「バティック航空」名乗る振り込め詐欺に注意 3万5500ルピアのはずが3550万ルピア! バーチャル口座の金額を操作

「バティック航空」名乗る振り込め詐欺に注意 3万5500ルピアのはずが3550万ルピア! バーチャル口座の金額を操作

ジャカルタ在住のフリー通訳者Aさんが「バティック航空コールセンター」を名乗る詐欺被害に遭いました。バティック航空で頻発するトラブルやインドネシア・ルピアの桁の多さを利用した巧妙な手口です。Aさんに詳しい被害状況を聞きました。 

 バティック航空のオンライン・チェックインは、フライトの12時間前からしかできない。Aさんは翌朝のフライトを前に、午後6時過ぎにオンライン・チェックインを試みるが、「エラー」になってしまった。

バティック航空のオンライン・チェックインを試みるが、エラー
バティック航空のオンライン・チェックインを試みるが、エラー

 バティック航空カスタマー・サービスは午後5時で終了している。24時間対応のWA(AIチャット)でやり取りしてみたものの、「チェックイン」のメニューがなく、らちが明かない。そこで、ほかに番号はないかと「Batik Air Call Center」でGoogle検索してみると、「24時間対応」と書かれた番号が出て来た。

Google mapsで検索して出て来た「バティック航空コールセンター」の電話番号。こちらはすでに削除されている
Google検索で出て来た「バティック航空コールセンター」の電話番号。すでに削除されている

 この番号にかけてみたところ、女性が電話に出た。「オンライン・チェックインができない」と伝えると、「承知しました。お調べしてから折り返しますので、電話番号を教えてください」と言われた。そこで、自分の電話番号を伝えた。

 数分後に男性から着信があり、「どちらで航空券を購入されましたか? Tiket.com? Agoda?」と聞かれた。自分が手配したチケットではなかったため、「どこかはわからないが、旅行会社だと思う」と回答した。すると、「旅行会社経由の場合、予約番号でのオンライン・チェックインができないことがあります。オンライン・チェックインご希望の場合、新たなコード(番号)を発行する必要があります。手数料はRp35,500(3万5500ルピア)となりますが、手続きされますか?」と聞かれた。

 この時点で少しばかり「おかしいな」と思ったものの、3万5500ルピアであれば大した金額ではないため、手続きを頼むことにした。すると、「承知しました。それでは、手続きを行いますので、少々お待ちください。……お待たせいたしました。コードを発行します。手数料はバーチャル口座でお支払いいただけます。お支払いはモバイル・バンキングですか?……それでは、コードを読み上げますので、モバイル・バンキングを開いていただけますか?」と言われた。

 スマホでBCAモバイル・バンキングのアプリを開き、電話で言われたバーチャル口座番号を入力した。「『OK』を押してください」と言われて、OKを押した。表示された金額は「35,500.00」(3万5500ルピア)に見えたが、実際は「35,500,999」(3550万999ルピア)だった。

 続いて、「では、コード発行の認証を行います。もう一度、バーチャル口座の番号をお伝えしますので、入力して『OK』を押してください。これは『認証』ですので、2度、引き落とされることはありません」と言われた。まだ詐欺とは気付いていなかったが、「どうして2回も必要なんですか?」と聞いたところ、「認証の手続きです。その後すぐに、コードが発行されます」と言う。

 「何かおかしい」と、どこかで思いつつ、相手が非常に慣れている感じの誘導だったため、引っかかってしまった。再度、「OK」したところ、モバイル・バンキングから「残高不足」の通知が来た。「Rp35,500」(3万5500ルピア)の振込で残高不足になるわけはなく、急いで銀行口座の残高を照会したところ、「Rp35,500,999」(3550万999ルピア)が引かれていることがわかった。

 詐欺だと気付き、「これは詐欺ね!」と指摘すると、「違いますよ、コードを発行するためです。『OK』を押しましたか?」と何度も聞いてくる。すぐにBCAコールセンターの「Halo BCA」に電話をして、被害を報告した。BCAコールセンターに電話をしている最中にも、何度も犯人から電話がかかってきて、チャットも入っていた。一度成功したので「これはいける」と考えたものと思われる。

犯人からの執拗な不在着信とチャット
犯人からの執拗な不在着信とチャット

 口座にお金がある限り、何度も「OK」を押させる手口。この時たまたま、Aさんの口座の残高が7000万ルピア以下だったので、2度、引き落とされることはなかった。しかし、例えば残高が1億651万ルピアであれば、3回連続で引き落とされた可能性もある。

 Aさんは「教訓としては、オンライン・チェックインがうまくいかなかったら、無理にその原因を探ろうとしない、ということかなと思います。Googleでカスタマー・サービスの番号が他にないかと探したのが失敗でした。電話をして、なぜオンライン・チェックインができないのかを確認したかっただけなのに、詐欺に遭ってしまいました」と語る。「詐欺電話でのやり取りが、マニュアル通りに話すカスタマー・サービスのそれと同じだったので、だまされました」。

 BCAでの手続きに必要な被害届を警察で作成したところ、「同じ金額での同一の被害が既に3件、起きている」と言われた。SNSではほかにも、「バティック航空チケットのリファンドとして、バーチャル口座への送金(Rp20,717,000)を要求する詐欺に遭いかけた」といった事例がインドネシア人の投稿でも挙がっている。「バティック航空」を名乗る詐欺には注意する必要がありそうだ。

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