雑誌の創刊前に、北極圏を旅した。フィンランドのサーリセルカという場所で、北極星を見た。
その星は高々と天頂にあって、生き物のように空を動き回るオーロラに輝きを消されることなく、しっかりと光を放っていた。真上にある北極星を見上げ、その小さいが確かな光を見つめているうち、ふと「南極星」という名前が浮かんだ。南半球に「南極星」という星はないが、この地で、道しるべとなるような雑誌を作りたい。雑誌が「南極星」になりたい。
旅をしながら考えたコンセプトは、「日常の一歩先へ~旅、冒険、変化、変革」。
今では「インドネシアは危険」というイメージは大分、払拭され、多くの方は普通に日常生活を楽しんでおられることと思う。しかし、その日常から一歩踏み出してみることは必要だ。これまでまったく行ったことのない場所へ行ってみる、初めてのことに挑戦してみる、そうしたことで、少しずつでも自分が変わっていける。読者の方に、日常を破るちょっとした冒険を促したい。雑誌を作るわれわれの側も冒険をしたい。読者の皆様と一緒に楽しんで作り上げていければ、と願う。
ホームグラウンドであるインドネシアを深く掘り下げて再発見しつつ、広く世界とつながっていきたいと考えている。
創刊に当たり、多くの方に温かいご支援、ご協力をいただいた。心から感謝します。
2011年1月
『南極星』 編集長 池田華子