賀集由美子さんのシルクスクリーン原版が見られる 「ペン子の世界」展、12月2日まで

賀集由美子さんのシルクスクリーン原版が見られる 「ペン子の世界」展、12月2日まで

2024-11-19

 チレボンのバティック作家、賀集由美子さんのシルクスクリーン原版を展示する「ペン子の世界」が11月16日、ジャカルタのグランド・インドネシア内アルンアルンで開幕した。シルクスクリーン原版約50枚と、それをキャンバス地に刷った作品が並べて展示されている。12月2日まで。

青色の物がシルクスクリーンの原版、白い物が手刷りした作品
青色の物がシルクスクリーンの原版、白い物が手刷りした作品。下に置いてある、手に取りやすい原版は、是非、手に取って、光に透かしてご覧ください
「ジャワの食」をテーマにした一枚。さまざまな地方の名物料理が取り上げられている
「ジャワの食」をテーマにした一枚。バンドン、チレボンなどの名物料理が取り上げられている

 賀集さんは2000〜2021年、チレボンでバティック工房「スタジオ・パチェ」を主宰していた。人気のオリジナル・キャラクター「ペン子ちゃん」が生き生きと活躍するシルクスクリーンの作品も、2010年ごろから多数、制作している。テーマはバラエティーに富む。バティックの紹介やチレボン案内、バリ島の絵地図など。どれもインドネシアらしさにあふれ、インドネシア紹介やインドネシアのお土産にぴったりだ。

 あまり見る機会のないシルクスクリーン原版は、木枠にスクリーンが貼られており、スクリーンに絵や文字が焼き付けられている。その上からインクを塗ると、焼き付けられたメッシュ穴をインクが通過し、布などに転写される、という仕組みだ。

 スクリーンは青色で、インクを通す部分は白く見える。光に透かすと、線が光って浮かび上がり、なんとも美しい。下に置いてある原版など、手に取りやすい物は手に取って、光に透かして見てみてください。

バッソ売りの屋台。光が通る
バッソ売りの屋台。光が映っている

 版を刷ると、賀集さんが手描きした絵と文字が、そのまま布に写される。デジタル化されていない、手刷りならではの味がある。

 賀集さんは手仕事にこだわりがあった。シルクスクリーンは「プリント」なのだが、手を使う。細部まで描き込まれた絵を眺め、文字を読んでいると、隅々まで楽しめ、見飽きない。それは、手刷りだからというのもあるだろう。賀集さんの絵や文字がまったく損なわれていないのだ。

 すぐに飾れるキャンバス地の額絵は45万ルピア〜で、売り切れの場合は注文もできる。そのほか、手刷りのトートバッグ、デジタル・プリントのペン子ちゃんTシャツなども販売している。シルクスクリーンの再生産と販売は、「賀集さんの作品を後世に残そう」という有志によるグループ「スタジオ・パチェ・プラス」の活動だ。

ジャワ伝統のジャムー売り。背景のジャワの田園風景、ジャムーの材料を持つペン子のかわいさも秀逸
ジャワ伝統のジャムー売り。背景に描かれたジャワの田園風景に加え、ジャムーの材料を持つペン子のかわいさが秀逸

 会場で販売されているバティック布やバティック小物は、賀集さんと親しい関係にあった工房や職人の作品だ。チレボンのアリリ工房とカトゥラ工房、インドラマユにあるエディさんの工房とバティック職人アアットさんの作品が並べられている。

インドラマユのチャップ・バティック
インドラマユのチャップ・バティック

 11月23日(土)午後2時から、「ペン子に学ぶインドネシア」講座が開催される。最初に、シルクスクリーンで印刷する仕組みについての解説と、実際に手刷りをしてみせるデモンストレーションがある。続いて、シルクスクリーンの原版のいくつかを使って、そこに書かれているインドネシア語や背景を解説する。ぎっしり書かれた文字の意味を知りたい、という方は、是非どうぞ。入場無料。

ぎっしり描き込まれた絵と文字を楽しむ。インドネシア文化やインドネシア語の勉強に!
ぎっしり描き込まれた絵と文字を楽しむ。インドネシア文化やインドネシア語の勉強に!

「ペン子の世界〜賀集由美子さんのシルクスクリーン展示会」
2024年11月16日(土)〜12月2日(月)、グランド・インドネシア西館3階「アルンアルン・インドネシア」。賀集由美子さんのシルクスクリーン原版、シルクスクリーン作品、バティックなどを展示します。入場無料。

「ペン子に学ぶインドネシア」講座 & シルクスクリーン手刷りデモ
2024年11月23日(土)午後2時〜同3時半、グランド・インドネシア西館3階「アルンアルン・インドネシア」。賀集さんの制作したシルクスクリーンを使って、インドネシア語、背景などを解説します。シルクスクリーン手刷りのデモも。入場無料。