「ゴースト・ブザー 私を帰らせて」 インドネシア版 子供向け「ゴーストバスターズ」 【インドネシア映画倶楽部】第134回

「ゴースト・ブザー 私を帰らせて」 インドネシア版 子供向け「ゴーストバスターズ」 【インドネシア映画倶楽部】第134回

Ghost Buzzer Antar Aku Pulang

「ゴーストバスターズ」オマージュの作品で、映画館は親子連れで大賑わいだ。子供たちの笑い声を聞きながら、一緒に見るのも楽しい。

文と写真・横山裕一

 ハイ、みんな! いよいよ映画『ゴースト・ブザー』が公開されるよ、ここにあるように、ほら、僕も出てるよ!

 2週間前、ジャカルタのとある映画館で同作品が先行上映される際、劇場内のポスターを前に、ある男の子が父親の動画撮影するスマートフォンに語りかけていた。ソーシャルメディアにアップするためだ。この男の子はネファン・アタラー君。同映画の主役の子供4人のうちの1人ニザム役、幽霊を探す怖い場面でも食欲に抗えず、食べ続けるユニークな役柄を演じている。

 小中学校の学年末の長期休暇は先週で終わったが、これを機に7月に入って、子供向けの映画作品が毎週のように上映されている。前回ご紹介した「フォウフォ」(Foufo)をはじめ、来週は「竹の子供たち」(Anak-Anak Bambu)など。映画館は連日、お母さんと子供の親子で賑わっている。年々こうした賑わいが増しているのは、近年のインドネシア映画界の充実や国内映画の観客増をそのまま表しているようでもある。

映画館は連日、親子連れで賑わう
映画館は連日、親子連れで賑わう

 本作品は仲の良い4人の子供が趣味で幽霊を探すホラーコメディ。タイトル「ゴースト・ブザー」はその名の通り幽霊探知器で、彼らのグループ名でもある。その幽霊探知器を作ったラカ、霊感が強い少女フィンディ、食いしん坊のニザムとおしゃべりなウディンの4人は、ハリウッド映画の名作「ゴーストバスターズ」(Ghostbusters)さながら、つなぎのユニフォームを身につけて心霊現象が起きる古い建物へと踏み込んでいく。ユニフォームや帽子に縫い付けられたゴースト・ブザーのロゴも本家「ゴーストバスターズ」をオマージュしたかのようなもので、見ていて楽しい。

 彼らは幽霊探査の中で、少女の幽霊マリアと出会う。彼女はかつて住んでいた建物に悪霊がいるために帰れず。行くあてもなく漂っているという。彼女の願いを叶えようと4人は悪霊退治に向かうが……。

 作品は音響効果や作りなどテレビドラマ的だが、それが却って見易さを促していて、ホラーならではの恐怖シーンもなく、友情や勇気がテーマと、親が子供に安心してみせることができる子供向け映画の優良作品ともいえそうだ。

 実は2021年にも本作品とほぼ同タイトルの大人向けホラーコメディ「ゴーストブザー」(Ghostbuser)が制作されている(DISENY+ HOTSTAR配信)。これもハリウッド映画「ゴースタバスターズ」がオマージュされている。ホラーやお笑いが大好きなインドネシアにとっては「ゴーストバスターズ」はまさにお手本にしやすい存在なのかもしれない。

 劇場では子供たちの笑い声や真剣に観る雰囲気が伝わってきて、たまには子供向け映画を観るのもいいものだと感じてしまう。いずれ彼らも本格的なホラー映画をはじめ国内映画作品の鑑賞者に育っていくことを考えると、今後のインドネシア映画界の需要は明るく、さらに良い作品を生み出していって欲しいと思う。是非劇場で子供たちの熱気とともに作品を味わっていただきたい。

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横山 裕一(よこやま・ゆういち)元・東海テレビ報道部記者、1998〜2001年、FNNジャカルタ支局長。現在はジャカルタで取材コーディネーター。 横山 裕一(よ…
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