先月ご紹介した仲川遥香ちゃんの著書『ガパパ!』、年明けに出張者が持って来てくれて、何よりのお年玉になりました。受け取ったその日に徹夜で一気に読破、面白かったー。ネタバレになるので中身は紹介できないけど、笑ったりホロッとさせられたり、情緒不安定な一晩を過ごしました。インドネシアで暮らしていくためのバイブルかと思っていましたが、こりゃ人生の必読書ですね。彼女流のコミュニケーション術を身に付けることが人生の勝ち組になる近道かもですよ(笑)。

 また、”Om, telolet, Om”の紹介もとても好評だったようで、何よりです。いろんな所で反響をいただきました。道端で見かけて不思議に思っていた人も多かったみたいですね。早速、使ってくれた人もいて、とてもうれしく思います。流行り物なので、旬のうちに使いまくってくださいね。

 
geser【ゲセール】

 毎号のことなんですが、一番苦労するのは題材集めなんです。そして、つい陥ってしまう落とし穴が、ついつい難しいマニアックな表現を選んでしまうということなんですね。そんな反省の意を込めて、こんな単語を選んでみました。インドネシア滞在1〜2年の人なら、もう使えている単語でしょうか?

 少しの距離を移動するという意味で、「ずれる」とか、場合によっては「(隙間を)詰める」ともなるでしょうか。非常に使う場面が多いので、実践で鍛えた人には当たり前の単語だと思うのですが、机上で勉強してきたタイプの人にはちょっと苦手な表現かもしれません。

 例文もちょっと多めに出してみましょうか。”Geseran, dong. Sofanya muat 4 orang, ‘kan?”「詰めてよ~、ソファは4人がけでしょ?」とか”Eh, anak muda geser, dong. Kasih duduk buat nenek itu.”「ほら、若者はおばあさんが座れるように詰めなさいよ」なんてのが一般的な使い方です。

 さらに、ちょっと上級の応用編です。”Ini cara buka iPhone-nya gimana?””Geser aja layarnya.”「このiPhone、どうやって起動するの?」「画面をスライドしてごらん」とか、自然に使えたら格好いいですよね。

 ”Kok, pintunya udah saya tarik enggak kebuka, Pak?””Ya, iyalah, Mbak. Ini, ‘kan, pintu geser.”「さっきからドアを開けようとしてるのに、なぜ開かないの?」「そりゃそうですよ、ドアは(開き戸じゃなくて)引き戸ですよ」って、懐かしい昭和のコントですね。

 ● muat 入る、収納する
 ● layar 画面
 ● tarik 引く
 ● kebuka 開いた

 
 
ngaret【ガレット】

 遅れた関係のワードってインドネシアじゃ活躍しまくりですよね。自分たちが待たされるだけではなく、こちらも渋滞や飛行機のディレイなどで遅れてしまうことが多いのではないでしょうか。一般的なterlambatや会話的なtelatが有名ですが、ちょっとイカした言い方をマスターしましょうか。やむを得ない事情で遅れるというより、時間にルーズな人に対して使える表現です。

 ジャカルタに来てすぐに(人によっては来る前に)覚える有名な言葉でjam karetというのがありますよね。時間にルーズな「インドネシア時間」を、自在に伸び縮みするゴムを使って「ゴム時間」と称する、定番の熟語です。karetがゴムという名詞なのですが、ngaretはこれを動詞にして「ゴムする」という言い方です。minum kopi(コーヒーを飲む)をngopi(コーヒーする)、ke kafe(カフェに行く)をngafe(カフェする)など、日本語ともちょっと似ている考えなので、受け入れやすいんじゃないでしょうか。
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 ”Kalau janjian sama dia, kamu majuin 30 menit lebih cepat. Suka ngaret soalnya.”「彼女との待ち合わせなら30分早めに言った方がいいよ、いつも遅れるんだから」や”Aaah, kebiasaan ngaret nih band. Blacklist, ya! Tahun depan jangan undang mereka lagi.”「あーあ、バンドがまた遅刻。ブラックリストだね。来年は彼らを呼んじゃだめだよ」のように使うと皮肉の感情も込められてピッタリですね。

 ● majuin 早くする
 ● soalnya というのも、実は
 ● kebiasaan 習慣、癖

 
 
gandul【ガンドゥル】

 真珠のショップでインドネシア人のお客様から時々聞く表現です。吊るされていてじっとしていない、ブラブラ揺れる状態です。ダブって使われる時にはgondal-gandulとなり、これはgonta-ganti(代わる代わる)やmondar-mandir(行ったり来たり)のように、よくある変化です。

 ”Saya mau beli anting mutiara, tapi antingnya gandul gitu. Bisa, enggak?”「真珠のイヤリングが欲しいんだけど、こんな風にぶら下がるデザインにできますか?」なんかが、店でよく聞くパターンです。

 ”Maaf, pulang dari Jepang, saya cuma bisa bawa oleh-oleh gandulan HP. Semoga kamu suka, ya.”「ごめんね、日本からのお土産は携帯ストラップだけなの。気に入ってもらえるといいんだけど」。携帯ストラップはgantungan HPもよく使われるけど、gandulの方が、ブラブラ感が強調されます。

 ● anting イヤリング
 ● gandulan HP 携帯ストラップ

 
 
びーと(名取敬)
「N真珠」オーナー。1993年からインドネシア在住。1998〜99年、よろずインドネシアに「かたかたインドネシア」を掲載する。2010年から『南極星』、2016年に『+62』に場を移し、好評連載中。「びーとxタケノコ先生のライフハック!」も連載中。
 
 
かたかたインドネシア #52

びーとxタケノコ先生のライフハック! 1 コミュニケーション力とは。
びーとxタケノコ先生のライフハック! 2 人工知能と経営。