ジョグジャのジャムー・シーンをぎゅっと凝縮 「+62ジャムーツアー」はジャムーがテーマの観光ツアー 

ジョグジャのジャムー・シーンをぎゅっと凝縮 「+62ジャムーツアー」はジャムーがテーマの観光ツアー 

インドネシアの伝統的な健康飲料「ジャムー」(jamu)は中部ジャワが発祥。しかし、同じ中部ジャワでも、ジョグジャカルタ、ソロ、スマランには、それぞれ違った「ジャムー・シーン」があります。+62の「ジョグジャカルタ・ジャムーツアー」は、ジョグジャのジャムー・シーンをぎゅっと凝縮した内容です。あまりディープすぎない、「ジャムーをテーマにした観光ツアー」ですので、「ジャムーの味があまり好きではない」「ジャムーに特に関心はない」という方でも楽しんでいただけます。8月31日〜9月1日に第1回ツアーを開催しました。

 ジョグジャ国際空港に到着したら、まずはジャムー会社「ナトリンド」の薬草園へ。レクリエーション施設としても利用されている、広々とした敷地に作られた公園です。薬草約200種類が植えられており、タマリンド(アッサム・ジャワ)、キンマ(シリ)など、ジャムーの材料として使われている植物が、実際にどんな風に生えているのかを見ることができます。

薬草園に植えられている薬草
薬草園に植えられている薬草。ボードにインドネシア語の名前、学名、効能が書かれている
ジャムーツアー、最初のジャムー!
ジャムーツアー、最初のジャムー!

 公園を歩き回った後で、このツアーでの初ジャムー! 温かいジャムーを素焼きのポットからコップに注いでもらいました。メジャーな植物がいろいろ入った、ジョグジャカルタの伝統的なジャムーです。ショウガを効かせた「ウェダン・ジャへ」に似た、温かい、優しい味でした。

 この後、いよいよジャムー作りの体験です。眺めの良い東屋で一人ずつ、「ブラス・クンチュール」を作りました。クンチュールやショウガをやかんで煮て、トントンたたいてつぶします。出来たての熱いジャムーをいただき、作りたての味を楽しみました。

眺めの良い東屋でジャムー作り
眺めの良い東屋でジャムー作り体験

 昼食後にジョグジャ市内へ。最初の訪問先はジョグジャ王宮御用達のジャムー店「ジャムー・ギンガン」。王宮に仕えるジャムー屋で、2代目までは「門外不出」でしたが、3代目からは、時代が変わったこともあり、カフェの形で一般にもジャムーを出すようになりました。今のオーナーのルディさんは5代目です。

 製造方法は昔のままで、機械はいっさい使っていません。奥の製造風景を見せてもらうと、どの鍋も薪の火にかけられています。ガスではなく薪を使うのが重要だそう。カフェのジャムー・メニューは47種類もあり、皆で好きなジャムーを一品ずつオーダーしました。

「パヒタン」と呼ばれる苦いジャムーを製造中
「パヒタン」と呼ばれる苦いジャムーを製造中。下写真の黒いジャムー(右上辺り)
皆で注文したジャムー
皆で注文したジャムー

 上写真が、皆で頼んだジャムーです。コップの大きさがバラバラなのは、苦いジャムーを頼んだ場合は「お口直し」にと、小さいコップで甘いジャムーを出してくれるから。氷入りのコップは「冷たいジャムー」です。元々は温かいジャムーしかなかったのですが、運動をした後にジャムーを飲みに来た人が「冷たい物が欲しい」とリクエストし、追加されたメニューだとのことです。

 ジャワでは、ジャムーは赤ちゃんの時から飲みます。ジョグジャ市内にある、これも伝統的な「小児科ジャムー屋」を見に行きました。生後8カ月から2歳未満の赤ちゃんが対象で、体調が悪い時にお母さんが連れて来ます。咳がひどい、熱がある、食欲がない、といった症状を聞いて、ジャムーを調合し、ジャムーを布にしみこませてから口の中に絞り入れます。

赤ちゃんの口にジャムーを絞り入れる
ジャムーを布にしみこませ、赤ちゃんの口の中に絞り入れる

 今のオーナーは5代目で、「赤ちゃんのころに連れて来られた」という人が自分の子供を連れて来たりしています。ジャムーの伝統がジョグジャの人々に深く根付いていることが感じられます。

 夕食は、王宮の隣にあるレストランで、ジャムーが生まれた王宮の雰囲気を楽しみながら、ジョグジャ名物の「グドゥック」やお薦め牛タンシチューをいただきました。

 食後には、有名ジャムー店「ブ・タリ」へ。いつも混み合っている店ですが、ちょうど空いていたので、皆で再びジャムーを飲みました。症状を聞いて、その場で調合してくれます。一人は「貧血」、そのほかの人たちは「疲れている」で、調合してもらいました。飲んでみると、非常に濃いジャムーです。「飲み物」ではなく「生薬」。ダイレクトに胃腸に効き、体が動き出す感じがします。しっかり濃いのに、飲みやすい味でした。

ブ・タリ
タリさん(ブ・タリ)が調合してくれる

 2日目は、「ジャムー村」として知られるキリンガンへ行きました。ジョグジャ市内から車で45分ほどです。

 この村のジャムー売りは、背中にボトルを入れたかごをかつぐのではなく、自転車の荷台にジャムーの材料を載せます。そして、ボトル入りのジャムーのほか、ペースト状にしたジャムーの材料を隣に載せ、症状やオーダーによって、その場で調合します。これは、この村だけでなく、ジョグジャで多く見られるスタイルです。 

ジャムー売りの荷台
ジャムー売りの荷台。右側(上)にジャムーのボトル、左側(下)にペースト状の材料

 コップは、ココナッツの器を使います。ここでも「チェイサー」的な「お口直し」ジャムーがあり、両手にココナッツの器を持ってジャムーを飲むのが楽しいです。ブラス・クンチュールを作る様子を見て、ジャムー売りの自転車を引く「ジャムー売りごっこ」もしました。

ジャムー売りごっこ
「ジャムーは要りませんか?」。ジャムー売りごっこ

 村を散策すると、階段のコンクリートの隙間などのあちこちに薬草が生えています。庭に植えてある物もありますが、野草のように生えている物も薬草です。ミニ・ドラゴンフルーツのような、珍しい植物もありました。ジャムーが生活に根差しており、周りの自然から材料を採っている、ということが実感できました。

 この村で、ショウガ系の「トゥム」、レモングラス、アッサム・ジャワなど、ジャムーの材料を購入しました。「トゥム・マンガ」はマンゴーのような、さわやかな柑橘系の香りがします。買って帰った参加者から、「和風の麻婆豆腐に使いました。山椒に似ているけど、そうでもない、さわやかな香りがたまりませんでした。蒸し魚にも合いそう」というコメントをいただきました。

 昼食後にジョグジャ市内でお土産の買い物をしてから、空港へ向かいました。

お昼のサテカンビン。手前の塩焼きが絶品
昼食のサテ・カンビン。手前の塩焼きが絶品

 ジャムーの材料が生えている所を見て、自分でジャムーを作り、王宮ジャムーや有名ジャムー店でジャムーを試飲し、ジャムーの材料を買い物。王宮で始まったジャムーがジョグジャの人々の生活に深く根付いている様を見て体験することができました。

 第2回ジョグジャ・ジャムーツアーは9月21日(土)〜22日(日)の開催です。まだ空きがありますので、是非どうぞ!
 

<開催済み>ジャムーの本場を訪ねて 第2回ジョグジャ・ジャムーツアー、9月21〜22日に開催!
ジャムーの本場ジョグジャカルタへ行き、産地でジャムーの材料を見たり、ジャムー作りの見学・体験をします。ジャムーの老舗店やカフェ、ジャムー材料が売られている市場も…
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