2024年「バティックの日」、展示会で見付けたお薦めバティック

2024年「バティックの日」、展示会で見付けたお薦めバティック

2024-10-02

「バティックの日」の10月2日、インドネシア・バティック協会(Yayasan Batik Indonesia=YBI)主催のバティック展示会が南ジャカルタのコタ・カサブランカ(コカス)で開幕しました。さすがYBI、厳選された良質なバティックが並び、東ジャワ・トゥバンや中部ジャワ・クドゥスなど、珍しい場所のバティックも。+62が会場を歩いて目に留まったバティックと、すてきなバティック・ファッションの人たちを合わせてご紹介します。展示会は10月6日(日)までです。

「病気回復」「客人を迎える」、文様に意味の込められた手織り布

Batik Tulis Tenun Gedog

トゥバンの手織り布バティック
トゥバンの手織り布バティック。なかなかの存在感

 手織り布で有名な東ジャワ・トゥバンのバティックです。ごわっとした手織りの生地が特徴で、草木染めも使われています。ナチュラルな風合いと色味が魅力です。

 オーナーのウスワトゥンさん(下写真の中央)が肩に掛けていたのは、通常の倍ぐらいもありそうな、超ロングのスレンダン(肩掛け布)。長さを生かしてたすき掛けにして結び、赤ちゃんを入れて抱っこしたり、市場で買った物を入れたりする、「トゥバンのバッグです」とのこと。

左からアイニさん、ウスワトゥンさん、ザキさん
家族3人でブースに立つ。左から娘のアイニさん、ウスワトゥンさん、息子のザキさん。若い2人にもバティックがよく似合っている

 息子のザキさんが腰に巻いていた布は「病気回復」の意味があり、病気の時に体に掛けたりするそうです。他にも「悪い気を払う」「客人を迎える」など、モチーフによって、いろいろな意味があるといいます。「客人を迎える」バティックを玄関に飾っても、おしゃれでしょうか。

 トゥバンでは結婚する際に、結納品としてバティック100枚(!)を贈る風習があるそうです。がっしりした手織りの布地は丈夫で、「150年も、200年も持ちます」とウスワトゥンさん。

https://www.instagram.com/uswatunbatikgedogtuban/

 会場の近くで、すてきなバティックを着ていたアンドラさん。こちらの服は「『bi batik collection』のオーダーメード」とのことです。

オーダーメード・バティックを着たアンドラさん
ステッチが入れてある

丁字たばこで有名な街、クドゥスの風物をモチーフに

Muria Batik & Bordir

 すてきなバティックシャツを着ている男性はいないか?と探していたら、とても格好いいバティックシャツ姿の男性が歩いていたので、思わず後を付いて行くと、中部ジャワ・クドゥスのバティック店のオーナーでした。

ユリさん(左)とディマスさん
オーナー夫妻のユリ・アストゥティさん(左)とディマス・アンドレさん
クドゥスの塔、山、草花
クドゥスの塔、山、草花模様のシャツが面白い

 シャツの前見頃全面に、クドゥスの象徴である「ムナラ・クドゥス」(クドゥスの塔)や山が描かれています。ユニークで目立ちますし、クドゥスの宣伝にはぴったりです。

 クドゥスと言えばインドネシア伝統の「クレテック」(丁字たばこ)。今でも昔ながらの手巻き作業で作られており、そのたばこ作りの様子を模した伝統舞踊まであります。その「クレテック・ダンス」や丁字がバティックの模様になっています。ほかにもクドゥスの市場の風景や、復刻した飛行機柄など、面白いバティックがいろいろあります。クドゥスの風物をバティック布の中に写し取り、「地域おこし」にもなっていて、素晴らしいです。

クレテックの踊り
「クレテック・ダンス」を踊る人たち
クドゥスの市場
クドゥスの市場

 店の名前に「Bordir」(刺繍)を入れているだけあって、バティックに合わせて女性が着用する上着「クバヤ」もずらっと並んでいます。全て、シンガー製ミシンによる手刺繍とのことです。こちらも面白い物が揃っていますので、クバヤに興味のある方はのぞいてみてください。

https://www.instagram.com/muriabatik/

シンプルでかわいい、スラウェシの食べ物や謎の石像群

Batik Nation

 スラウェシ島パルのかわいい型押し(チャップ)バティックを見付けました。パル名物の牛足スープ「カレド」や揚げバナナなどが描かれている「食べ物」柄。それに、ロレリンドゥ(Lore Lindu)国立公園内にある「謎の石像遺跡群」柄。シンプルですが、とてもかわいいです。男性でも女性でも着やすそうです。

パルの食べ物
楽しい、パル名物料理柄
石像群
謎の石像群をバティックに。実際、こんな風に傾いたり寝たりしている。詳しくは下記記事をどうぞ
【インドネシア全34州の旅】#31 中部スラウェシ州① 人や動物、謎の石像遺跡群
文と写真・鍋山俊雄  アルファベットの「K」に似た形をしたスラウェシ島。スラウェシ島中部、中部スラウェシ州の旅を2回に分けてご紹介する。1回目は「不思議な石像遺…
plus62.co.id
https://www.instagram.com/batiknation.idn/

チレボン「アリリ工房」では新作ワヤン柄が登場

Batik Ariri

 「+62チレボン・バティック・ツアー」でお世話になっている、西ジャワ州チレボンの「アリリ工房」も出展者の一つに選ばれています。オーナーのアリさん、ワワンさん夫婦が来ています。新作はワヤン柄。物語の感じられる画面構成と淡い色合いがすてきです。

アリリ工房の新作「ワヤン柄」のうちの一枚
アリリ工房の新作「ワヤン柄」のうちの一枚
アリリ工房のアリさん(左)
アリリ工房のアリさん(左)とカトゥラ工房のリリスさん。カトゥラ工房のバティックも置かれている
アリリ工房のワワンさん
アリリ工房のワワンさん
https://www.instagram.com/ari.hmw/

 チレボン・バティックのワンピースを着ていた「プラタラン」オーナーのデウィさんにお会いしました。「バティック・コマール」のバティックで、モチーフは「踊るクジャク」です。

 華やかでいて上品なバティック、さすがの着こなしです。デウィさんはバティック・コレクターでもあり、持っているバティックの数は「banyak」(たくさん)だそう。

上品な印象のバティック
クジャク模様

 展示会の規模はそれほど大きくありませんが、バランス良く厳選されたバティック店や工房が「ぎゅっ」と詰まっている印象。特に、自分では行きにくい地方のバティックは、こういった機会でないと、なかなか見るチャンスがありません。バティックに興味があれば、イナクラフトより、こちらの展示会がお薦めです。是非、行ってみてください。

●YBIバティック展示会「Bannga Berbatik」
10月2日(水)〜6日(日)

「コタ・カサブランカ」のアトリウム周辺(アトリウムの周りだけでなく、通路にも店があります)。ファッションショー、トークショーなどのイベントも。イベント・スケジュールなどは下記インスタグラムをご覧ください。
https://www.instagram.com/ybi.official/