文・写真…鍋山俊雄
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 スラウェシ島の中では、マナドがある北スラウェシ州、マカッサルやトラジャがある南スラウェシ州が日本人にはなじみのある州だと思う。

 南東スラウェシ州は「K」のような形をしたスラウェシ島の右足に当たる。インドネシアでは政府が重点的に観光開発する10の地域があり、今回ご紹介するワカトビ諸島はその1つである。

 ワカトビとは、ワンギワンギ(Wangi-Wangi)、 カレドゥパ(Kaledupa)、トミア(Tomia)、ビノンコ(Binongko)の4つの島の頭文字を取った言葉(Wa-Ka-To-Bi)であり、 その中心はワンギワンギにある。

 スラウェシ島では、南のマカッサルと北のマナドが空のハブだ。スラウェシ内の地方都市へは、どちらかの空港からプロペラ機に乗り換えての旅になる。
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 ジャカルタを午前4時発の便で出発し、マカッサルまで約2時間。そこからプロペラ機で、南東スラウェシ州の州都ケンダリ(Kendari)経由で、ワンギワンギにはようやく午前10時半ごろに到着した。
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 観光誘致に力を入れているだけあって、改装されたばかりの新しい空港ビルが目を引く。だが、荷物はリヤカーを使って人力で引いて来られて、小さな到着ロビーのコンベアに載せられる。空港を出ると、地方都市でよくある「タクシー」と称するドライバーのお兄さん方に囲まれるというパターンである。この時は、今回泊まるリゾートホテルが送迎付きだったため、送迎の車に乗り込んだ。

 ワンギワンギ島は、島の外周に沿って、空港やホテルがあり、港を中心とするダウンタウンは、ホテルから見てちょうど反対側にある。道すがら、きれいな海が見える一方で、あまり家はない。かと言って、カリマンタンのように木がうっそうと茂るジャングルでもなく、乾いた未開発の大地に灌木が生える中、真っ直ぐの道路が延々と続いていく。

 到着したリゾートホテルは外国人観光客を意識して作られており、もちろんバリのようにはいかないが、インドネシア人のほかに、ちらほら外国人客も見られた。ワカトビはダイビングで売り出し中で、ダイバーの間ではすでに有名なようだ。ホテルからもダイビングのツアーを手配できる。

 ホテルと言っても、高床式の木造バンガロー(冷房もある)が砂浜に立ち並ぶという形式だ。荷物を置いて落ち着いてみると、波音しか聞こえない、ぜいたくな空間である。
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 オープンテラスの大きなレストランがあり、一応、西洋風も含むメニューがある。その奥にはバーもあり、アルコールも飲めそうな雰囲気ではあるが、スタンドには何も置いてないので、本当にアルコールが常時飲めるのかは不明だ。
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 昼食を取ってから一休みしている時、ちょうど海は干潮になっていて、沖の岩礁まで歩いて行けた。夜は満潮になるせいか、波の音が大きく、あたかも足元まで波が来ているかのように錯覚するほどである。
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 翌日は日の出を見ようと早起きした。波の音以外、何も聞こえない中で、うっすらと東の空が明るくなり、海面に太陽が映りながら昇っていくさまは素晴らしい。
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 街(Wanci)の方にも足を伸ばしてみた。足を伸ばすと言っても、ホテルから車で40分ぐらいも島の外周に沿って行く必要があり、徒歩で行ける範囲には何もない。
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 港にはケンダリから物資や人々を運んだ船が入ってくる。港を中心に水上家屋の地域もあり、市場やモスクを中心に小さな街が広がっている。市場では採れたての新鮮な魚や食品を取り扱っており、夕方は地元の人で賑わっていた。
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 ホテルに帰りがてら、夕日が眺められる高台に寄った。残念ながら雲が厚く、夕日の絶景を拝むことはできなかったが、海に延びた桟橋は人々で賑わい、地元の若者が泳いでいる。ワカトビのほかの3島へも、先ほどの港から船が出ており、日程に余裕があれば、のんびりとアイランド・ホッピングもできそうだ。
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 インドネシアで、国際的な観光地のバリ、その後を追いつつあるロンボクは有名だが、きれいな白砂の海岸、コーラルブルーの海、そして人がほとんどいないプライベートビーチのような海岸は、まだまだ国内にたくさんある。このワンギワンギ島は、静かな海と素朴な小さな街があるだけで、賑やかな土産物屋街もショッピングモールもない。観光開発をしていく中で、この島も今後、少しずつ様相が変わってくるかもしれない。

 ワンギワンギ島は、ダイビングやシュノーケリングを楽しむ人、あるいはジャカルタの喧騒から遠く離れた島の海岸でビール片手にぼーっと、日がな1日過ごしたい人にはオススメ。
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 ちなみにワンギワンギのwangiとはインドネシア語で「香る、芳しい」といった意味だ。一方で、同じ南東スラウェシ州にあるブトン島(Pulau Buton) にはBau-Bau(Bau=におう)という街がある。次回はこのBau-Bauをご紹介します。

 
 

鍋山俊雄(なべやま・としお)
インドネシアに在住期間は計10年になる。仕事でジャワ、カリマンタン、スマトラへの出張が多いことに加えて、「週末弾丸トラベラー」としてインドネシア各地を放浪し、全34州を訪問した。
 
 
インドネシア全34州の旅
#0 空港
#1 北スラウェシ州 インドネシアの最北端?
#2 アチェ州 インドネシア0キロ地点と津波の跡
#3 ブンクル州 英国の砦、スカルノの足跡
#4 南カリマンタン州 川の街の水上マーケット
#5 バンテン州 バンテン王国跡へ、列車の旅
#6 西カリマンタン州 春分の日に赤道へ 影がなくなった!
#8 南東スラウェシ州(下) インドネシア最大級、ブトン王国の城壁都市。
#9 バンカ・ブリトゥン州 アホック前知事の故郷、「ラスカル・プランギ」の島。
#10 リアウ諸島州 最北端の島の1つ。石群が織りなす造形。