【+81】インドネシア人の東京マラソン参戦記  Tokyo Marathon 2017

【+81】インドネシア人の東京マラソン参戦記  Tokyo Marathon 2017

2017-04-15

東京マラソンがインドネシア人に人気らしい。2017年は2月26日に開催され、インドネシア人164人が参加した。「海外のマラソン大会にはいろいろ出ているけど、東京マラソンが一番好き!」と言い切る人までいる。インドネシア人の目から見た東京マラソンとは? 「東京マラソン2017」に出場したインドネシア人2人に「参戦記」を寄稿してもらった。

Text by Shandra & Muhamad Akbar Adil
Photo by Shandra, Muhamad Akbar Adil, & Willy Sanjaya

東京の人たちが エネルギーをくれました。

シャンドラさん(36)

レストラン経営、2児の母。2016年5月から走り始め、「東京マラソン2017」が初マラソン。5時間17分28秒で完走、2万3396位。

 「東京マラソン2017」に応募した時は、「抽選に当たらないといいな」と思っていたぐらい。一緒に走っているグループ「Run for Indonesia」や東京マラソン出場経験者から「抽選に当たる確率は非常に低い」と聞いていたので、半分冗談のつもりで応募しました。ところが、運が味方したのか、抽選に当たってしまいました。うれしいのと心配なのとが入り混じった気持ちでした。でも、「たくさんの人が応募して当たらなかったのに、抽選に当たったんだよ」と、夫や子供たちが励ましてくれました。

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 それから本格的な走り込みを始めました。大会までの6カ月間、週3~5回、走り、筋力や体力をつけ、走るテクニックを身に付けました。そうやって練習しているうちに、走ることが好きになっていきました。次第に、「完走できるのではないか」という自信が出来てきました。心配だったのは、寒さや強風といった、日本の気候です。寒さで肌がかゆくなるというアレルギーがあったので。大会当日の1週間前に日本に到着し、そんなに寒くなかったので安心しました。

 参加者は3万5500人。1〜6のゲートがあり、「A」はエリート走者、「B」以降が一般参加者となります。私のゲートは2の「H」でした。

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 2月26日午前9時10分、スタート。東京都庁を出発し、飯田橋、日本橋、浅草雷門、両国、門前仲町、銀座、高輪、日比谷を走り、東京駅前・行幸通りがゴール。去年までとは違う新しいコースで、「New Way, New Tokyo」がキャッチコピーでした。昔の東京から現代の東京までを眺めることができ、走りながらでも、東京の美しさを楽しめました。

 普通のマラソン大会と言うよりフェスティバル、お祭りみたい。数キロごとにボランティアの人たちが、いろいろな催しをしてくれていました。日本の伝統的な音楽や踊りなどで、盛り上げてくれました。

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 10キロ地点では、飲み物や食べ物が配られていました。熱いお茶を飲み、そば、イチゴ、チョコレートを食べました。ほかにもみかん、餅などがありました。おかげで、フィニッシュした時には満腹(笑)。

 給水ポイントも5キロを過ぎてから2.5キロごとにあり、それぞれのポイントは非常に長かったです。同様に、トイレも十分な数がありました。

 「頑張って、頑張って」という沿道の声援は、42.195キロの間中、途切れることなくずっと聞こえていました。子供からお年寄りまでがコースの左右両側を埋めていました。応援の仕方はとても真剣で、私たちにエネルギーを与えてくれました。手を差し出してハイタッチを求めてくる人もいました。

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 私の仲間も負けていません。夫や仲間は電車に乗って、私を追いかけてくれました。7キロ地点と30キロ地点の2回も、会うことができました。何万人、何十万人もの群衆の中、会えるのは幸運だし、目が良いでしょ!

 25キロにさしかかった辺りで、足の指に水ぶくれが出来て、ヒリヒリ痛み始めました。しかし、それ以上のアクシデントがなくて、幸いでした。故障したり、足をひきずっている人もたくさん見ましたから。

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 5時間17分28秒でゴール! 生まれて初めて、フルマラソンを走り切りました! フィニッシュのゴールを切りながら、「自分に勝った」という気持ちでいっぱいでした。長かった練習、コース中の苦しさやいろんな障害、そういったいろいろな物を自分で乗り越えたんだ、と感じました。

 走るということは、想像するほど簡単なことではありません。真剣に走り始めてから、17年間続けていた喫煙をやめ、より健康的な生活にコミットしようと思うようになりました。走ることは、自分のことをより、わからせてくれます。だから、より良い自分のために走るのです。

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Running makes me know myself better, so, I run for better me.

また東京に戻って、走りたい。

ムハマッド・アクバル・アディルさん(40)

自営業。2015年4月から走り始める。海外でのフルマラソン出場はシンガポール、オーストラリアに続いて3カ国目。東京マラソン2017は5時間36分47秒で完走、2万7046位。

 シンガポールのバージン・マラソン2回とオーストラリア・メルボルンのマラソンに出場した経験があり、日本は海外で走るマラソンの3カ国目です。

 私より優秀なランナーはたくさんいますが、東京マラソンに出られるとは限りません。抽選で「東京マラソン2017出場」という幸運を引き当てることができたので、2016年11月から練習を始めました。ルーティンの練習に加え、東京マラソン用のプログラムをトレイナーに作ってもらって練習しました。でも、日々の仕事が忙しかったので、準備不足だと感じていました。

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 心配だったのは、コース中の各所にある「関門」で制限時間が設けられていることと、日本の寒さです。大会本番に臨む前に、走る装備をして、実際にコースを下見しました。タイムの目標は5時間を切ることです。

 当日はやはり、非常に寒く、スタート時の気温は3℃でした。大会運営者が毛布を貸してくれました。午前9時10分にスタート!

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 コースの眺めは素晴らしいし、とても満足のいくものでした。歴史的な建物が見られましたし、沿道の人々がずっと声援を送ってくれました。Uターンになる部分はちょっと退屈しましたが、それ以外は非の打ち所のないものでした。

 問題は、25~30キロの辺りで、足がつってしまったこと。膝がまったく動かなくなってしまったのです。サポーターを足から引き抜いたら、なんとか足が動かせるようになりました。こうして、なんとか完走することはできましたが、体はすっかり冷え切ってしまいました。

 5時間36分47秒というタイムは悪くはありませんが、目標にはまったく届きませんでした。「東京マラソン2018」でリベンジしたいです。また東京に戻って、走りたい。