西宮奈央さんのMASAK KIRA-KIRA 
#13 アボン・イカン

 中部スラウェシの東端にある島々(バンガイ諸島)へ旅行に行った時、そこで出会った料理上手のお母さんに土地の料理を教わりました。口頭で説明してくれたのが、アボン・イカン(Abon Ikan)でした。

 香辛料を使った魚のフレーク。魚のぎゅっとしたうまみに、香辛料のアクセント、全体をまとめるライムの酸味で、ご飯が進むのです。

 地域差は若干ありますが、スラウェシ沿岸部を含め、新鮮な魚が捕れる地域ではよく見かける保存食です。お母さんは、手ごろな魚が手に入ったらまとめて作り、遠方で下宿している息子に送ってあげるのだと話していました。

 その作り方を参考に、もっと簡単に作れるようにと自分で考えたのが、今回ご紹介するレシピです。

 まず、魚。これは、手に入りやすいサバ缶を使ってしまいます。骨まで軟らかいので、小骨の取り残しなどの心配も要りません。鮮魚を使う場合は、マグロ(Tongkol)やカツオ(Cakalang)などを蒸してから、骨と、気になる場合は血合いの部分を取り除いてください。

 ココナッツミルクも、生のココナッツから搾りましたが、市販のパックの物でも構いません。香辛料はフードプロセッサーでペースト状にしてしまいます。

 レシピの辛さはマイルドです。トウガラシの量はお好みで調整してください。

 白いご飯のお供に最適なだけでなく、野菜炒めなどを作る際に適量を加えると、良い風味が出て、食が進みます。

 次回は、このアボン・イカンを使った島のおやつをご紹介します。

材料
サバ缶(正味120g) 2缶


赤トウガラシ(細くて縮れ気味の物)  cabai merah keriting 3本
シャロット(赤小玉ネギ) bawang merah 5個
ニンンク bawang putih 2片
レモングラス(内側の、筋が硬くない部分) serei 1本分
コリアンダーシード ketumbar 小さじ1/2

 

ショウガ jahe 約2センチ
ガランガル lengkuas 約2センチ
ターメリック・パウダー bubuk kunyit 小さじ1/2
ココナッツミルク santan 100cc(「準備」を参照)
炒め油 minyak goreng 大さじ2
ライム果汁 sari jeruk nipis 大さじ2
塩 garam 適量

 

準備
・サバ缶を開け、水気を切っておく。
・ココナッツを搾る。すりおろしたココナッツ約半個分(約200g)に約80ccの水を注ぎ、よく揉み出してから搾った後、漉してカスを取り除く。こうすると、約100ccのココナッツミルクになる。

 

作り方
1.Aの材料を適当な大きさに切ってフードプロセッサーに入れ、ペースト状にする(フードプロセッサーが回りにくい場合は少量の水を加える)。
2.フライパンに油を熱し、1のペーストと、それぞれ皮をむいてからたたいてつぶしたショウガとガランガル、それにターメリック・パウダーを入れて、香り良く炒める。
3.香りが立ったところで、ココナッツミルクと水気を切ったサバを加え、木べらなどでほぐしながらフレーク状に炒める。
4.水分がなくなったら、ショウガとガランガルを取り出し、ライム果汁と塩適量を加えて味を整える。全体がホロホロになったら火を止め、粗熱を取って、出来上がり。

 
 
OLYMPUS DIGITAL CAMERA西宮奈央(にしみや・なお)
イギリス出身の写真家の夫とバンドン在住。ご飯は食べるのも作るのも大好き。インドネシアで簡単に作れる料理をご紹介します。
 
 
 
西宮奈央さんのMASAK KIRA-KIRA バックナンバー
#1 イチゴとクマンギのシャーベット
#2 ココナッツ・レモン・チキン
#3 ソムタム2種
#4 パン粉のスープ
#5 花椒風味の中華風チキン
#6 キャロット・ジンジャー・ケーキ
#7 タンドリー風の焼き魚
#8 桜色のビーツのペスト
#9 チェコ風ジャガ芋のパンケーキ
#10 ナツメヤシのトリュフ
#11 ラープ
#12  キャッサバとココナッツの焼き菓子
#13 3色のスープ

【共愛だより】インフルエンザの予防接種

インフルエンザが流行する季節は、日本では冬。 では、インドネシアで流行する時期はいつなのでしょうか?

 

インドネシアでの流行時期

 北半球は12月ごろ、南半球は7月ごろから3〜4カ月間がインフルエンザの流行時期です。

 ジャカルタは南半球ですが、お正月休みを日本で過ごしてインフルエンザにかかった人がジャカルタに戻り、その方を感染源とし、日本と同じ時期に流行の始まることがあります。

 

薬よりは休養を

 インフルエンザの症状で風邪と違うのは、①急に熱が上がって38°ほどの高熱になる②関節の痛みがあってだるくて起き上がれない——などです。風邪の典型的な症状であるくしゃみ、鼻詰まり、喉の痛み、咳などは、インフルエンザではいつも出るわけではありません。

  寒い所でインフルエンザにかかると、肺炎になりやすくて危険ですが、インドネシアは気温の高い国なので、症状が重篤になる事は少ないです。しっかり休養を取って、治してください。

 また、市販の薬で咳や痰といった風邪の症状を抑えることはできますが、それよりも、早めに医師の診察を受け、さらに体を温めて栄養を摂り、免疫力を高めることが肝要です。

 

4価ワクチンの予防接種

 インフルエンザの予防接種は、子供、高齢者、妊婦のほか、糖尿病や高血圧といった慢性疾患を患っている人にお勧めです。こういった免疫の低い人は、インフルエンザで症状が重篤化しないために、予防接種を受けた方が良いです。

 流行するインフルエンザにはA型とB型があり、世界保健機関(WHO)は毎年、流行しそうなワクチン株を発表します。北半球用ワクチンは10〜11月、南半球用ワクチンは5〜6月に用意されます。北半球用と南半球用で多少の違いはありますが、選定されているワクチン株が同じである場合は、大まかには同じですので、どちらかを受けていれば大丈夫です。

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共愛メディカル・サービスで使用している4価ワクチン。米国からの輸入品

 これまで使われていたのは、A型2種類とB型1種類のワクチン株から作られた「3価ワクチン」。これに対し、「4価ワクチン」とは、A型2種類とB型2種類のワクチン株から作られたもので、より有用性が高くなります。日本では2015〜2016年から使われ始め、共愛メディカル・サービスでも2016〜2017年から導入できるようになりました。

 なお、予防接種をすると2週間ほどで抗体が出来ます。

【編集長日記】ジャカルタで東京喰種を見る

注:原作、映画のネタバレあります

 

 「目」から始まる。いわゆる「普通」の無気力な大学生、カネキの暗い目。事件の後、左目が喰種(グール)の目に変わる。左目を隠した眼帯を着けたカネキ。逆に右目を隠すマスク。最後は、眼帯もマスクも外して両目を見せた、カネキの顔の大写しで終わる。

 どう世界を見るか、という映画の主題と関連付けた、この「目」をはじめとして、グールである笛口さん夫妻の「指輪」と捜査官の真戸呉緒の手袋の中から現れた「指輪」、亜門とカネキの2人が発する同じせりふ「この世界は間違っている」など、対比をたたみかけるようにして並べながら、誰が見てもわかりやすいストーリーにまとめている。

 私の場合、窪田正孝の演技を見ることが映画を見る一番の目的なのだが、窪田君の演技は逆に、それを忘れさせる。あっという間に、ものすごい力で、作品の中へと引きずり込んで来る。

 通常は、原作と自分の想像力によって描く世界が「最高」であり、それを超えることは非常に難しい。窪田君自身もインタビューで、「絵として答えがあるじゃないですか。それを具現化しなきゃいけないっていう苦しさ」(「CUT」2017年3月号)を語っている。しかし、窪田君の演技を見て、自分の想像を凌駕したシーンがいくつもあった。

 例えば、個人的に好きなのは、グールとなり空腹を抱えて街の雑踏をさまようシーン。途中で「食べられる……におい……!」と、ぱっと顔を輝かせて、通行人を突き飛ばして夢中で駆けて行く。この一瞬の感情の変化と行動が、非常にリアルだ。

 予告編で初めて聞いた、「この世界は間違っている」というカネキのせりふも衝撃的だった。原作では、亜門の言った言葉を反芻する、という形での、静かな独白だ。それが、映画では、心の底からわき上がって来るような、押さえられない叫びとして、演じられていた。ここまでの激しさでこのせりふが語られるとは、想像していなかった。

 実は原作を読んだ時、言ってみればただの半グールというだけの存在のカネキがなぜ特別視され、多くの人たちに愛されるのか、その「特別性」が理解できなかった(最初は「半グール」が唯一の存在のように語られるが、その後、次々に半グールが出てくるので、その事実のみでの特別視はできない)。しかし、映画では、カネキが見事に肉付けされて立ち上がって来て、共感できる人物になっている。

 原作では、西尾先輩の彼女・貴未さん、美食家・月山が出て来る辺りから、ヒトとグールのさまざまな関わり方や、グールの性格や個性が明らかになってきて、物語が深まり、面白くなってくる。ヒト側、グール側と、視点がどんどん変わっていき、視点が交錯したり複雑化していくのも作品の魅力。映画は、その面白くなる手前、物語の入口で終わっている。しかし、2時間という枠内ではこれ以上、話を進めるのは無理とも言え、「そつなく、うまくまとめた」という印象だ。

 食べ物で例えると、薄味の和食。繊細で丁寧。ステーキやハンバーグといったわかりやすいメインディッシュがガッツリあるわけではないが、一品一品が美しい。一品の量は少なめ。献立は以下のような感じか。

懐石料理「東京喰種」
■「飯、汁、向付」……喫茶店「あんていく」から始まって、リゼとのデート、夜の公園でリゼに襲われるまでの導入部(簡潔にすべての要素を入れており、スピーディーな展開。リゼ役の蒼井優はさすが!)
■「椀盛」……喰種になってからの苦悩、ヒデを助けるために西尾先輩と戦う(懐石料理のハイライト。個人的には、「喰種になってからの苦悩」が、この映画のハイライトだった)
■「焼物」……笛口さん親子の物語=リョーコさんが真戸に殺害される
■「強肴」……トーカちゃんの復讐=草場を殺害
■「吸物」……カネキがマスクを作り、体を鍛え、戦いに備える
■「八寸」……カネキと亜門の戦い、トーカちゃんと真戸の戦い(海と山のもの2種類を盛り付けた料理)
■「香物」……喫茶店「あんていく」でのヒナミちゃんとの別れ(後味良し)

 全部食べておいしかったのだが、食い足りないので、お代わり! 次(続編)は、肉汁したたる特大ステーキ、または大盛りポーション攻めのイタリアンで食べたい。

 

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