
それよりも大事なのはうまみでしょうと。
となると、少し冷蔵庫で寝かして、うまみの増した魚の方がおいしいと思う。
そういうわけで、この日は解体して出たアラを煮付けにしていただく。

アラの煮付け(手前)

5月25日(月)
晩飯に刺身でなく、しゃぶしゃぶにした。
まだ生臭さが残ってるので。
幸いにも市場で白菜が出回っているシーズンなんで、それもたっぷり入れた。

しゃぶしゃぶの材料。魚の上がカンパチ、下がキツネフエフキ

カンパチは近縁種のブリに似た味だが、あのクセが薄くて脂が実においしい。
キツネフエフキは白身だが、身がしっかりしてるのがいい。

灯油コンロ持ち込み、力技しゃぶしゃぶ

これら2種類のお魚を十分に堪能した後に、
ご飯を投入して、さらに生卵をぶちこんでおじやに。
うどんとどっちにするか迷ったが、おいしかった。

 

5月26日(火)
この日ようやく刺身。
湯霜造りにして頂きます。
魚のおいしいのは皮なんで、刺身といえども捨てるのはちともったいないし。

 

5月27日(水)
次の日も刺身。
手を加えて、キツネフエフキを酢じめ。
キツネはこうやって食べるのが一番うまいと思う。
カンパチも酢じめにしてもよかったが、ヅケにした。

カンパチのヅケとキツネフエフキの酢じめ

酢じめ、ヅケは、軟らかくて水っぽい南の魚も締まって化けるので、覚えておくと損はないです。
ビールが進む進む。

 

5月28日(木)
やっとやっとオーソドックスに刺身。

普通にわさび醤油でいただきました。
しっかり寝かしただけあって、カンパチの腹の脂が甘くてうまい。
キツネもニピス(jeruk nipis)汁を少し垂らして食うと、カンパチの脂と対比する爽やかさが活きて、実によろしい。

 

5月29日(金)
連日食べても一人なんで、まだまだ冷蔵庫にあるサク。
カルパッチョやセビチェにフエと生食ネタはまだあるけど、ええかげんに飽きてくるので打ち止め。
残りは味噌漬けにして冷凍保存に。

味噌漬けに


この日の晩飯はそれを焼いたの。

味噌漬け焼き

こういうのはサワラが最高だが、カンパチやキツネフエフキ、またはハタなんかも悪くない。

魚と醤油がもっとあれば、タレに漬けてタレごと冷凍保存して、照り焼きにしても良かったんですがね。
ぜいたくは言うまい。

と、楽しく遊んでおいしく頂くという、釣りをやってて良かったと思える1週間を過ごすことができました。

 

が、

お魚飽きた。

バイク乗りたい。

クパンからバイク乗ってバウンって山中の村にあるお店へ行って、
名物のダギンセイバビ(daging sei babi)食べたい

と思うのはぜいたくですかね?

ダギンセイバビ

 

松下哲也(まつした・てつや)
1995年にインドネシアへ。真珠屋。小物釣師。のんびりライダー。元・無神論者のクリスチャン。東ヌサトゥンガラ在住。

 

【インドネシア居残り交換日記】 
DAY 1 賀集由美子(チレボン) 2020年4月28日 怒濤の「2コマ漫画」マスク作り

DAY 2 横山裕一(ジャカルタ) 2020年4月6日 マスク越しの会話

DAY 3 西川知子(ジャカルタ) 2020年4月19日 とある休日

DAY 4 成瀬潔(バリ) 2020年4月25日 嵐が過ぎるまで

DAY 5 成瀬潔(バリ) 2020年4月26日 飼育係

DAY 6 ダグソト(ジャカルタ) 2020年4月29日 会社にヒョウが出た!

DAY 7 西宮奈央(バンドン) 2020年5月6日  カボチャが採れるころ

DAY 8 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月6日 ジャワの農村バティック

DAY 9 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月9日 子猫を拾った

DAY 10 岸美咲(ソロ) 2020年5月10日 ジャワの芸術家のエネルギー

DAY 11 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 2020年5月10日 日曜の釣り

DAY 12 名取敬(ジャカルタ) 2020年4月某日 任天堂タイム

DAY 13 岡本みどり(ロンボク) 2020年5月10日 断食月の食事

DAY 14 賀集由美子(チレボン) 2020年5月11日 PSBB下でのバティック製作

DAY 15 武部洋子(ジャカルタ) 2020年5月19日 母は日記を書く

DAY 16 西宮奈央(バンドン) 2020年5月13日  バナナチャレンジ

DAY 17 轟英明(チカラン) 2020年3月15日〜5月24日 新しい日常  

DAY 18 名取敬(ジャカルタ) 2020年4月某日 酒とテレビと囲碁タイム                 

【インドネシア居残り交換日記】 
Day 18 名取敬(ジャカルタ) 
2020年4月某日 酒とテレビと囲碁タイム

 数年前からずっと、インドネシアにいる間はステイホームなので、自粛前と自粛後でほとんど生活変わってない、と前回の日記(2020年4月某日 任天堂タイム)でお話ししました。これは仕事にも当てはまるんですね。

 真珠養殖という仕事柄、複数(うちの場合は3カ所)の養殖場はインドネシアの僻地に散らばってます。それぞれの養殖場に責任者が常駐しており、日本の事務所、ジャカルタの役員、各養殖場の責任者および遊軍部隊はチャットのグループで連絡を取り合っていました。

 この幹部チャットグループ以外にも、各養殖場とジャカルタの事務員が加入するインドネシア従業員を中心としたグループがあり、僕は(焼酎片手に)各グループのチャットに目を通し、必要があれば指示・確認するといった日常でした。

 日本の事務所とも10年前からスカイプのビデオ通話での連絡。そんなわけで下半身パンツ一丁のテレワークはお手のもの、すでにベテランの領域です。

 さて本題、前回の続きです。当然、毎日同じ生活のルーティンなので、前回同様、3月から5月のうちのどこかの1日と思ってお読みください。

。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。。

 気持ち良く運動してシャワーを浴びたら、Tシャツを着替えて、「あつまれどうぶつの森」をプレーしながら焼酎開始。こうなると寝落ちするまで延々と焼酎タイム。外で飲んでいるとしゃべり続けているので眠くならないのだが、家だとすぐウトウトし出す。年齢のせいもあるのだろうか。

 以前は日本から紙パックを持ち込んだり、定期的にSAL便で紙パックをインドネシアに送っていた。そんな時代が懐かしい。税関の担当者に頼んで検査を緩くしてもらってたっけ。当時は一升の紙パックの安い銘柄が1000円ちょい、送料は12本で1万5000円程度。輸入時に若干お金を払うけど、トータルコストは1本当たり2500円くらいだったと思う。

 そんな第一次焼酎天国は税関の上司が替わるまで。新しい上司は監視が厳しく不可。それからしばらくは、アラックを試してみたりしたものの、酒漬けとはほど遠い健康的な日々。

 そんな僕が再び酒浸りになれたのは、なんといってもバリ島産の焼酎の登場によるもの。1本1リットルの大瓶。(いいちこ等の)四合瓶では1.4本分となるボトルを毎年、正月に240本買っていた。日本に年間90日ぐらいいるので、ほとんど1日1本のペース。ちゃんと年末になくなるのが毎年不思議だった。

バリ島産焼酎


もちろん、ケース(12本)買い

 最近は半分程度にまで節酒していたんだけど、今回のステイホームでまた酒量が大幅にアップ。今年は早々になくなりそうで、もう一度注文が必要になりそう(注文方法は文末を参照)。

 つまみは大好物のポップコーン。飲んだらほとんど食べないので、塩を舐めているだけでも永遠に飲めるんだけど、ちょっとした贅沢はふりかけ。かさばらないので日本からたくさん、持って来る。業務で荷物を送る必要がある時にも隙間に詰め込んでもらうようにしている。いろんな味があって飽きないし、「おとなのふりかけ」なんて最高の贅沢。まあ塩よりは栄養もあるだろう(気休めだけど)。

 焼酎の酔いがちょうど良く回ってきたら、テレビタイムかな。自分の机の正面にテレビが2台、ベッドサイドに1台、机の上にはダブルモニターのパソコン、iPhone2つとiPad1つ。目に入るところだけで7台(+任天堂switch)のモニター(トップ写真参照)。

 メインのテレビは大体、録画した番組。サブのテレビに日本のテレビ(ニュースかワイドショー)を無音声で。パソコンではメインモニターでウェブサーフィン、サブでは株の値動きかYouTube。iPadでもテレビの生中継の別チャンネル。

 テレビはもう10年以上、ほぼ全部の番組をハードディスクに録画してあり、数十テラバイトになるだろうか。ドラマもほとんど見尽くしているが、酔っ払ってほとんど内容を覚えてなく、連続ドラマが連続しないのは日常茶飯事。

 そんなテレビ好きにとって残念なのは、近ごろの番組が、ドラマもバラエティーも、コロナのせいで再放送や総集編ばかり。まあこればかりは文句言ってもしょうがない。嫌なことは焼酎飲んで忘れよう。嫌なことばかりでなくほとんどのことは目が覚めると忘れているのだが。

 普段ならこの辺で寝落ちするんだけど、午後から囲碁プロ棋士の対局があるので、ネットでそれを観戦。囲碁は僕の広く浅い趣味のうちの1つ。学生時代は囲碁のアルバイトだけで毎月10万円以上稼いでたっけ。全て酒と競馬に消えてっちゃったけど。

囲碁観戦

 対局観戦は、パソコンのメイン画面で解説を読みながら、サブモニターで対局の様子をライブの動画配信で楽しむ。最近はAIが急速に強くなりプロ棋士を抜いたので、正確な形勢判断はiPadで確認。ちなみに僕は観戦専門で、実際に対局するのは考えるのが面倒くさくて嫌いなのでめったに打たない。スポーツも運動が疲れるので観戦専門なのとおんなじだな。

 さて、対局もいよいよ佳境を迎えるころに寝落ち。ウトウトとして気が付いたころにはとっくに対局は終わってた。あーあ、いつものパターンだ。(次回に続く)

 

バリ産焼酎の注文方法
Ibu AYA(0818-34-7080)にホワッツアップ(WA)かSMSで注文してください。日本語で大丈夫です。料金は1ケース(12本)だと1本25万ルピア(バラだと1本27万ルピア)。焼酎のほかにコーヒー風味、ウーロン風味、アールグレイ風味があり、それぞれ750mlで25万ルピアだそうです。料金のほかに梱包・送料(1月に注文した時は、ジャカルタまで1ケースで20万ルピア弱、北スラウェシで約30万ルピアでした)がかかります。

左から焼酎、コーヒー風味、ウーロン風味

 

名取敬(なとり・たかし) 1993年からインドネシア在住。ペンネーム「びーと」で、1998年から「かたかたインドネシア」を執筆。真珠養殖会社のオーナー社長。

 

「かたかたインドネシア」バックナンバー

かたかたインドネシア #52

かたかたインドネシア #53

かたかたインドネシア #54

かたかたインドネシア #55

かたかたインドネシア #56

かたかたインドネシア #57

 

【特集】私の好きなインドネシアの本  コミュニケーション能力と言葉の能力があれば生きていける。  仲川遥香さん X 名取敬さん、『ガパパ!』を語る

 

【インドネシア居残り交換日記】 
DAY 1 賀集由美子(チレボン) 2020年4月28日 怒濤の「2コマ漫画」マスク作り

DAY 2 横山裕一(ジャカルタ) 2020年4月6日 マスク越しの会話

DAY 3 西川知子(ジャカルタ) 2020年4月19日 とある休日

DAY 4 成瀬潔(バリ) 2020年4月25日 嵐が過ぎるまで

DAY 5 成瀬潔(バリ) 2020年4月26日 飼育係

DAY 6 ダグソト(ジャカルタ) 2020年4月29日 会社にヒョウが出た!

DAY 7 西宮奈央(バンドン) 2020年5月6日  カボチャが採れるころ

DAY 8 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月6日 ジャワの農村バティック

DAY 9 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月9日 子猫を拾った

DAY 10 岸美咲(ソロ) 2020年5月10日 ジャワの芸術家のエネルギー

DAY 11 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 2020年5月10日 日曜の釣り

DAY 12 名取敬(ジャカルタ) 2020年4月某日 任天堂タイム

DAY 13 岡本みどり(ロンボク) 2020年5月10日 断食月の食事

DAY 14 賀集由美子(チレボン) 2020年5月11日 PSBB下でのバティック製作

DAY 15 武部洋子(ジャカルタ) 2020年5月19日 母は日記を書く

DAY 16 西宮奈央(バンドン) 2020年5月13日  バナナチャレンジ

DAY 17 轟英明(チカラン) 2020年3月15日〜5月24日 新しい日常                   

DAY 19 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 2020年5月24日~29日 魚づくしごはん

【インドネシア居残り交換日記】 
Day 17 轟英明(チカラン) 
2020年3月15日〜5月24日 新しい日常

 断食月(ラマダン)でダラダラしていたら、いつの間にかラマダンが終わっていた。「え、この前始まったばかりなのにもうおしまい?!」という感じ。やや非日常だったはずの断食という行為がいつの間にか日常になっていたのは、コロナ・ウイルス禍の中でのそれまでと違う生活リズムが、気付いてみると当たり前になっていたことに似ているかもしれません。

 ともあれ、ラマダンが終わったこの機会に、ここ数カ月で私の身の回りで何が変わり何が変わっていないのか、以下、日記風に書き留めておきたいと思います。

 

3月15日(日) カレー自粛
 インドネシアでの感染者増加中。WA(ホワッツアップ)でコロナ・ウイルス感染者とされる動画が複数、出回っている。路上で倒れていてピクリとも動かないのだが、真偽のほどは不明。こういうセンセーショナルな動画が拡散されやすいのはわかるが、個人的には玉ネギの値段がかつてないほどの高値になっていることの方が気になる。1キロで18万5800ルピアとか、こんなに高くなったことって今まであったっけ?

某スーパーでの値札

 どうやらコロナ禍で大変なことになっている中国からの輸入が滞っているのが原因らしい。しばらく玉ネギをふんだんに使った日本風カレーは自粛なり。

 

3月26日(木) フェーズが変わった
 インドネシアの感染者数が1000人間近。米国や豪州がインドネシア在住の自国民に帰国勧告を出したり、ジャワの地方自治体や村落レベルで独自の封鎖が始まったり、フェーズが明らかに変わってきた。勤務先からも出社と在宅を繰り返す新たな勤務シフトが発表になった。これからどうなるのかなあ。

 

3月27日(金) 近所の人が亡くなる
 同じ居住エリアに住む住人がCOVID-19が原因で亡くなったらしいとの情報が隣組長(Ketua RT)から伝わる。実は亡くなった人の家は、私の自宅から直線距離で100メートルも離れてない。直接の近所付き合いはなかったが、やはり衝撃。ただ、本人には持病があったそうで、「感染疑い」でしかなく、本当のところはわからない。ご家族にWAでお悔やみを伝える。

 

3月28日(土) 水とお祈り
 居住エリア内の公園にCOVID-19への注意喚起を呼び掛ける内容の横断幕がかかっていた。

近所の横断幕。「水とお祈り」に注目

 具体的な対策は常識的なことばかりなのだが、極めてインドネシア的かなと感じたのは、「水を1日コップ8杯飲むこと」「お祈りを忘れずに」。実はアチェ人の妻にも同じことをよく言われている。「健康の秘訣は水をたくさん飲むこと、それに規則正しいお祈り」。聞き流すこともままあったが、ここはちゃんと従うべきだろうなとも思う。

 

4月4日(土) 社会的距離の実践
 商店街へ買い物に行く。薬局やスーパー、コンビニでは、早速、社会的距離を実践する方式になっていて、少し感心。感染者増加中の日本ではどうなのだろう。

薬局ではガラス越しでの接客。手洗い用の水と石けんも置いてある

某スーパーのレジ並び。長蛇の列だが、皆、従っていた

「COVID-19(感染)防止のため、ドアの開閉は肘を使うか肩で押してください」

 

4月18日(土) いよいよラマダン
 ラマダン前の最後の週末ジョギング。「マスクをしましょう」「断食明け大祭(レバラン)帰省は控えましょう」的な内容のバナーが出ていた。さて、どの程度効果が出るのだろうか?

「マスクをしましょう」

「帰省は延期しましょう」

 

4月29日(水) 断食に集中
 ラマダンが始まって数日経った。毎年、体が断食の生活リズムに慣れるのに1週間程度かかるのだが、今年はすんなり移行。在宅勤務をすでに始めていたせいなのか、食生活が以前より規則正しくなり、夜更かしも減っているからかもしれない。

 ラマダン前は、感染者と死者の増加に歯止めがかかりそうもないニュースを連日見ていた影響なのか、不安が高じて寝付けない日もあったものの、断食という行為に集中しているためか、最近は体調良好な感じ。

 

5月2日(土) 玉ネギの値段下がる
 スーパーで買い物。玉ネギが高騰前の価格に戻っていた。1キロ3万5800ルピアで形もいい。それにしても、少し前とはあまりにも極端な価格差。消費者としては安値に越したことはないものの、これでは国内農家が玉ネギを栽培するインセンティブ(誘因)が育ちにくいだろうなとも思った。

某スーパーでの価格(5月初旬撮影)

 

5月6日(水) 猫の帰宅
 10日ほど家出していたわが家の猫がいつの間にか帰宅。ラマダン直前に失踪(?)して、家族みんなで「どこに行ったのかなあ?」と心配していたのだが、本人は素知らぬ顔で、えさをせがむだけ。すでに去勢手術済みだが、カノジョに付いて行って振られたのか、真相は闇の中。まあ戻って来たから良しとします。

わが家の玄関前でいつも控えている、ちょっと太めの猫のサピ。命名は私の息子

 

5月9日(土) 断食明けの食事提供
 ラマダンが始まって以来、居住エリアの住民で資金を出し合って、1日の断食明けのための通行人への食事提供を継続中。今日は妻が当番の日なので様子を見に行く。できれば本当に困っている人だけに優先的に渡したいが、場所が大通りなので、通りがかりのクルマがやって来ても断るのが難しいようだ。

オンライン配車サービスのドライバーが目立った

 

5月10日(日) 週末のサイクリング
 ラマダンも折り返し地点。体調はかなり良好で、今のところ1日も断食の取りこぼしなし。週末は自転車でサイクリングする体力と時間の余裕もあり、体重も3キロ減った。ピーク時は85キロを超えていたが、最近は80キロ前後で推移。もっとも昨年のラマダンでも一時期減ったものの、その後リバウンドで元に戻ってしまったので、レバラン後も運動と規則正しい生活の継続は必須。

 週末なので近所を自転車でサイクリング。クルマもバイクもほとんど走ってないので快適安全なり。放牧中の牛とあちこちで遭遇。コロナ禍の前もこれから先も、彼らの生活は多分変わらない。

草をはむ牛たち。背後に高架高速道路

ジャカルターバンドン間を結ぶ高速鉄道の工事現場。この日は休止中

遠くに新興都市「Meikarta」のマンション群が見える

 チカランではコロナ禍の前からあちこちで建設工事が進行中だったが、基本的に中止になった事業というのはほとんどないようだ。居住エリア内にも建設労働者の寮になっている一軒家がいくつもあるが、人数が減っている様子はうかがえない。当然というべきか三密の状態で、シンガポールのような集団感染が発生しないか非常に心配なのだが……。

高速道路入口での検問

 少し足を延ばして高速道路料金所まで行ってみたところ、警察が検問中だった。ジャカルタ方面行きはフリーパスだが、チカンペック方面行きはかなり入念にチェックしている模様。が、故郷に本気で帰省したい人たちは多分、裏道を通って行くのだろう。

 

5月16日(土) スンバコの準備完了
 妻が買い付けた生活必需品(スンバコ)の配布が準備完了。例年にも増してこれらを必要としている人がいるはずで、少しでも助けになれば幸い。

「スンバコ」と呼ばれる生活必需品

 

5月17日(日) 工場建設は何事もなく進行中
 工業団地方面へサイクリング。韓国の現代自動車工場など、思っていた以上に新規工場建設や増築が何事もなく進行中のようで、ちょっと意外だった。一応、注意喚起の看板はどこでも見るのだが、休憩中の労働者はマスクなしでのんびり談笑していた。

工業団地の入口。一応、検問あり

土木建設労働者を顧客とする移動ワルン

中国系工場の建設現場にて。喫煙所がちゃんと設けられているものの「生命至上」とはこれいかに?と一人ツッコミ

 

5月24日(日) ラマダン明け、オンライン挨拶
 ラマダンは前日夜で終了。1カ月ぶりに昼間の食事を取った。美味。

食卓の上の混沌

 この日の朝は雲一つない快晴で、まさにレバラン晴れ。

自宅2階からの眺め

 日本にいる長女や、妻の故郷であるアチェの親族とZoomやWAでオンラインでの挨拶を交わし、意外と忙しい一日でした。

 

 結局のところ、コロナ禍の前後で大きな生活の変化があったのかと言えば、思ったほどではないというのが実感です。

 もちろん、学校に通っている子供たちへの影響は多々あり、特に高校3年の長女は今後の進路がどうなるか、現時点でもわからない現状です。

 ただ、このモラトリアム期間を通して、子供たちが英語の難しい本を購入したり、電子ピアノの弾き方をアプリだけで覚えてしまったり、お菓子作りに挑戦してみたり、それぞれが模索してくれているのは頼もしい限りで、親としてはもっといろいろやるべきことがあるなあと刺激をもらってます。

工業団地から見る朝焼け

クルマもバイクも牛も人もいない、レバラン時の工業団地内の道

 コロナ禍でさまざまな困難に直面している人たちのことを思いつつ、この美しい空は変わらない「新しい日常」が来ることを祈りながら、筆を置きたいと思います。

 

轟英明(とどろき・ひであき)
初めての海外旅行が1987年のインドネシア。その後は行ったり来たりで、2002年から定住。ジャカルタ郊外の工業地帯チカランに住み始めて、すでに10年経過。インドネシアの近現代史に興味があり、映画オタク。たまにブログもアップしています。https://ahmadhito2017.blogspot.com/

怪しいオジサンではなく筆者近影。賀集由美子さんのペン子ちゃんマスクを愛用してます

 

【インドネシア居残り交換日記】 
DAY 1 賀集由美子(チレボン) 2020年4月28日 怒濤の「2コマ漫画」マスク作り

DAY 2 横山裕一(ジャカルタ) 2020年4月6日 マスク越しの会話

DAY 3 西川知子(ジャカルタ) 2020年4月19日 とある休日

DAY 4 成瀬潔(バリ) 2020年4月25日 嵐が過ぎるまで

DAY 5 成瀬潔(バリ) 2020年4月26日 飼育係

DAY 6 ダグソト(ジャカルタ) 2020年4月29日 会社にヒョウが出た!

DAY 7 西宮奈央(バンドン) 2020年5月6日  カボチャが採れるころ

DAY 8 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月6日 ジャワの農村バティック

DAY 9 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月9日 子猫を拾った

DAY 10 岸美咲(ソロ) 2020年5月10日 ジャワの芸術家のエネルギー

DAY 11 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 2020年5月10日 日曜の釣り

DAY 12 名取敬(ジャカルタ) 2020年4月某日 任天堂タイム

DAY 13 岡本みどり(ロンボク) 2020年5月10日 断食月の食事

DAY 14 賀集由美子(チレボン) 2020年5月11日 PSBB下でのバティック製作

DAY 15 武部洋子(ジャカルタ) 2020年5月19日 母は日記を書く

DAY 16 西宮奈央(バンドン) 2020年5月13日  バナナチャレンジ

DAY 18 名取敬(ジャカルタ) 2020年4月某日 酒とテレビと囲碁タイム

DAY 19 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 2020年5月24日~29日 魚づくしごはん