「昔の恋 第2幕」 50年越しの恋の行方は?! 振り回される家族 【インドネシア映画倶楽部】第132回

「昔の恋 第2幕」 50年越しの恋の行方は?! 振り回される家族 【インドネシア映画倶楽部】第132回

若い恋人の祖父と祖母が昔、恋仲だった?! コメディーながら、ノスタルジックな昔のシーンや家族の結束が見所。インドネシアでもこれから「CLBK」は流行るかもしれない。

Cinta Lama Babak Kedua #CLBK

文と写真_横山裕一

 孫同士の婚約でかつて不幸にも結ばれなかった元恋人同士が偶然再会。過去を巡る確執に若い孫たちの恋仲にまで危機が訪れ、両家族が右往左往する、世代を超えたラブロマンス・コメディ作品。

 物語は婚約した若いカップルの両家の初顔合わせから始まる。ラカと婚約したアンバルの家族は両親と祖父の4人暮らし。祖父のアビィも孫娘の晴れの日にご機嫌だった。やがてラカの家族がアンバル家を訪問する。お互い和やかに挨拶を交わすが、ラカの祖母シタは壁に飾られた古い写真にふと目が止まり顔がこわばる。そして迎えに現れたアビィを見た瞬間、シタは家を出て車に乗り込み、「帰る」と言い張った。

 訳がわからないものの、仕方なくアンバル家に謝罪しながら祖母に従うラカの家族。何が起きたか理解できず困惑するアンバルに、祖父のアビィは重い口を開き始める。一方、立場を失ったラカは頑なに口を閉ざす祖母シタにお手上げ。事情を知ったアンバルが祖父とラカの祖母を直接会話させようと提案しても、ラカはなす術がない。痺れを切らしたアンバルは怒りに任せてラカに別れを告げてしまう……。

 若いカップルの結婚には家族の理解や合意が必要なものの、そこに50年前の恋の焼け木杭が再燃してしまうところに本作品の面白さがあり、他のコメディ作品のようにコメディならではのトボけたセリフなどはなくとも、設定に付随した会話や行動から可笑しみが生み出されるのが本作品の特徴だ。

 例えば、ラカの祖母シタの行動の理由を知った、ラカの父親は自分の母に父以外に恋人がいたことを感慨深く妻に告げると、妻は「私にもいたわよ」と答えて夫を動揺させるなど、クスクスと笑わせる工夫が随所に施されている。

 物語の要である老カップル役にインドネシアの大御所実力派俳優、スラメット・ラハルジョとウィディアワティが演じていることもあり、ドタバタのコメディに陥りがちなドラマを、世代を超えたラブロマンスとしてもしっかりと成り立たせているといえそうだ。

 本作品の原題の末尾に記されている「#CLBK」はタイトルの各単語の頭文字をなぞったいわゆるシンカタン(SINGKATAN/略語)。作品名を覚えやすくしてソーシャルメディアなどで広めようとする意図があるものと思われる。日本でいえば「ゴジラ-1,0(マイナスワン)」が「マイゴジ」と呼ばれたのと似ている。

 この映画タイトルを「#頭文字」で表記する方式は筆者が知る限りでは、2020年作品の「いつかこの物語をあなたに」(Nanti Kita Cerita Tentang Hari Ini)が「NKCTHI」としてソーシャルメディアをはじめ若者の会話で使われたあたりから頻出しているようだ。慣れない日本人からすると、よくアルファベットの長い羅列をスラスラと言えるなと感心することもあるが、これもインドネシア語の特徴の一つで興味深い。

 老カップルの若い時代を描いた1970年代の西ジャワ州バンドゥンでのノスタルジックなシーンや、老カップルによって振り回されながらも結束するインドネシアならではの親子関係など、見どころも多い。是非、劇場で気軽に楽しんでいただきたい。

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横山 裕一(よこやま・ゆういち)元・東海テレビ報道部記者、1998〜2001年、FNNジャカルタ支局長。現在はジャカルタで取材コーディネーター。 横山 裕一(よ…
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