歩くヨロコビ 「歩く会」が14周年

歩くヨロコビ 「歩く会」が14周年

2017-06-19

 「歩く会」。そのシンプルなネーミングの通り、ジャカルタ郊外を「歩く」会。2003年に吉田稔さん、梶原章平さん、冨谷時義さんが発起人となって始まった。現在もジャカルタに在住する吉田さんと梶原さんは、西欧人が中心の会「ハッシュ・ハウス・ハリアーズ」(「猟犬」となったランナーが「ウサギ」役の人を追いかけるゲームが元。「走る会」)に所属してジャカルタを走ってきた。その面白さを日本人の間でも分かち合いたい、と「歩く会」を発足させた。「お手軽に」という理由で、走るのではなく歩く会にした。ジャカルタで生活していると、なかなか「歩けない」ことから、人気を集め、参加者が増えていった。

 2017年6月11日にプンチャックで開催された「14周年記念ウォーク」は第139回の開催。ショート、ミドル、ロングの3コース(約3〜5時間)が用意され、133人が参加した。

 ショートは午前9時過ぎに65人で出発した。道は真っ直ぐに茶畑の中へと入り、1時間余りもだらだらした上りが続く。標高の高いプンチャックに車で着いてすぐは「涼しい」と感じたが、歩き出すとすぐに暑くなり、汗が後から後から噴き出す。「歩く」んでしょ?と、なめた格好で来ると後悔する。なかなかハードなコースなのだ。

 時には草をかき分けて「道なき道」を行ったり、小さな水の流れを越えたり、ちょっとした「冒険」付き。茶畑の中をジグザグに登ったり、見晴らしの良い場所に出たり、急斜面を一気に下ったり、道は変化に富む。会はボランティアで運営されており、コース担当は4、5回の下見をして、コースを作る。

 歩いていると聞こえる、セミの声、鳥の声。ひらひらと飛ぶ蝶。茶畑では笠をかぶった女性が「ジャキジャキ」と、大きなはさみを動かしている。刈りたての茶葉が網袋の中にぎゅうぎゅうに詰め込まれて道に置かれているのも珍しい光景だ。茶畑の向こうには薄紫色をした山並みが見え、ビルばかりのジャカルタとは違うのどかな景色にほっとする。

 後半の下りになってからは、急に足が軽くなった。子供たちもスピードを上げて駆け下りていく。

 終わってしまえば、約3時間の歩きは「ちょうどいい運動」と思える。土を踏みしめ、でこぼこした地面を歩くのは、ジムのランニングマシーンを歩くのとはまったく違う感覚だ。歩くことに喜びがある。

 「月1回の歩く会を、家族3人の中で子供(小学4年)が一番楽しみにしている」、「日本でちょうど山にはまりかけていた時に、インドネシア赴任が決まってしまって。グデ登山が目標です」。子供から大人まで、日本人もインドネシア人も、背景はさまざまながら、歩くことを楽しむことにかけては1つ。

 2017年7月15日は「グデ登山」挑戦の日。通常は山中に1泊するグデ山を日帰りで登って下りるという強行軍。歩く会の伝統行事となっている。

歩く会/毎月1回(原則は第2土曜)開催。これ以外に年1回の特別なイベントとして、歩く会発足記念ウォーク、グデ登山、ジョグジャカルタ世界遺産ウォークがある/参加自由/問い合わせは事務局まで。Email : jwcarukukai@yahoo.co.jp、携帯0811-167780(信夫=しのぶ=さん)、歩く会ブログ:http://d.hatena.ne.jp/jwcaruku/(翌月の予定などを掲載)。