「5人の登山者たち 2:クラウィ山」 東ジャワ発のホラーコメディー、大ヒット映画の続編も快進撃 【インドネシア映画倶楽部】第127回

「5人の登山者たち 2:クラウィ山」 東ジャワ発のホラーコメディー、大ヒット映画の続編も快進撃 【インドネシア映画倶楽部】第127回

Sekawan Limo 2 : Gunung Klawih

「登山+ホラー+コメディー」というインドネシア人の好きな要素を盛り込んだ大ヒット映画の第2弾。おなじみのメンバーが集合し、仲間の危機を救うために霊山へ向かう。ジャワ語とジャワ人気質が満載されたジャワ世界が楽しい。

文と写真・横山裕一

 観客動員250万人とヒットしたホラーコメディ映画「5人の登山者たち」(Sekawan Limo/2024年作品)の第2弾。今回も東ジャワを舞台にジャワ語が飛び交う、ホラー調コメディ作品だ。

 前作では登山で知り合った5人が山でのタブーを守らなかったために、幽霊に付き纏われるドタバタコメディだったが、今作では5人の登山仲間が呪われたメンバーの家族を救うために霊山へ向かうものの本格的な登山シーンはない。原題(Sekawan Limo)はジャワ語で「4、5」(前作のキーワード)あるいは「5人の仲間」という意味で、今回は登山がないだけに後者の意味合いが強い。

 物語は前作から3年後が舞台。奇怪な登山をきっかけに5人の仲間は親交を深め、メンバーの一人、アンドリューの娘の誕生日パーティで再会した。前作で実は幽霊だったジュナも健在で、メンバーだけは姿が見え、会話もできていた。

 しかし、パーティの最中にアンドリューと妻、子供の3人が突然苦しみ始める。どうやら何かしらの呪いにかけられたようだった。仲間たちはアンドリュー家族を救うために、呪術師のいるクラウィ山へと向かう……。

 本作品では前作のような登山ならではの様々な仕掛けはないが、主人公バガスが恋人と不仲の危機に直面したり、ジュノが浮遊霊として長く現世に居続けすぎたために霊界に連行されるなど新たな展開も用意されている。

 本作品の特徴は何といっても、監督で主役も演じるバユ・スカック監督が作り出す東ジャワの世界だ。全編ほぼジャワ語が使用され(インドネシア語字幕あり)、会話の面白さがジャワ語特有の発音やイントネーションを活かして、そのユニークさを増大させている。ジャワ語そのものの意味は分からずとも聞いているだけで、つい笑ってしまう。またジャワ民族の気質もフィーチャーされている。

 バユ・スカック監督は東ジャワ州マラン出身で、人気ユーチューバーから映画界に転身している。本作品も冒頭はマランが舞台で、これは同監督が指揮し、やはり主役も演じた大ヒット映画「ヨウィス・ベン」(Yowis Ben)シリーズ(3作品)の舞台もマランから始まっている。同監督がいかにマランを愛しているかが窺える。マランは高地にあり涼しく、観光地としても有名で、ジャカルタにとってのバンドゥンのように、東ジャワ州におけるスラバヤの避暑地的な都市でもある。

 また「ヨウィス・ベン」シリーズもほぼジャワ語が多用されていて、本作品シリーズとともに同監督作品は地方色豊かな映画に仕上げられている。「5人の登山者たち」シリーズは「ヨウィス・ベン」の後継シリーズであるかのようでもある。

 本作品もホラーコメディらしく楽しい作品だが、劇中、呪いをかけられた要因が、被害家族の妻が華人だったためで、1998年の大暴動で全国各地で華人が標的にされたように、華人に対する差別が今も根強く残っていることを窺わせる。作品では主人公らが仲間の家族を救おうと努力する姿を通して、こうした差別を払拭する意図も窺えるようでもある。

 公開から数日ですでに観客動員94万人を超える勢いで、同シリーズの人気ぶりが窺える。是非劇場で楽しんでいただきたい。

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横山 裕一(よこやま・ゆういち)元・東海テレビ報道部記者、1998〜2001年、FNNジャカルタ支局長。現在はジャカルタで取材コーディネーター。 横山 裕一(よ…
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