狭い店内は料理道具でいっぱい。じっくり1個ずつ見ていると、料理好きでなくても欲しくなり、料理がしたくなる。「まずは形から入れ」とは良く言ったもので、料理をするには、まずは道具から。

 店主の山野井裕幸さんは3代目。日本橋にあった日本で最初の調理器具専門店「熊出屋」で働いていた山野井さんの祖父は、市場が日本橋から築地に移った時に独立。その時に「熊出屋」の屋号をもらい受けたという。

 2代目である山野井さんの父親も料理が好きで、山野井さんの母親に教えていたぐらいだそう。「料理をやらないと、料理人の言っていることはわからない。自分でも料理をして、要らない物を削って、足りない物を追加して、良い道具を作ってきた」と山野井さん。こうして考案し、工夫を重ねて出来た道具の数々。

 例えば、ヒット商品の「盆ざる」。平たい円形で、持ち手に小さなリングが1つ。ざるといえば、普通は鍋のように立体形で、収納にかさばる物ばかり。これなら場所を取らずに収納できるし、壁に吊すこともできる。火にかける以外のすべての用途に使え、野菜や麺類の水切り、ペーパータオルを敷いてだし漉しや揚げ物の油切りなど、何でもOK。食洗機に入れても大丈夫。昔からある調理器具の、丸くて平たい形の竹ざるが原型だ。しかし、竹だと油物は使えないし黴びてしまう消耗品。これを金物で作ったら……と考案した物。わざわざ築地まで買いに来る人もいる。

 「穴開き落とし蓋」もまた、便利な品だ。通常の落とし蓋を水にさらして水を吸わせてから、店で1個ずつ穴を開けているそうだ。「本当は、使ってやせてきた落とし蓋に穴を開けた方がいい」とのことで、「使い古しの蓋を持って来てもらったら、穴を開けますよ」。とにかくサービスが素晴らしいし、何でも相談したら、的確な道具を勧めてくれる。

 

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 新しい物から古い物まで、「こんな物まであるの?!」と驚くぐらい、何でもある。珍しい物では、例えば、竹で編んだ「敷きざる」。穴子やはぜの甘露煮といった、煮崩れしやすい物を煮る時に使う。敷きざるを鍋底に沈め、調理が終わったら、ざるごと持ち上げて、ざるをまな板の上に広げることができ、佃煮屋などで使われている。

 日本らしい、ぷんと木の香りのする枡は、欧米人に人気の品。飾り串の「かんざし串」は、京都の芸者さんをヒントに、山野井さんの父親が考案したものだ。黒豆や昆布巻きの中に使うと赤が映える。お弁当の中に入れて彩りにしても良い。「日本製(Made in Japan)」のマークが付いている商品は、全工程、日本で作られた物だ。

 「料理の心得がないと道具を壊します」と山野井さん。使い方をじっくり聞きつつ、道具を選ぼう。

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_r005533熊出屋 山野井商店 Yamanoi
東京都中央区築地4-12-6
Tel : +81(0)3-3541-6772
5 : 00 – 14 : 30

 

 

 

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