竹の自転車「スペダギ」ってどんなの? 格好いいデザインと村おこしのコンセプトにロックオン

竹の自転車「スペダギ」ってどんなの? 格好いいデザインと村おこしのコンセプトにロックオン

2025-08-08

自転車から見える景色が好きだ。自転車は歩くよりも速いし、車より自由が効いて、冒険できる。目的地は決めつつも、適当に走るのが好きだ。ジャカルタでは「自転車は必要ない」と思っていたが、見た瞬間に「これは欲しい!!」となった自転車がある。中部ジャワ・トゥマングンで作られた竹の自転車「スペダギ」(spedagi)だ。(文と写真・知る花)

ジャカルタの街で
ジャカルタでスペダギに乗る

 ジャカルタ、晴れ。熱帯の緑の中を進む「スペダギ」。スペダギは周囲の自然にもマッチする竹の自転車だ。「デザインが格好いい」というだけでなく、気持ち良い乗り心地で、道が多少ボコボコでもぐんぐん進む。スペダギに乗ると、ジャカルタの景色がいつもと違って見えるのだ。

 スペダギとは、インドネシア語の「自転車」(sepeda)と「」(pagi)を合わせた名前だ。「朝に乗る自転車」といった意味。中部ジャワ州トゥマングン出身のプロダクトデザイナー、シンギ・スシロ・カルトノさんが故郷にUターンしてから制作した自転車だ。

 元々は、シンギさんが自分で乗るために作った自転車。健康診断でコレステロール値の高かったシンギさんは「健康のために、毎朝、自転車で走ろう」と考え、トゥマングンにたくさんある竹を使って自転車を作った。それからトライアル&エラーを繰り返して商品化したのがスペダギ。

なんとも格好いいフォルムのスペダギ
フレームが竹。無駄のない、なんとも格好いいフォルム
「スペダギ」のロゴマーク
「スペダギ」のロゴマーク
スペダギに乗る
ハンドルを革製にカスタマイズした。スペダギに乗って見える景色はどうか

 最初に「竹製自転車が発売された」というニュースを知った時、「竹か……面白いな」と興味を持った。そして、実際に写真を見て、「格好いい!!」。見た瞬間から欲しくなった。

 すぐに、スペダギのインスタグラム宛に「買いたい」とダイレクトメッセージを送った。対応してくれたのは、シンギさんのチームでジャカルタの担当者、ボブ・アリア・バルナさん。「どのタイプがいい?」と聞かれ、できるだけ早く欲しかったので、「どれが一番早く手に入る?」と聞いたところ、「ゴーウェスムルヨ」(Gowesmulyo。Gowes=「自転車に乗る」、mulyo=「高貴な」という意味)との答え。車輪が大きめの、ちょうど好きなタイプだったので、即決した。

 子供のころから自転車は大好きだったが、ジャカルタで「自転車を買おう」と思ったことはない。乗れないし、必要ないからだ。必要ないにもかかわらず自転車を買ったのは、これが初めてだ。そして、デザイン的にすごく好きな自転車もこれが初めて。普通の自転車ではない、新しいカテゴリーの自転車だ

 注文した自転車は、トゥマングンで製作してからジャカルタへ送り、ジャカルタで組み立てるという。カスタマイズできるので、サドルとハンドルは革張りにしてもらい、革の元の色は黒だったが、茶色に変えてもらった。

 そして、「自転車が出来ました。いつでも引き渡せます」との連絡があり、南ジャカルタ・ブロックMにあるカフェで、ボブさんと待ち合わせをした。ここでスペダギと初対面。カフェの奥のスペースに、真新しい自転車が置かれていた。このフォルム、このフレーム、これはテンションが上がる。

ボブさん(右)と筆者
ボブさん(右)と筆者
使い込まれたボブさんのスペダギ。荷物を入れるかご、飲料ボトルのホルダー、ランプを取り付け、カスタマイズ
使い込まれた、ボブさんのスペダギ。荷物を入れるかご、飲料ボトルのホルダーなどを取り付けてある
ちょっとした物を入れられるかご
ちょっとした物を入れられるかご

 スペダギは、わりに控えめな竹使いなので、「えっ、『竹製自転車』なのに、もっと『全部、竹』じゃないの?」と言う人もいる。ボブさんは「全部を竹にすると柔軟過ぎるので、鉄など、ほかの素材と組み合わせている」と話す。

 竹を丸い筒のままで使うのではなく、いったん割ってから組み合わせ、楕円形にしているのもポイントだ。こうすると強度が増すという。ちなみに日本にも「スペダギ・ジャパン」があるのだが、日本の竹は柔らか過ぎるので、インドネシアの竹の方が良いそうだ。ボブさんは試作品のスペダギに乗って、トゥマングンからジャカルタまでの約480キロを3日間かけて走行するというテストも行った。

 トゥマングンで開催されている「竹林の朝市」など、シンギさんの行っているほかの村おこしプロジェクトと同様に、スペダギも「若者を村に呼ぶためのツールだ」とボブさん。「竹を使った村おこし」というきちんとしたコンセプトがあり、なおかつ、この格好良さ! 「村を背負ってます」なのに、この無駄のないデザイン!

スペダギ「Gowesmulyo」。シンギさん、トゥマングン、インドネシアの名前入り
スペダギ「Gowesmulyo」。デザイナーのシンギさんの名前、製作地としてのインドネシア・トゥマングンの地名入り

 スペダギは軽量な自転車ではないので、「街用」だ。坂がある所だとちょっと辛い。ジャカルタではやはり、あまり乗る機会はない。普段はリビングルームの「趣味ゾーン」に飾ってあり、「家の中にスペダギがあるのは、いい生活だな」とひとり満足している。

 しかしもちろん、乗ったらさらにテンションは上がる。ジャカルタのカーフリーデーで走っていたら、何度か、「なに、その自転車は?」と声をかけられた。いつか、スペダギの生まれたトゥマングンへスペダギを持って行き、そこでスペダギに乗るのが夢だ。

西ジャワ州ガルットを旅行した時、スペダギを車に積んで行き、乗ってみた
西ジャワ州ガルットを旅行した時、スペダギを車に積んで行き、道を走ってみた
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