「うどんベイビー」 日イの国際結婚、国籍や文化を超えた心温まる愛情物語 【インドネシア映画倶楽部】第141回

「うどんベイビー」 日イの国際結婚、国籍や文化を超えた心温まる愛情物語 【インドネシア映画倶楽部】第141回

Baby Udon

丸亀製麺の海外出店数ではインドネシアが群を抜く。そのチェーン展開に尽力した近藤肇さんをモデルに、日イ国際結婚した夫婦の愛と思いやりの人生を描く。

文と写真・横山裕一

 日本人の夫とインドネシア人の妻による夫婦の愛情と思いやりに満ち、悲しくも温かみを感じさせる感動物語。本作品は実話をもとに制作されていて、主人公の日本人、近藤肇(はじめ)さん(故人)は、インドネシアにおいて丸亀製麺のチェーン展開に力を尽くした人でもある。現在、全国に145店舗あり、同店の海外出店数ではインドネシアが群を抜いている。映画タイトルは同店舗が出会いのきっかけだったことから来ている。

 物語はうどんチェーン店のスマラン(中ジャワ州)支店で働く女性ファニーが、支店視察でジャカルタから出張してきたマネージャーの近藤と出会うところから始まる。一目惚れしたファニーは貰った名刺をもとに連絡を交わし始め、交際を深めていった。ファニーの母親は国籍、宗教の違いや近藤が中年だったことなどから交際に難色を示したが、二人の愛情は揺るがず、無事結婚に至る。

 愛情に満ちた夫婦生活だったが、悩みは子供ができないことだった。医師の診断を通して二人は体外受精を試み、見事妊娠に至る。「まさにうどんベイビーだね」と喜ぶ二人。しかしその後、近藤はガンに蝕まれていることがわかり、余命宣告を受けてしまう……。

 本作品では、国際結婚はとかく国籍や文化、宗教の違いなどが取り沙汰されるものの、大切なことは二人の相互理解と相手を思いやる愛情深さであることが描かれている。また、劇中で結婚を機に改宗したとみられる近藤がイスラム教に関心を示し、気になったコーランの一節が二人の愛情をさらに深める役割を果たしているところも興味深い。

 見どころは様々な苦難に直面しながらも、主人公二人の相手への優しい気遣いの描き方で、ファニーが近藤の過去に対する悩みに力添えしたり、病床に伏せる近藤がファニーの今後に思いを馳せるなど、涙を誘うシーンも多い。

 作品には、実際に生前の近藤さんと親交があり、インドネシアで音楽活動をしている加藤ひろあきさんも友人役で出演している。加藤さんのFacebookの投稿によると、加藤さんはかつて入院中の近藤さんとテレビ電話で会話したエピソードを語っている。病床にも関わらず近藤さんは「幸せな人生です」と加藤さんに笑顔で話したという。死が迫っている状態にもかかわらず、心の強い、最後まで感謝と優しさを忘れない方だと加藤さんは述懐している。まさにこのエピソードの真髄が本作品にも前編にわたって反映されているといえそうだ。

 近藤さんを演じたのは、インドネシア人俳優のデニー・スマルゴ。日本語のセリフは流石に若干危ういが、インドネシア語のセリフはいかにも日本人が話す独特のイントネーションや訛りを上手く再現していて、仕草を含め日本人役として違和感がないようにみられる。

 国籍や文化を超えた心温まる愛情物語を是非とも劇場でご覧いただきたい。最後のクレジット部分での驚きの映像集も見どころのひとつだ。

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横山 裕一(よこやま・ゆういち)元・東海テレビ報道部記者、1998〜2001年、FNNジャカルタ支局長。現在はジャカルタで取材コーディネーター。 横山 裕一(よ…
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