Maju Jejak Pahit Si Kembang Gula
学校で売られたり、時には無料で配られる甘いキャンディー、実は麻薬入り。事件に巻き込まれる子供たちの冒険を通して、麻薬被害に遭わないように啓発する。
文と写真・横山裕一
ジャワの山岳地に野外活動に訪れた中学生が事件に巻き込まれ、ついには山村の犯罪グループと対峙する冒険アクション作品。インドネシアで長年続く社会問題を背景に、その深刻さ、根深さが浮き彫りにされていて、子供や周囲の大人たちへの啓発作品でもある。
物語の主人公はジャワのとある中学校の仲良し4人グループ。しかしメンバーの一人、バガスは最近様子がおかしかった。何をするにも集中力がなく、ボォッとキャンディーを舐め続けているだけだった。そんなある日、4人はかねてから計画していた山キャンプの野外活動にウィラ先生の引率で出かけた。
一行は目的地の山村で村長に挨拶へ行く。具合が悪くなったバガスは車に残る。しかし、一行が車に戻るとバガスの姿が消えていた。バガスを探している最中に、仲間たちはいじめられて川に流された村の子供アディットを助ける。アディットによると、見知らぬ子供がキャンディーを積んだトラックの荷台に入っていくのを見たという。実はそこには思いがけない組織犯罪の影があった……。
作品冒頭の、学校の正門近くで販売されるキャンディー、争うように買い求める子供たちのシーン。これはここ十数年続く、インドネシアで社会問題となっている光景でもある。麻薬を混入したキャンディーを子供たちに売りつけて、麻薬中毒予備軍を生み出す麻薬犯罪組織の狡猾な手口だ。なかには無料で配布したとの報道も過去にあり、問題の根深さが窺える。
本作品でも山あいにひっそりと不法キャンディー工場を設け、製造、搬送など組織だった実態や、組織のボスが地元警官をも仲間に引き入れ、組織の隠蔽を図る様子が映し出される。作品ではまさにタイトルのように「甘いキャンディーに潜んだ、苦い危険」が描かれている。
本作品の一般公開に先立つ数日前、バンテン州タングラン市政府と国家麻薬取締局が共催で、小中学生を対象に本作品の上映会が開かれた。子供たちへの麻薬被害防止の啓発が目的で、本作品の内容が依然、現実問題として存在することを裏付けてもいる。地元報道によると、同作品のフランクリン・ダルマディ監督も「作品を通して、しっかりとした教育や両親たちの警戒心を高めてもらえれば」と話している。
映画作品だけに冒険活劇の娯楽形態はとられているが、子供に対する麻薬問題とともに、子供のいじめ問題と家族の対応、友情の大切さも効果的に描かれている。是非、劇場でご覧いただきたい。

