火山国インドネシアの名泉、名湯。 ジャカルタから日帰りできる所を中心に、ご紹介します。
文・白猿
・テラガ・ボダスの湯 (Kawah Telaga Bodas) pH5+(弱酸性)/40~42℃
・ティティックの湯 (Kawah Titik) pH3+(中酸性)/44℃
・チパンの湯 (Kawah Cipan) pH3-(中酸性)/37℃
・チカフリパンの湯 (Kawah Cikahuripan) pH2+(強酸性)/41℃
バンドンから1時間ほど南下するとガルット県に入る。周囲を火山群に取り囲まれた風光明媚な所で、多くの温泉が散在する。
1982年に大噴火を起こしたガルングン山(Gunung Galunggung)。ここにつながる山脈の北端、標高1750メートルの所に、テラガ・ボダス(Telaga Bodas=白い湖)という火口湖が静かに横たわっている。湖の周囲は約3キロ。湖の南端に、石組の露天風呂が2つ並んでいる。
風呂の脇には茅葺の小屋があり、沢水も引いてあるので、休日にはキャンパーでにぎわう。霧に巻かれ、幽玄な景色の移ろいを眺めながら湯に浸かっていると、至福の喜びが味わえる。湖の脇に噴出している、いくつかの地獄釜をのぞきながらの湖畔一周も楽しい。
ここから北に向かって高度を下げていくと、イスラム神秘主義の修練場にもなっている温泉にたどり着く。巨木の森に、泉質が異なる3つの温泉が散在しており、修行者やら地元の湯治客でにぎわう。
最初に出てくるティティックの湯(Kawah Titik)は、草津の露天風呂を思わせる風情。真ん中にある休憩用の小屋がよく似合う。 底から湧き出す湯は極アツの中酸性湯。上手から沢水を取り込んでいるが、それでも熱く、燗酒があっという間に出来る。
この湯までは車で入ることができる。風呂の横の沢には、なんとマイクロ水力発電機が設置してあり、信者の宿坊に電気を引いている。訪ねた日は信者の会合があり、ジャワの各地、遠くはカリマンタンから修行に来ていた。
ティティックの湯から森の中を歩くこと数分で、チパンの湯(Kawah Cipan)に到着する。ここには湯船が2つある。どちらも中酸性だ。ぬるめの湯で、疲れを取るのには最高。湯の華の沈殿が多く、浅い。静かに入らないと、湯の華が浮かび出て、一気に泥風呂に化す。
極めつけは、最奥にあるチカフリパンの湯(Kawah Cikahuripan)。緑礬(りょくばん=鉱物の一種)酸性泉と思われる強酸性湯で、口に含むと北海道の川湯に近い味だ。歯が溶けるのでは、と不安がよぎる。殺菌力が強い湯だ。
湯治の後、着ている服を下着まで含めて全部投げ捨てると無病息災がかなうとされ、辺りに下着類が散乱しているのが、いただけない(木に黒いブラがひっかかっていたり)。
この湯のすぐ下に、7本のパイプで湯を引いた打たせ場があり、中部ジャワの名湯バトゥラデンのパンチョーラン7(Pancoran 7)をもじった名前がついている。最高の打たせ湯であるが、突き出ているのがパイプだけに、いささか風情に欠ける。この湯の脇には、修行者が瞑想にふける小屋がある。
いずれも素晴らしい露天風呂であるが、湯当たりがあるので、長湯は禁物。また、肌の弱い方は注意。
アクセス
1) Wanaraja経由:Garut市内TarogongからJl. Raya Wanarajaを東進。Telaga Bodasへの分岐から16km、1 1.5時間。湖までの9kmは悪路。四駆車ないしは高馬力、クリアランスの高い車種が望ましい。徒歩の場合は、途中まで車で上がり、登り約3時間。 Ojekの手配もできるが、かなり苦痛。
2) Kadipaten経由:Bandung-Ciawi街道のJl. Malangbong-Ciawi Kadipatenより24km、約2時間。距離は長いが、Avanza、Kijang等で走破可。
入湯料
テラガ・ボダスの森林局ゲートで1人2000ルピア程度支払う。Kawah Titik、Cipan、Cikahuripanの入湯料は1人2000ルピアだが、居住していたドゥクンが高齢で山を降りてしまったため、徴集人が不在(2010年11月現在)。ゲートで若干多めに渡しておく手もある。