私は商売の血を祖父から受け継いだと思います。祖父はパーカー、ジッポーといったボールペンや小物を売る商売をジャカルタの中華街であるパンチョーランの一角で始め、やがて、革工場を立ち上げました。商売は母が受け継ぎ、母はブラウンビュッフェルのブランドを取り扱うようになりました。私は家業を手伝うようになってから、「どうして、扱っているのは1社のブランドだけなのか?」と思い、インドネシアに進出させる新しいブランドを探し始めました。たくさんの会社にメールを送り、そのうちの1社がイルビゾンテでした。
イルビゾンテには3回メールを送り、3回とも断られました。インドネシアから突然メールが来て、誰か知らない人から「一緒にビジネスをやりませんか?」と言われても、ね。傷ついたりしませんでしたよ。それどころか、ますます闘志が湧いてきました。ポジティブ・シンキングです!
2013年、革の展示会に出席するため、イタリアへ行く機会がありました。フィレンツェにトルナブオーニ通りというブランドショップが立ち並ぶ通りがあります。そこを歩いているうちにイルビゾンテのショップを見つけて、入ってみました。イタリアの邸宅を模した、宮殿のような店。店内には革のにおいが強く立ち込めていました。私は瞬時に恋に落ちました。店のスタッフに「マネジャーに会いたい」と言うと、「あす午前11時にもう一度来るように」と言われました。
ホテルに帰って、すぐにプロポーザルを書きました。会社案内はいつも持ち歩いていたので、手元にありました。翌朝11時に店へ行ってブランドマネジャーに会い、たまたま店に来ていた創業者のワニー・ディ・フィリッポさんにも会うことができました。私とワニーさんとは良い科学反応がありました。とっても楽しい人! 短い交渉の後、ワニーさんはわれわれとビジネスをすることに同意してくれました。
それから1年がかりで準備して開店するまで、道のりは遠かったですが、満足感は計り知れないものでした。イルビゾンテは私の人生の一部になりました。
これで満足しているわけではありませんよ。これからも、ポジティブに、ハッピーに、冒険と挑戦をしながら人生を生きたいと思います。
富士フイルムX-E2
写真が趣味。どこへ行くにもこのカメラがバッグに入っている。軽く、写真の質が高いので好き。HDムービーも撮ることができる。Wifiでスマホに写真を移してSNSでシェアすることも簡単にできる。
イルビゾンテのバッグ
バッグはもちろんイルビゾンテ。外国へ行く時は、いつもこれ。小さく見えるが、収納力抜群。紐の位置を付け替えれば手提げにも肩掛けにもバックパックにもなる。縦45センチ、横64センチ。
ヨハナ・イラワン
1987年、ジャカルタ生まれ。インドネシアのほか、シンガポール、ドイツ、イギリスの各国で過ごし、2010年、英シェフィールド大学卒。2011年にインドネシアに帰国後、MRAグループに入社し、韓国コスメのブランドマネジャーを務める。2013年に家業の手伝いを始め、イタリアの革製品ブランド「イルビゾンテ」と交渉し、インドネシアでの販売ライセンスを取得した。2014年、東南アジアで初めてとなるイルビゾンテのショップをグランド・インドネシアにオープン。2015年にポンドックインダ・モールに2店目、2016年にパシフィック・プレイスに3店目をオープン。