Djamin Setia Selamanya
北スマトラ州カロに生まれ、オランダに対する独立戦争を戦ったジャミン・ギンティン・スカが主人公。インドネシアの国家黎明期での地方の歴史に触れられる作品。
文と写真・横山裕一
ゲリラ部隊の将校として独立戦争で活躍した国家英雄、ジャミン・ギンティン・スカ(Djamin Ginting Suka)の生い立ちから独立戦争勝利までを描いた歴史伝記作品。オランダ植民地時代、日本軍政期と支配下に置かれ続けるなか、自分たちのアイデンティティとは、国とは何かを誠実に追い求めた生涯の姿勢がタイトルにも盛り込まれている。
ジャミンは1921年、現在の北スマトラ州カロ地方に生まれた。作品内でも幼少時から様々な将来の夢を抱く子供として描かれている。しかし、オランダ学校へと進学し、ジャミンら地元住民に対するオランダ人の蔑んだ態度から、自分たちが被支配者であることを痛感する。また同時に自分たちの本来の国とは何かを意識し、求め始めた。
オランダ植民地から日本軍政下へと移行し、日本軍がインドネシア独立を手助けするとの情報に期待を抱きながら、ジャミンは日本軍が編成した防衛組織、義勇軍(ジャワ島などのPETA/郷土防衛義勇軍に準ずる)に参加する。義勇軍で地方部隊の司令官に昇進するが、日本軍の敗戦、撤退に伴い、オランダとイギリスの連合国が上陸する。ジャミンと友人らを含めた部隊は国土を守るため独立戦争へと身を投じていく……。
ジャミンは独立戦争後、インドネシア国軍では中将として、またスカルノ初代大統領の政権末期では内閣官房長官も務めている。1974年死去(享年53歳)。その後2014年11月、独立戦争をはじめ国への功績から国家英雄に指定されている。作品内でもジャミンの功績として、北スマトラ州カロ地方や、隣接するアチェ州の山岳地帯での激しいゲリラ戦の様子が再現されている。
強力な武器を持ったオランダ軍の侵攻に対し、撤退を叫ぶ声が上がるものの、ジャミンはここで踏ん張らねば自分たちの国が奪われてしまうと、反撃に転じる。オランダ軍を撃退した代償としての友人らの戦死。忸怩たる思いを抱えながらも理想を求めて進む姿が描かれる。
ジャカルタなどジャワ島の都市部に居住する日本人をはじめ外国人にとって、インドネシアの国家黎明期の地方の歴史に触れる機会は少ないかもしれない。その意味でも本作品はスマトラ島北部の当時の様子を垣間見るにはうってつけだともいえそうだ。是非この機会に劇場で鑑賞していただきたい。
本作品とは関係ないが、主演のラフィ・スディルマン(Rafi Sudirman)はシンガーソングライターでもあり、最近の曲では「月曜から金曜まで」(Senin Sampai Jumat)がリラックスして聴ける良い曲だ。

