西ジャワ州チレボンのバティック技法「ウィット」が、「原産地を特定する」技法だとインドネシア政府に認められた。このウィットに注目したバティック展示会が中央ジャカルタのグランドインドネシア内「アルンアルン」で開催中だ。(文中に動画あり=音声なし)
夕張メロン、飛騨牛、三輪素麺……「原産地を特定する特徴と高い品質がある」と認定する「地理的表示」(英語:Geographical Indication=略称GI)に登録された日本の食品の例だ。インドネシアでは、GIは法務省が管轄する。2024年11月、チレボンのバティック技法「ウィット」(wit=「小枝」という意味)がGI登録された。バティック技法で登録されるのはウィットが7件目、かつ、最新の事例となる。
さて、そのウィットとは何か? バティックの白地の中にくっきりと染め抜かれた極細の線。細い物だと、針の太さほどしかない。これが「ウィット」と呼ばれるバティック技法。


絵の具を使って白い紙やキャンバスに絵を描く場合、細い線を描くのはそう難しくない。しかし、蝋を置いて防染した部分が白くなるバティックだと、「白地の中の細い線」を作るのは簡単ではない。「ウィット」は、針ほどの細さの線を残して、その両側を蝋で伏せるやり方を言う。
この「蝋の中の線」をチレボンほど細く作れる地域はインドネシアでもほかになく、「一体、どうやって作るの? 蝋を削るの?」と聞かれることもあるそうだ。ギリギリの細さを攻めるが、失敗すると両側の蝋がくっ付いて線が消えてしまうため、高度な技術が必要だ。チレボンはこのウィットを自在に駆使し、線を2色にするために「2回、ウィットをする」というすご技まである。


4月30日まで、中央ジャカルタのショッピングモール「グランドインドネシア」内の「アルンアルン・インドネシア」で、チレボンを中心にしたバティック展示即売会を開催中だ。ウィットを駆使したバティックを間近で見られる。


バティック展示即売会「Ragam Kain Nusantara〜Cerita Cinta Batik」
4月10〜30日、中央ジャカルタ「グランドインドネシア」(Grand Indonesia)ウエストモール3階「アルンアルン・インドネシア」(Alun Alun Indonesia)。チレボンとインドラマユなどのバティックを展示即売。