王宮の「ジャムーの宴」を現代に PIKのアチャラキでインドネシア文化を体験 

王宮の「ジャムーの宴」を現代に PIKのアチャラキでインドネシア文化を体験 

ジャカルタの新興開発地として今もイケイケのパンタイ・インダ・カプック」(PIK)へ行ったら、PIK 2にオープンした「アチャラキ」まで足を伸ばしてみよう。贅を尽くしたジャワ建築「ジョグロ」で、インドネシア文化体験を含めた「ジャムーの宴」を楽しめる。日本からの来客を連れて行くのもお薦めだ。

ジャカルタで5店舗目のPIK 2店
ジャカルタで5店舗目となるアチャラキPIK 2店
アチャラキ・オーナーのジョニーさん
アチャラキのオーナーのジョニーさん

新築の「ジョグロ」で繰り広げられる王家の饗応

 「ジャムー」(jamu)とは、薬効のある植物を使った「インドネシア伝統の健康飲料」。ジャワの王宮が発祥とされ、王宮内で飲まれていたほか、王家がもてなす客に供された。ジャムーはジャワ語の「健康への祈り」(jampi usodo)を語源とし、それは何にも代えがたい最高のもてなしであるからだ。

 しかし、もちろん、饗応の場ではジャムーだけが出されていたわけではない。食事に加えて音楽や踊りも、という、フルコースの文化体験だった。そうした王宮のもてなしだった「ジャムーの宴」を、現代でも体験できる場所が、PIK 2にオープンした「アチャラキ」店だ。

王宮の儀礼馬車
王宮の儀礼馬車

 広大なエリアの中に立つ一軒家のような店。大きな木彫りの扉を押して中に入ると、ジョグジャカルタ王宮で使われていたという儀礼馬車が来客を迎えるように展示されている。ガラスケースなしで間近に見る機会はあまりない代物だ。

 広々とした店は、「ジョグロ」と呼ばれるジャワ式建築。木材はすべてチーク。建物の中央部分に、太い4本の柱を支えにして、高くそびえる屋根が組み立てられている。天井や柱、壁などに施された見事な彫刻は、ジャムーに合わせた植物模様だ。

 古い家屋から移設されたジョグロを目にする機会は時々あっても、新築のジョグロは珍しい。それも、この規模。これは、木工で有名な中部ジャワ・ジュパラで制作された。職人100〜200人がかりで、建物全部を仕上げるのに2年かかったという。職人たちは「普段の仕事は家具などの小物ばかり。ジョグロを作るチャンスはめったにない」と喜んだそうだ。出来上がってからPIKへ運ばれ、組み立てられた。

バーカウンターとジョグロの高い天井
ジョグロの高い天井とバーカウンター

 その木組みの屋根の下にあるのが「オープン・バー」をコンセプトにしたジャムー・バー。バーの内側にはさまざまな機械がぐるりと並び、客の注文に従って目の前でジャムーが作られる。バーの上には自動演奏のアンクルンがあり、コンピュータ制御で音楽を奏でる。ジャムーのほかに、インドネシア料理も注文できる。

クニットアッサムをエスプレッソで淹れる。淹れるところもショー的
エスプレッソ式でクニットアッサムのショットを作る。シェイカーで振ったり、ジャムーを淹れるシーンもショー的だ
アチャラキで使われているジャムーの乾燥材料
アチャラキで使われているジャムーの乾燥材料。日本へのお土産にも良い

 ジャワの伝統建築、王宮の儀礼馬車、ジャムーにインドネシア料理、アンクルン音楽と、まさに「インドネシア文化のショーケース」。PIKはスカルノハッタ空港にも近いので、外国人観光客もターゲットにしている。「『トーキョー』『アロハ』といった外国の名前の並ぶPIKで、『ここもインドネシアだ』と示したかった」とアチャラキ創業者でオーナーのジョニー・ユウォノさん。

 しかし、インドネシア文化のショーケースといっても、古くさい伝統のままではなく、最新技術と融合した文化なのだ。「文化に根差したイノベーション」がアチャラキのコンセプトだ。

新商品、コーヒーマシーンで淹れるジャムー・カプセル

 「文化に根差したイノベーション」の最新の物が、発売されたばかりの「ジャムー・カプセル」。ネスプレッソのコーヒーメーカーに挿入して、ボタン一つで手軽にジャムーが飲める。コーヒーの気分でない時や、何か健康的な物を飲みたい時、コーヒー以外の新たな選択肢が加わるのはうれしい。粉から淹れるのと比べて、はるかに簡便なのが画期的だ。

新発売のジャムーカプセル。マシーンも売っているが、通常のネスプレッソ・コーヒーメーカーで良い
新発売のジャムーカプセル。マシーンも売っているが、通常のネスプレッソ・コーヒーメーカーで良い

 アチャラキでは元々、乾燥させた材料を使っており、カプセルの中味も店で使用している物と変わらない。しかし、開発で時間がかかったのは、粉の細かさの選定だ。粉が細かすぎると詰まってしまい、大きすぎると味が薄くなる。幅広い機種に対応した「スイート・スポット」を探し、公式から非公式まで、さまざまな機種でテストした。そして、ちょうどドンピシャという粉の細かさを決めたという。

 「ジャムー・カプセル」は現在、「ターメリック」「シェイズ・オブ・ゴールド」「オール・アバウト・ジンジャー」の3種類。今後はスーパーフードで知られる「モリンガ」などの新しい味も追加していく予定だという。

 このカプセルも含めたさまざまな淹れ方、そしてフェアトレードや「ビーン・トゥ・カップ」(Bean to Cup)といった考え方に至るまで、「コーヒー業界でできることは、ジャムーでもできるはず。Why not?」というのがジョニーさんの考え。それを実践してきたのがアチャラキだ。

クニットアッサム(ホット)、サイフォン式。はちみつはお好みで(4万ルピア)
サイフォン式で淹れたクニットアッサム(ホット)。はちみつはお好みで(4万ルピア)

 アチャラキでジャムーのメニューを開くと、ホットにアイス、淹れ方はエスプレッソ、V60、フレンチプレス、水出し、サイフォンなどなどがあり、さらにソーダ水で割ったり、ミルクを加えたり。いろいろありすぎて、どれを頼めば良いのか戸惑ってしまう。

 初心者には、代表的なジャムーである「クニットアッサム」をソーダ水で割った「ゴールデン・スパークリング」(Goldern Sparkling)がお薦めだ。暑い時に、さっぱり飲める。そして、意外なおいしさで驚くのが、エスプレッソ式で抽出したターメリック(ウコン)にオーツミルクを加えた「ロイヤル・オース」(Royal Oath)。ミルクとウコンがよく合う。

 ジョニーさん自身のお気に入りは、クニットアッサムをサイフォンで淹れる飲み方。「クリアで強い味です。サイフォンは100℃のお湯を使うので、成分がしっかりと抽出される。V60だと私にとってはちょっと薄いかな」と話す。

 ジャムー業界で革新を続けるアチャラキ。ジャムー・カプセルのその次は? 「ジャムーを売り歩く『ジャムー・フードトラック』とか……」とジョニーさん。安心安全なジャムーが街角で手軽に飲めるアチャラキの「ジャムー・フードトラック」、是非、実現させてほしい!

「『サイエンス』と『アート』のうち、効能などの『サイエンス』ばかりが重視されてきたのがジャムー。『アート』にも脚光を」(ジョニーさん)
「『サイエンス』と『アート』のうち、効能などの『サイエンス』ばかりが重視されてきたのがジャムー。『アート』にも脚光を当てるべきだ」とジョニーさんは語る。それを体現したのがアチャラキ

acaraki PIK 2
Jl. Jend. Sudirman, Salembaran Jati, Kec. Kosambi, Kabupaten Tangerang, Banten 15211
10:00〜22:00