6月になりましたね。

 6月になったこととは何も関係がないのですが、今日はわが家の「家庭菜園ズボーラ」を紹介させてください。

 家庭菜園ズボーラはズボラな園主(私)が植物たちを気の向くままに芽吹かせ成長させ実らせて、収穫物をありがたくいただくという、努力ゼロの菜園でございます。

 家庭菜園ズボーラの始まりは、ズボーラ式コンポストでした。

 園主はかねてより家の生ゴミの捨て方が気になっておりました。なぜなら、まだ義母が台所に立っていたころ、生ゴミはその他のプラスチックゴミなどと一緒に大きなレジ袋に入れられ、勝手口近くで腐臭を漂わせていたからです。

 義母の家事に口は出さないようにしていましたが、これだけは耐えられず、生ゴミとプラスチックゴミを(できるだけ)分けてもらうことにしました。そして、生ゴミはバケツで簡単に作った高倉式コンポストにIN! 高倉式コンポストは青年海外協力隊の環境隊員と在住邦人の先輩から教わった、由緒正しきコンポストです。

 家の者も近所の人たちも、「またミドリが変なことやってる」という顔で適度に私を放置してくれたため、私は高倉式コンポストづくりにせっせと精を出していました。

 しかし、ちょっと手入れを怠ると、臭いがしたり虫がわいたりするんですよねぇ。トドメは震災で、避難地暮らしで家を空けた数カ月の間に、わいた虫が育っておりました。自分の指の長さほどに育った大量の虫……。あれを見た瞬間は、やってしまったと思いましたね(遠い目)。

 高倉式コンポストは庭の土の上に虫ごと捨てまして、今度は先ほどの在住邦人の先輩が試しておられた「庭の土に埋めるだけ」方式に変更しました。先輩は雨が当たらぬように工夫されていましたが、私は本当に埋めるだけ。ズボラの様式美を極めることにしました。これがズボーラ式コンポストでございます。

 ズボーラ式コンポストは、これ、大変らくちんなんです。なんといっても埋めるだけ。埋めたら直ちに臭いの問題から解放されます。1日1度、シャベルを手に、庭の土に穴を掘りますが、数日もすれば、埋めたはずの野菜たちは分解されて見えなくなります。トウモロコシの芯や皮、バナナの皮、マンゴーの種、骨類、卵の殻などは多少日数がかかりますが、それでも待てばしっかり分解されます。私は自然界の営みに感動しました。

 「わぁ、ほんまに土に還るんやぁ!」

 見ているだけだった家族も協力してくれるようになりました。そりゃあ臭いがしませんからね。大変なメリットです。ガーデニングが好きな義母は、いい土壌が出来ると喜んでいました。

2019年4月末の庭の写真。ズボーラ式をはじめて4〜5カ月経ったころでしょうか。ほとんど土です。このころは雨期で、毎日大雨でしたので、恐らく水分過剰で芽が出るには至らなかったのでしょう。左の方に生えているのはバタフライピーという、青く愛らしい花をつける植物です

 お手軽なズボーラ式コンポストがすっかり日課となったある日、義母が自分の育てている花に水をあげながら言いました。

 「あら、レブイ(黒い豆)の芽が生えてる」

 「シャカトウ(釈迦頭)の芽もあるわ」

 なんと土に埋めた生ゴミから発芽したようです。私が見ても、どれがどの植物なのか判別できません。ですが、義母の目は確かです。

裏庭でヨキニョキ育ち、1年ほどで収穫できるに至ったレブイ

レブイの豆は小さくて黒い。ロンボクの人たちはこのスープが大好きです

 その後、スイカが芽を出しました。こちらは夫が間違えて草と一緒に抜いてしまいました……。

 さらに、トマトの芽も生えてきました。トマトは祖母が畑に植えていたので、私でもわかります。トマトの大好きな娘は大喜び。義母が手元にあった竹をナタで縦に裂いて、支柱を作って立ててくれました。みるみるうちにトマトは大きくなり、実がなりました。うれしいな!! これがわが家のズボーラ菜園の初収穫でした。

 またたく間に、さまざまな芽があちこちから出てきました。何の芽かわからないものも義母に聞けば大抵答えてくれました。ジャックフルーツ、バヤム(学名「アマランサス」という名の青菜)、パパイヤなど。シャカトウもスクスクと育って実をつけました。先日は初めてパパイヤの花が咲きました。

パパイヤの花

 色気より食い気、花より団子。食いしん坊な私にとって、種まきさえもせずに食べ物がなるなんて夢のようです。

 コロナで家にいる時間が増えたからといって、園主のズボーラな性格が変化するわけではありません。ですから、相変わらずほとんど手を加えていないのですが、一点、バヤムがものすごい勢いで増えるので、間引きをするようになりました。これが意外や意外、癒されるんですよ。土に触れているだけなのですが、土にも自然のパワーが宿っているのでしょう。

最近の家庭菜園ズボーラ。バヤムがジャングル状に茂っています。そろそろ引っこ抜かないと

 コロナのおかげで家時間が長いため、以前よりズボーラ菜園を観察するようになりました。娘も葉っぱや花を摘んだり昆虫を見つけたりしています。雨上がりにレインドロップを眺めるのがお気に入りのようです。私もバッタがレブイの若い葉っぱを好むことを知りました。初めて見る、名も知らぬ小さな虫たちの世界。興味は尽きず、世界中に昆虫の愛好家のいる理由がわかるような気がします。

 さらに、ズボーラ菜園は、ご近所さんとの交流の場にもなってきました。先月はレブイが大量に実ったので、ご近所さんや親戚たちにおすそ分けもできました。赤ちゃんを育てているご近所さんが、たくさん生えているバヤムの葉っぱを摘みに来ます。バヤムの葉っぱは日本のホウレンソウのように軟らかくゆでることができるので、離乳食に最適なのです。前の家のおばさんや斜め向かいに住む夫のいとこが知らぬうちに敷地内に入って来て、何かの実をもぎ、葉っぱを摘んでいることもあります(笑)。

 ひたすらラクチンなわりに多くの恵みを与えてくれる家庭菜園ズボーラ。

 私はすっかり虜になってしまいました。あなたも始めてみませんか?

 

岡本みどり(おかもと・みどり)
2010年から2年間、青年海外協力隊の栄養士隊員としてロンボク島の西ロンボク県へ派遣される。2012年、任期満了後に結婚。北ロンボク県へ移住し、現在に至る。2018年のロンボク地震被災後は、家族のストレスケアのため、家族中心生活へ移行。主婦。

 

【インドネシア居残り交換日記】 
DAY 1 賀集由美子(チレボン) 2020年4月28日 怒濤の「2コマ漫画」マスク作り

DAY 2 横山裕一(ジャカルタ) 2020年4月6日 マスク越しの会話

DAY 3 西川知子(ジャカルタ) 2020年4月19日 とある休日

Day 4 成瀬潔(バリ) 2020年4月25日 嵐が過ぎるまで

Day 5 成瀬潔(バリ) 2020年4月26日 飼育係

DAY 6 ダグソト(ジャカルタ) 2020年4月29日 会社にヒョウが出た!

Day 7 西宮奈央(バンドン) 2020年5月6日  カボチャが採れるころ

DAY 8 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月6日 ジャワの農村バティック

Day 9 池田華子(ジャカルタ) 2020年4月9日 子猫を拾った

DAY 10 岸美咲(ソロ) 2020年5月10日 ジャワの芸術家のエネルギー

DAY 11 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 2020年5月10日 日曜の釣り

DAY 12 名取敬(ジャカルタ) 2020年4月某日 任天堂タイム

DAY 13 岡本みどり(ロンボク) 2020年5月10日 断食月の食事

DAY 14 賀集由美子(チレボン) 2020年5月11日 PSBB下でのバティック製作

DAY 15 武部洋子(ジャカルタ) 2020年5月19日 母は日記を書く

DAY 16 西宮奈央(バンドン) 2020年5月13日  バナナチャレンジ

DAY 17 轟英明(チカラン) 2020年3月15日〜5月24日 新しい日常  

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DAY 19 松下哲也(東ヌサトゥンガラ・アドナラ島) 2020年5月24日~29日 魚づくしごはん               

DAY 20 岸美咲(ソロ) 2020年5月27日 ガムランの「うちで踊ろう」

DAY 21 宇田川朋美(東ジャワ・クディリ) 2020年6月1日 こんな時だからこそ、家でおいしいものを

DAY 22 池田華子(ジャカルタ) 2020年5月23日 じんごろう、その後

DAY 23 西川知子(ジャカルタ) 2020年5月5日 バティック、バティック、バティック

DAY 25 高野洋一(ジョグジャカルタ) 2020年6月2日 時間があるといろいろ考える

DAY 26 村田真理子(ジャカルタ) 2020年6月4日 #大人になってまでなわとびするとわW