「いまはむかし」11月にジャカルタで上映会、監督も来イ 日本軍政期のインドネシアを知る

「いまはむかし」11月にジャカルタで上映会、監督も来イ 日本軍政期のインドネシアを知る

2022-10-27

日本統治下のジャワでプロパガンダ映画を制作していた映像編集者・伊勢長之助さんの足跡を、映画監督である息子の伊勢真一さんがたどる映画「いまはむかし〜父・ジャワ・幻のフィルム」。約30年かけて制作され、2021年に公開。ロングラン上映し、キネマ旬報文化映画ベストテン3位になった。今年11月、作品の舞台となったインドネシアで初上映される。(写真は全て、いせフィルム提供)

伊勢長之助さん
伊勢長之助さん

 インドネシアでの上映ツアーは、11月14日からジョグジャカルタで開催されるドキュメンタリー映画祭での初上映の後、20日にジャカルタで、日本語字幕版とインドネシア語字幕版を各一回ずつ上映する。監督の伊勢真一さんも来イし、上映会後には質疑応答セッションも予定している。

 第二次世界大戦中、日本は1942年にオランダ領東インド(現在のインドネシア)を攻略。オランダ軍は3月9日に全面降伏した。その後、日本から第一線の文化人を送り込む日本の文化政策が始まった。伊勢長之助さんは1942年にジャワ軍監部宣伝部の一員としてジャワ島に来た。それから1945年の終戦まで、日本映画社ジャワ支社の中心人物として、日本のプロパガンダ映画を制作し続けた。戦後、このジャワ時代のことは真一さんにいっさい語ることなく、1973年に亡くなった。

 映画「いまはむかし」では、伊勢真一さんが父親の足跡をたどる。父は何を思い、何を考え、プロパガンダ映画を制作していたのか。父の作った映画を探して、オランダへ。ハーグの国立公文書館には、父らが制作した映画約130本が保管されていた。中には、スカルノ氏(後のインドネシア初代大統領)が登場する貴重な映像もある。ほかには、「貯金しましょう」「マラリア撲滅」といった、当時の様子がうかがえる、市民生活を啓蒙する映画もある。真一さんは続いてインドネシアへと渡り、日本軍政を体験したインドネシアの市民やジャーナリストらから生の声を聞く。

 このような日本軍政期のドキュメンタリー映画はほとんどなく、貴重だ。日本軍政期の文化政策を研究しており、ジャカルタでの上映会を支援している油井理恵子さんは、「当時を語る人々の言葉や映像はずっしりと重いが、白黒つける、悪を糾弾する、といった映画ではない。伊勢監督にとっては自分の父のことであるし、同じ映画人として自分だったらどうする、といった、逡巡する気持ちが表れている。『主張する映画』ではなく、見た人が自分で考えるように『投げかけられる映画』だ」と語る。

 日本の上映会に来たインドネシア人観客からは「自分たちが言いたかったことを代弁してくれた」という声が寄せられた。インドネシアに駐在経験があるという日本人からは「インドネシア人と仕事したり交流する上で、駐在の前に見られていれば、と思う。今回、こうやって知ることができてよかった」という感想があったという。

 ジャカルタでの映画上映会は参加無料。いせフィルム主催による自主上映なので、カンパは歓迎。

野外で撮影している伊勢長之助さん(写真右)

「いまはむかし」ジャカルタ上映会

「いまはむかし」(2021年、1時間28分)
※日本語。インドネシア人へのインタビューなどの一部はインドネシア語(日本語字幕付き)

■日時
11月20日(日)
13:00 インドネシア語字幕版
16:00 日本語字幕版

■場所
国際交流基金ジャカルタ日本文化センター サクラホール(Summitmas 2, 1st Floor, Jl. Jend. Sudirman Kav. 61-62)
※日曜は正面入口が閉まっているため、建物の裏にある入口から入る

■定員
各回100人(先着順)
※インドネシア語字幕版、日本語字幕版ともに、開始30分前に整理券が配られる

■お問い合わせ
メール:info.imahamukashi@gmail.com(油井さん)