長期でこの土地を離れられない理由がひとつある。わが家には5匹の犬と1匹の猫がいるからだ。
普段は、スタジオの後継者でもある若いプトゥ一家と同居しているが、この騒ぎが起きて以来、地域的ロックダウンを警戒して、彼らを郷里カラガサムの大家族の元に早々と引き込もらせている。
誰かが引き継いで犬と猫の面倒をみてくれる可能性はゼロなわけだ。
マリーアントワネコ
1匹の犬を除くと全員保護したもので、最も最近の闖入(ちんにゅう)者は脇腹にけがを負った子猫だ。これが4月22日、ついこの間の出来事。
名前は「マリーアントワネコ」、通称ピコちゃん。生後2カ月くらいだろうか。
チェリー
さらに今年の2月半ばのある朝、降って湧いたように庭に1匹の子犬がたたずんで、じっとこちらを見ていた。まるでパンダのような毛並みがおかしかった。おかしかったが、これも飼わなきゃいけないの?と半分あきらめながら、誰にもぶつけられない不平をひとりで洩らしていた。
写真は最近Facebookで広がっていた「7日間ブックカバーチャレンジ」に出演した時の愛らしい姿。
チョコラ
それより半年前にも、やはり生後3カ月ぐらいの子犬が忽然(こつぜん)と現れて、先住犬たちと楽しそうに庭で遊んでいるのを目撃し「ヤレヤレ」とため息をついていた。
このタイプの犬はバリには多いのだが、「犬の着ぐるみを着けたなにものか」と呼んでいる。人との隔たりが微妙にあって取り扱いはやや難しい。
ドギィ
リーダー格のドギィは垣根を飛び越えてよく脱走する。目的は大抵、田んぼやそのそばを流れる側溝での水浴びで、泥まみれになって帰ってくる。散歩中でも、川に飛び込む(笑)。
元の飼い主が亡くなって以来、すでに5年預かったままになっている。このタイプの忠犬にはとても辛いはずだが、「主人を喪った」という意識が、いまだに消えないのを時々垣間見せるのが哀れだ。
パギ
生後2カ月くらいの時に、姉妹2匹でわが家の庭に捨てられていたパギ。事故で死んでしまったもう1匹の犬の名前はソレ。パギ—ソレの仲良しコンビだったのに。
どうも幼い時の食餌虐待がいまだにトラウマとして残っているのか、食べる時のオドオドした態度はかわいそうになかなか消えない。
写真は超レアなツーショット──ある真夜中、パギの吠え声がやかましいので起きて外に出てみると、なんとセンザンコウに向かって吠えていたのだった! あの噂のセンザンコウ……。
トピ
わが家の前の路上に捨てられていた時には、皮膚病で全身の毛がぬけていて、わずかに頭頂部だけに帽子のように毛が残っていた。それで名前は「トピ」。完治するまで3カ月かかったが、この4年の間やはり皮膚疾患で、半年に一度は獣医どのの世話になっている。
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最近はちょっと眠りが浅く、大体、4時から5時の間に目が覚めてしまう。起きるとネットを少しのぞいてからコーヒーを淹れ、気が向けば「太極拳」の練習をひとりでしている。
普通は、小1時間ほど本を読んでいる。
空がすっかり明るくなるころ、ドアを開け外に出て行くと、5匹の犬たちが一斉に私の元に喜び勇んで駆け寄ってくる。
朝の挨拶? いや、朝の食事をせがんでいるのだ。