「東南アジア初、世界最大」と銘打って8月10日に開幕した「ザ・ワールド・オブ・ジブリ・ジャカルタ」展が、開幕したにもかかわらず、いまだに半数近くの制作が終わっていないという異例の事態となっている。

 会場に入ると、中央にはむきだしの板の壁(「千と千尋の神隠し」の書き割り)が足場を組まれたままになっている。シートで覆われた資材がそのまま床に置かれたり隅に積み上げてあり、明らかに「作業の途中」という状態だ。カーテンで仕切られた会場の一角では、「ラピュタの飛行船」の骨組みが出来上がった段階で、数人が作業中だった。会場には骨組みだけの家、塗りかけの書き割りなど、未完成の展示が並ぶ。
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 8月11日現在の展示品の状況は、下記の通り。

<完成している展示>(9点)
・「ラピュタ」のロボット兵とフラップター
・「紅の豚」の飛行艇
・「ナウシカ」のオーム(目の色が赤、青に変わる。触手が動いている)
・「ハウルの動く城」の城(高さ8.5メートルと、この中で最大の展示。「ギギッ」ときしみ音を立てながら、城の「目」に見える部分が動いたり、煙突から煙を出す)
・「トトロ」の猫バスとトトロ(猫バスの中に入れる。行き先の表示は「じゃかるた」)
・「思い出のマーニー」の舟
・「ポニョ」の立体画

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花を手にする「ラピュタ」のロボット兵


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腐海とオーム


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最大の展示、ハウルの動く城。ジャカルタでの展示会が終わったら、日本に運ぶ予定という


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猫バスの行き先は「じゃかるた」。「た」がひっくり返っており、ジブリらしい遊び心が楽しい。内部はもふもふ


<未完成の展示>(7点)
・「ラピュタ」の飛行船(会場の一角で制作中。骨組みまで)
・「トトロ」のサツキとメイの家(骨組みと和風の家の内装の一部が出来ている。屋根と洋風の家の内装がまだ)
・「千と千尋の神隠し」の湯屋(湯屋と赤い橋の途中まで?が完成。周りの街並みの書き割り?がまだ)
・「魔女の宅急便」のパン屋とキキの家(骨組みのみ)
・「アリエッティ」の家?(何もない)
・「もののけ姫」の森(森は出来ているが、まだ途中とのこと)
・原画の展示(展示されていない)
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「千と千尋の神隠し」の湯屋の書き割りが、まだ制作途中


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「千と千尋の神隠し」の湯屋。11日には、10日にはまだなかった「赤い橋」が(途中まで?)付けられていた。湯屋の奥の書き割りは完成しているが、左手はまだ塗りかけ


 広報担当のシンディ・ハプサリさんによると、遅れの原因は「技術上の問題(technical problems)」。制作を開始したのは今年6月で、8月4日から会場での設置を始めた。

 これから急ピッチで夜間に作業を進め、「8月14日までに100%の完成を目指したい。遅くとも18日には完成させる」としている。

 前売り券は「ザ・ワールド・オブ・ジブリ・ジャカルタ」ウェブサイトだけで約2500枚を販売した(Traveloka、ゴジェックでの販売数は未確認)。展示が未完成の期間(8月10〜13日の予定。14日に完成していない場合は、期間延長)の来場者にはバウチャーを渡し、会期中にいつでも、再度の来場ができるようにする。会期は当初の予定通り9月17日までで、延長はしない。進捗状況の確認は、ウェブサイト(http://worldofghibli.id)または展示会カスタマーサービス(電話0813-1929-2977)まで。

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傘を持って立つ、大トトロ


 10日の開幕前には、期待で胸を膨らます百数十人の列が出来た。友達同士のほかに、赤ちゃん連れの家族、西欧人、カップルの姿も多かった。11日午後は閑散としていた。

 「ハウルの動く城」など、展示品の完成度は高い。写真撮影が自由にできたり、作品によっては中に入れるのは良い。残念なのは、ホテルのボールルームという会場が「ジブリの世界」の雰囲気にそぐわないこと。床は絨毯だし、照明は暗く、効果的でない。10日、11日には、音楽も流れていなかった。「ジブリの世界に浸る」というより、「ボールルームにジブリの作品がただ展示してある」と見えてしまう。ショップで販売しているグッズは豊富(値段は高いが=定価の倍=、タオル、バッグ、クリアファイル、ピン、弁当箱など、物は多い)。ただ、照明が暗すぎて商品がよく見えず、来場者はスマホの懐中電灯を使っていた。

 インドネシアのジブリ・ファンは子供がいる30代以上の世代が中心だ。若者世代の中には、展示物が何かわからない人もいる。若者世代に新たなジブリ・ファンを広げるには、展示の横にモニターを置いて映画のシーンを流したりといった工夫も必要だろう。

 地元メディアは「ワールド・オブ・ジブリ展めちゃくちゃ。来場者がっかり」(https://www.duniaku.net/2017/08/10/world-ghibli-kacau-pengunjung-kecewa/)と報じ、「バウチャーで再来場できるにしても、ジャカルタ外からわざわざ来た私のような人には難しい。ただの会社員で、そんなに時間もないし。You all broke my heart!!!!!」という来場者のSNSでのコメントを紹介している。
 

The World of Ghibli Jakarta Exhibition/The Ritz-Carlton Jakarta, Pacific Place Ballroom, Jl. Jend. Sudirman Kav.52-53, SCBD/10:00-22:00/http://worldofghibli.id/入場料は一般30万ルピア。2~11歳と学生、65歳以上は25万ルピア。土日祝は5万ルピア増。