『Cut』2017年3月号の「誰も観てない映画50本」特集で、7月29日公開予定の「東京喰種 トーキョーグール」と窪田君が取り上げられた。窪田君は主人公の金木研(カネキ)を演じる。

 構成は、写真4点(4ページ)、インタビュー2ページ。この4枚の写真に目が吸い寄せられたまま、目を離せなくなってしまった。

 黒い背景に溶け込むような黒っぽい服を着た窪田君。写真はすべて正面向きで、1枚目は手を軽く口元に当てている。2枚目はポットからカップにコーヒーを注ぐところ。3枚目はカップを口につけている。4枚目はコーヒーを注いだカップとポットを抱え込むような仕草。

 動かない写真なのに、完璧に「演じて」いる。カネキがいた。すぐに伝わって来るのは悲しみ、怒り。しかし、ただそれだけではない。それこそ「沼」にも似た、人間の混沌とした感情や思考が、こちらに避ける隙も与えずに真っ直ぐに飛び込んで来るようで、胸の奥がザワザワッとした。写真を通して、自分がただ一人、カネキと向き合い、対峙しているような気がした。

 写真だけでこれだけ訴えかける力があること、せりふも動作もなしで、これだけ演じられることに圧倒された。インタビューで語られている言葉よりも写真の方が、はるかに訴えかけてくるものが大きい。言葉を超えた世界なのだ。