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文・写真…鍋山俊雄

インドネシアに住んでいると意外にあちこちで火山が噴火しており、日本と同じ火山国だと改めて感じる。一方で、美しい山も多い。私はあまり登山はしないが、登山好きの方には興味深い山々が多いそうだ。その中で、朝焼けの風景が「まるで月面のように美しい」と有名なのがブロモ山である。ブロモ山のあるのが東ジャワ州。東ジャワ州について2回に分けて書くことにする。

ブロモ山は標高2300メートル余りだ。バトー山など複数の山に囲まれたカルデラの中にあり、周辺の崖上から眺める、ブロモ山を含めたカルデラ地域の絶景が有名だ。

ブロモ山に行くツアーは数多いのだが、週末ツアーであれば、金曜日の夜にジャカルタを発ち、1時間半余りでスラバヤへ到着する。そこから約3時間かけて車で移動し、夜中の1時近くに、ブロモ山周辺地域のホテルに着く。約2時間後の午前3時半にはホテルをジープで出発し、1時間ほどで、カルデラ外輪山のプナンジャカン山頂の展望台に着く。

展望台までの道路はあるが、日の出の時は駐車場に車が入りきらず、道の横に連なって駐車している。標高が2700メートルもあり、かつ早朝なので、気温は一桁台で、相当に冷え込む。

早朝にもかかわらず、展望台は大混雑。少なくとも1000人ぐらいの観光客が、思い思いに日の出までの時間を過ごしている。午前5時過ぎから東の空が明るくなっていく。ブロモ山、バドック山、スメル山などに光が当たり始めると思わず息をのむ。手前の円錐形をしたバトック山の山肌に刻まれた稜線が織りなす陰影、左奥の活火山のブロモ山から立ち上る白煙が、月面のようだと言われる所以である。この風景は個人的に、「インドネシアにいる間に見るべきスポット」リストの中には確実に入ると思う。

絶景を堪能した後は、車でカルデラの中に移動し、幻想的な砂漠の風景の中、ブロモ山の麓へ馬に乗って向かう。

白煙が見えるブロモ山は登山用の階段が整備されており、便利だが、秘境感がまるでない所が少し残念だ。山頂も、火口へ落下しないように柵が整備されている。山頂から振り返ると、カルデラ内を一望することができる。

時々、火山活動が活発化して立ち入り禁止になることから、文字通り「行ける時に行っておく」べき場所だ。私がまた行くとしたら、押し合いへし合いして見る日の出の時間帯を避けて、昼間のもう少し空いているであろう時間にのんびりと見てみたいものだ。

この時は週末の2泊3日ツアーで、ブロモ山を見た後はマランに宿泊し、翌日、ブリタルにあるスカルノ初代大統領の墓を見学した。

ブリタルはスカルノの生家がある故郷だ。スカルノが亡くなった当時、「軍は首都に近いところに墓を作ると、人々が墓参に駆けつけ、スカルノ人気が沸騰するのではないかと恐れたようで、スカルノの生まれ故郷のブリタルに葬ることを提案したのだった」とスカルノ大統領の第三夫人であるラトナサリ・デヴィ・スカルノ氏の著作「デヴィ・スカルノ回想記」には記してある。

当初はスカルノの両親の墓の隣にあった、ごく普通の墓地だったそうだが、その後、さすがにそれは初代大統領の墓としてはどうかということで、今の場所に移されたそうだ。今では、立派な廟のほか、「ブン・カルノ博物館」として、スカルノのさまざまな写真や1945年8月17日にスカルノによって読み上げられたインドネシア独立宣言(Proklamasi Kemerdekaan Indonesia)の原稿などが展示してある。

スカルノの墓

墓に併設されたブンカルノ博物館にある独立宣言の原稿

墓の出口からスカルノ・グッズの土産物屋が並ぶ

このブリタルから約5時間かけてスラバヤの空港まで行き、ジャカルタへ帰った。

ジャワ西部では、ジャカルタに対する高原の避暑地としてバンドンがある。マランは、東の都市スラバヤに駐留していたオランダ人が避暑に来ていた場所だそうだ。マランは雰囲気が気に入って、後日、もう一度、日帰り弾丸旅行で行った所である。

玄関口となる鉄道の駅の前には大通りがあり、池を囲む「Alun-Alun Tugu Malang」というサークルを中心にして放射状に道路が広がり、オランダ占領時代の建築が残っている、趣のある所だ。

ジャカルタからの早朝便でマラン入りした後、まずは地元住民で賑わう、小1時間の市内観光バスツアーに参加した。

その後、最近、観光スポットとして注目を集めつつある、建物にカラフルなペインティングを施した村「Kampung Warna-warni Jodipan」に行くことにした。ペインティングを施した地域は2つの村(Jodipan、Tridi)にまたがってブランタス(Brantas)河川敷にあり、「インスタ映え」する場所として有名になっている。

Alun-Alunから、徒歩でおよそ15分ぐらいの距離にある。道をしばらく行って、高台を通っているガトット・スブロト通りの左側を眺めると、眼下に、カラフルに塗装された家が立ち並ぶ。一方、道の右側には、最近完成した、すべて青色で統一された「Kampung Biru」が広がっている。

まずは「Kampung Jodipan」に入ってみた。入口で入村料3000ルピア(20円程度)を払い、カラフルに塗られて軒先を連ねる家の間を抜け、下へと降りて行くと、ブランタス川に出る。その川は、橋の部分がガラスで透けて見える「ガラスの橋(Jembatan Kaca)」で渡ることができる。

周りの壁も、階段も、すべてがカラフルに塗装されている。訪れたのが週末ということもあり、観光客がさまざまな所で写真を撮っていた。週末には1000人単位で観光客が見学にくるそうだ。

モスクの緑も周囲に溶け込みます

元々は川沿いの普通の村だったそう。2016年ごろ、地元の大学生が中心となり、社会活動として、地域美化として家屋をカラフルにペインティングするという提案をし、村民だけでなく地域の壁画家も参加し、数カ月かけてペンキ3トンを使ってペインティング作業を進めたそうだ。これは住民の意識を変えたのみならず、観光スポットとして新たな村の収入源となった点も注目されており、後に、バスキ公共事業・国民住宅相(当時)や在イ豪州大使らが視察に訪れている。

村が一望できる場所には数々の写真撮影用のスポットが設置されており、インスタ好きの若者が、思い思いのポーズで写真を撮り合っている。

フォトスポットがたくさんある

道路の反対側の「Kampung Biru」は比較的新しい場所で、家の軒先や、重なり合う家から奥に向かって青い屋根が連なる風景は、暑さをひととき忘れさせ、インドのブルーシティー(?)のようだ。

まだ工事中の所もあり、撮影スポットがまだあまりないことから、お隣に比べて観光客で賑わっている感はなかったが、賑わうようになるのも時間の問題だろう。私としては、カラフルな村より青一色の村の方が住んでいて落ち着くような気もするが、住民はどのように感じているのだろうか。

昼は、アンティーク品が飾られて博物館のようなレストラン「Inggil Museum Resto」で食事をし、マランからスラバヤまで2時間かけて列車の旅を楽しみ、スラバヤからジャカルタへの夕方の便で帰った。

Inggil Museum Resto

ブロモ山は、日の出狙いであれば泊りがけになるが、マランだけであれば、空と列車の旅を組み合わせて、週末にちょっとした息抜きで行くことができる場所だ。

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