インドネシアの発酵食品タペの実力

インドネシアの発酵食品タペの実力

2017-01-17

もち米を麹菌で発酵させたタペ。
実は、すごい実力の持ち主なんです。
塩麹と同じで、肉や魚、野菜を漬けておくと、軟らかく、おいしくなります。
皆さんにタペの実力を知ってほしい!……という特集です。

 

 事の発端は、「皆さんでどうぞ〜」とチレボンの賀集由美子さんがどっさり持って来てくれたチレボン・クニンガン名物の「タペ」だった。

 タペといえばタペ・シンコンが有名だ。白い大根のようなものがいっぱいぶら下がっている→好奇心も手伝って、買って食べてみる→「うっ!!」。これが日本人の場合、ほとんどのケースと思われる。強い発酵臭と酒臭さ、甘ったるさで、あまりおいしいとは思われない代物だ。

 もち米のタペも、そのまま食べると同じく「うっ!!」なのだが、賀集さんは「料理に入れるといいですよ」と言う。「肉じゃがや厚焼き卵なんかに入れるとおいしい。米のつぶつぶ感も楽しい」。

 そこで、まずは一番簡単な卵焼きに入れてみた。卵を溶いて、塩少しとタペを投入。焼いてみたら……ただこれだけで、びっくりするほどのおいしさだ。続いて肉じゃがもやってみた。コクが出て、まろやか。

 タペはジャカルタでは手に入りにくい酒・みりん代わりに使える。発酵臭と酒臭さは加熱すると飛んでしまう。「タペは和食に合う!」と発見した。

 こうして、非常に局地的ながら弊誌編集部を中心に、突如として「タペ・ブーム」が起き、いろんな料理に競ってタペを投入してみるようになった。「カレーに入れてみた。甘くなり過ぎたけど、サンバルでバランスを取ったら絶妙」「お好み焼きもいける」「ホットケーキに入れてみたらどうか」などと、実験を繰り返していった。こうして出来上がった「これはおいしい!オススメ!」というレシピをご紹介します。

*タペは「グランドラッキー」などで売られています。
 
 

タペ入り卵焼き

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<材料>
卵 3個
白じょうゆ 25cc
砂糖 小さじ山盛り1
タペ 1個(20g)

<作り方>
①卵をほぐし、白じょうゆと砂糖を入れる。
②①を半量ずつに分け、それぞれにタペを入れる(下の方にタペが沈んで残ってしまうので、タペを均等にするため)。
③卵焼きを作る。タペを入れると通常より焦げやすいので注意する。
④あれば塩麹をかけたり、大葉を載せる。

さっぱり梅肉じゃが

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<材料>
豚肉薄切り(ロースまたはバラ) 100g
ジャガ芋(中) 2個
うずら卵 20個ぐらい
梅干し(中) 5〜6個
大葉 適量

A  水 350cc
  白だし 50cc
  しょうゆ 20cc
  酒 50cc
  本だし 4g

タペ 1個半(30g)

<作り方>
①うずら卵は水から10分間ゆでて、皮をむいておく。
②梅干しは種を取り、果肉をたたいて粗く刻む。
③水を沸騰させ、豚肉を1枚ずつほぐして入れ、下ゆでする。ざるに取って水洗いし、あくを取る(ジャカルタの豚肉の場合、臭みとあくを取るため、下ゆでした方が良い)。
④ジャガ芋の皮をむき、1個を1/4の大きさに切る。
⑤鍋にAとタペを入れて煮立てる。
⑥鍋に梅干し、豚肉、ジャガ芋、うずら卵を入れ、落とし蓋をして約1時間、煮る。
⑦器に盛り付け、大葉を刻んで載せる。

サワラの紅白西京焼き

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<材料>
サワラ 2切れ
タペ 1個(20g)
塩 1つまみ

<作り方>
①タペと塩を混ぜ、サワラを1晩、漬け込む。紅白にする場合、もち米のタペと黒米のタペの2種類で漬ける。
②サワラを焼く。

浅漬け

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<材料>
ニンジン(大) 1本
キュウリ(大) 1本
大根(中) 1/2本
塩 野菜の重量の2%
タペ 2個(40g)

<作り方>
①野菜を粗く切る。
②塩とタペを混ぜ、野菜を漬ける。半日ぐらい置けば、もう食べられる。

粕汁

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<材料>
タペ 2個(40g)
鮭アラ 500g
ジャガ芋 3個
大根(大) 1/2本
長ネギ 2本
大根の葉 1/2包み
昆布 長さ3cmぐらい
水 1.5リットル
塩 小さじ1+適量
レモン(インドネシア産の緑色のもの) 1個 *普通の黄色いレモンの場合、1個半
しょうゆ 適量

<作り方>
①ジャガ芋は1口サイズの乱切りにし、水にさらす。大根も同じ大きさに揃えて乱切り。長ネギは長さ2〜3cmに揃えて切る。鮭のアラはうろこや汚れがあれば、きれいにする。昆布は水に漬けておく。
②鍋に水、昆布、ジャガ芋、大根を入れて煮る。煮立ったら鮭と長ネギを入れる。火を通しながら、アクを取る。
③タペをほぐしながら入れる。続いて塩を入れる(レモンの酸味が入るので、ここで塩気が足りないぐらいでも大丈夫)。
④ジャガ芋と大根が軟らかくなったら、レモンの果汁を加える。しっかりレモンの香りをつけたい時は、1/4個分ほどの皮の表面(白い部分は除く)をおろして加える。味をみながら塩加減を調整し、最後にしょうゆをひとまわしほど加える。
⑤別にゆでて適当な大きさに切った大根の葉と一緒に盛り付ける。好みで、コショウや一味などを加える。

ホットケーキ

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<材料>
ホットケーキミックス 1袋
卵 1個
牛乳 規定の分量より20cc減らす
タペ 1/2個(10g)
溶かしバター 大さじ1

<作り方>
①卵をほぐして牛乳を加え、タペと溶かしバターを入れて、よく混ぜる。ホットケーキミックスを加える。
②フライパンで両面を焼く。ホットケーキにタペの味はほとんどしないが、非常によく膨らむ。

酒まんじゅう

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<材料>
A タペ 3個(60g)
  水 大さじ2
  砂糖 40g

B 小麦粉 200g
  米粉 60g
  ベーキングパウダー 小さじ2

水 適量
あん 適量

<作り方>
①Aをフードプロセッサーにかける(または泡立て器で良く混ぜ合わせる)。
②Bの粉類を合わせてふるい、①と混ぜる。水を少しずつ足していき、耳たぶより少し硬いぐらいにする。
③15分ほど休ませる。
④生地を12等分にして、あんを包む。
⑤綴じ目を下にして蒸し器に並べ、15分ほど蒸す。