築地場外、波除神社の向かいの角に建つのが「かつおぶし松村」。店なのだが、一歩店内に入ると、小さな「工場」のよう。カチカチの荒節がガンガン水洗いされ、どんどん蒸される。煙突からは煙がもくもく立ち上る。蒸された節は、14枚の刃の付いた大きな削り機で削り、削りたてが店頭の木箱に開けられる。これが袋詰めされ、飛ぶように売れていく。おがくずのように見える鰹節の粉がぱっと舞い散り、日の光を浴びて輝く。
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 工場は、鰹節の粉を浴びて働く青い制服の人たちで活気に満ちている。代表取締役の松村茂さんは「僕の服を洗濯機で洗ったらだしが取れるし、僕がお風呂に入ったら、お風呂がだしになります。僕、うまいですよ」と冗談を言う。
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 「松村」は大正15(1926)年、築地の前身である日本橋河岸で創業した。亀節、本節、荒節、枯れ節(左ページ参照)、魚はカツオ、マグロ、サバ、イワシなど、ありとあらゆる「節」が揃っている。松村さんの好きな食べ方は「粉にした物をご飯にかけ、しょうゆをかけて、混ぜちゃう。飲んだ後の〆に最高!おにぎりにして焼いても香ばしいですよ」。

 自分で削り機を持っていない場合、買いやすいのは削り節。特上、上、中があり、「特上」は一本釣りのカツオを使う。「上」は巻き網のカツオを使うので、味に渋みを持った魚が混じることもある。「中」はソウダガツオも混じっているので、ちょっと濃いめのだしが取れる。どれを買うか迷った場合は、せっかくなので、特上を。

 ジャカルタに買って帰った特上削りをアツアツご飯にたっぷりかけ、鰹節が激しく踊るのを見ながら、しょうゆをほんの少し、回しがけ。それだけでかきこむと、「この世にこんなおいしいものが!!」と驚愕するぐらいおいしかった。スーパーで普通に売っている物とは比較にならない味なので、絶対に買って帰るべし。

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かつおぶし
 「鰹節」とひっくるめて呼ばれることが多いのだが、カツオ以外の魚も使われ、魚の種類(カツオ、マグロ、ソウダ、サバ、アジ、イワシなど)によって、また、製造方法(煮て燻製して乾燥させたもの=荒節=か、さらにカビ付けしたもの=枯れ節=か)、削り方(厚削りや薄削りなど)によって、味が変わる。
 良く香るのは荒節だが、うまみをより感じられるのは枯れ節。料理の味を邪魔しないあっさりした味にするのか、しっかりした味にするのか、料理によって適・不適があるので、どれを買ったら良いかわからない場合は、店の人に相談すると良い。味見もできる。
 削りたてが一番おいしく、空気に触れると、残念ながら、味はどんどん落ちる。窒素ガス充填の袋入りの物を買い、開封したらなるべく早く食べ切る。保存はジップロックで小分けにして空気を抜いて平たくし、冷蔵または冷凍で。 

荒節
魚を釜でゆで、10日〜2週間、薪の煙で燻製してから乾燥させる。削り節の原料になる。香りが高い。

枯れ節
荒節にカビを付けて天日干し、という工程を繰り返す。製造に3カ月〜半年かかる。うまみをより感じられる、まろやかなだしが取れる。

本節
魚を3枚におろし、1枚を2つに切る。背側が背節、腹側が腹節。

亀節
魚体が小さい物は、魚を3枚におろした状態で節にする。

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かつおぶし松村
東京都中央区築地6-27-6
Tel : +81-(0)3-3541-1760
4 : 00 – 12 : 00ごろ www.katsuobushi.jp

 
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