イラスト・本多トモコ
挨拶
握手
初対面の人には握手をします。あまり強く握ると攻撃的だと思われるので、ほどほどの力で握ります。手を握ってから、その手を胸に軽く当ててもいいです。インドネシア人の中でも手の先しか握らない人、力がほとんど入っていない握手をする人もいますが、あまり良い印象は持たれません。年上の人や目上の人にあいさつする時には、軽く腰をかがめます。
イスラムの挨拶
目上の人に挨拶する時は、手を自分の額や鼻の辺りに当てます。敬意を表すしるしです。この挨拶をするかどうかは、人によります。外国人は、普通の握手で良いでしょう。子供が手を求めてきたら、手を預けてあげましょう。
異性と挨拶する時、触れ合わないようにする場合があります。顔の前で合掌したり、合掌した手の先をお互いに合わせる仕草(仕草だけで、触れない)をします。相手が明らかにイスラム教徒(女性ならジルバブをかぶっている、など)の場合、触れないようにします。握手するかどうかは、相手が手を差し出してくるか、こちらが差し出した手を避けるかどうかなど、相手の出方を見て判断しましょう。
結婚式やレバラン明けの挨拶
合掌した手の先を、お互い少し挟むようにして触れ合う挨拶をすることが多いです。
挨拶の言葉
挨拶の言葉は「おはようございます(Selamat pagi)」「こんにちは(Selamat siang、Selamat sore)」「こんばんは(Selamat malam)」「お元気ですか(Apa kabar)」などを使います。
イスラムの挨拶の言葉
公の場で使われることが多いので、覚えておくと便利です。
「アッサラームアライクム(Assalamualaikum=あなたに平安がありますように)」と言われたら、「ワアライクムサラーム(Wa alaikumsalam=あなたにも平安がありますように)」と返します。
正式な言い方だと、もっと長くなり、「アッサラームアライクム ワロマトゥロヒ ワバロカトゥ(Assalamualaikum (warahmatullahi wabarakatuh)」、答えは「ワアライクムサラーム ワロマトゥロヒ ワバロカトゥ」です。
イスラム教徒ではない人が使っても特に問題はありません。
イスラムの間投詞
よく聞くイスラムの間投詞を覚えておきましょう。キリスト教徒の「Oh my God」的なもので、特に宗教的な意味はなく、普通に使われます。
インシャアッラー(Insya allah)=アッラーが望むなら=できれば
アルハムドゥリラー(Alhamdulillah)=すべての恵みはアッラーのために=お陰様で
左手
握手する時、人に物を渡したり受け取る時、食事の時、人や物を指差す時、必ず右手を使います。左手はトイレに使う不浄の手とされているので、使ってはいけません。右手がどうしてもふさがっている時、「左手でごめんなさい(Maaf tangan kiri)」と断って左手を使うのは許されますが、右手が空いているのに左手を使ってはいけません。ちなみに日本では結婚指輪は左手の薬指にしますが、インドネシアでは右手の薬指にする人が多いです。
指差し
人を指差すだけではなく、場所を聞かれた時も、人差し指で差してはいけません。開いた手のひら全体でその方向を指し示すか、手のひらを閉じて親指で指します。
食事
一緒に食事をする時は、年上や目上の人が食事を始めるのを待ちましょう。食前のお祈りをすることもあります。
食べ物のにおいをかいではいけません。
右手にスプーン、左手にフォークを持ちます。手で食べる時は、右手だけを使います。左手は皿の後ろに置いたり、皿を支えるのに使います。食べ終わったら、切ったスダチを入れたボウル(「kobokan」と言います)で手を洗います。
イスラム教徒には豚がタブーなので、一緒に食事をする時には配慮しましょう。材料や調味料に豚が入っていない料理にします。パダン料理などのインドネシア料理にした方が安全な場合もあります。
訪問
家を訪ねた時は、家の敷居の手前で靴を脱ぎます。特に外国人に対しては「靴を脱がなくても大丈夫」と言ってくれることも多いのですが、そう言われても、脱いだ方がいいでしょう。
出された飲み物は、全部飲み干すと、お代わりを要求していることになるので、底2センチほど残すのが礼儀のようです。
家に客が訪ねて来た時は、必ず、飲み物(普通の水で良い)を出しましょう。
差別語
「インドネシア」を省略した「Indon」はマレーシア人がインドネシア人(特に労働者)を侮辱して言う呼び方なので、使ってはいけません。「インドネシア」を省略して呼ぶことは、通常、ありません。