11月5日午前0時ごろ。一部が暴徒化したデモ収束のため、ジョコ・ウィドド大統領(ジョコウィ)が大統領官邸で緊急記者会見を行った。大統領はカーキ色のボマージャケット(bomber jacket)を着て会見場に現れ、「デモ隊の皆さん、家に帰りなさい」と呼びかけた。短い会見だったが、メッセージは簡潔で要を得ており、大統領は堂々として見えた。記者会見の様子がテレビで生中継された直後から、「ジャケットがクール」と若者の間で話題が沸騰した。
ボマージャケットは米空軍の制服を基にしたミリタリーウェア。大統領が着ていたのはゴテゴテしておらずにシンプルな形で、襟の黒がアクセントとなって、おしゃれだった。大統領が普段、あまり着たことがない服の上、明らかに若者向けだったことも目を引いたようだ。大統領は後で、「ジャケットは子供の持ち物。子供のを借りた」と語った。
ジャケットは「Zara」新作の秋冬コレクションであることが判明。5日朝から同じ品を買い求める人が続出し、5日中に、ジャカルタのほとんどの店で売り切れた。カーキのほかに、茶、黒、紺などのカラーバリエーションがあり、値段は89万9000ルピア。「Zara」グランド・インドネシア店の店員によると、約2週間後に再入荷するとのことだ。大統領が着用した物ではないボマージャケットもあるが、大統領が着用したのと同じ物が人気。
実はこれまでにも、「ジョコウィ・ファッション」は注目を集めてきた。まずは、チェックのシャツ。2012年にジャカルタ州知事選挙に打って出た時、副知事候補だったアホック氏とともに、「チェックのシャツ」を着用した。対立候補がブタウィ(ジャカルタ土着の人々)とイスラムを象徴する「白」を着用したことに対抗してか、赤と青のチェックのシャツを着て選挙を戦い、「チェック(Kotak kotak)」はジョコウィの代名詞ともなった。
2014年に大統領に就任した時は、「白いシャツ」が話題を呼んだ。これは「国民のために働く」決意を表したもので、「ジョコウィ『働け』内閣」の象徴ともなった。新任閣僚全員が白シャツを着て走らされた、かつてない「閣僚就任式」も強い印象を与えた。この時も「ジョコウィと同じ白シャツを」という仕立て注文が相次ぎ、ブームとなった。
大統領に就任した後はバティックシャツを着用することが多く、ジョコウィのファッションが話題になることはあまりなかった。久しぶりにブームとなった、新たな「ジョコウィ・ファッション」だ。
