「しかし、つくづく、いい角だな。実は『イし本』に、この角について書こうかとちょっと思ったことある」と、X(ツイッター)でつぶやいておられた、「旅の指さし会話帳 インドネシア」著者の武部洋子さん。「是非、その『エモい角』について書いてください!」とお願いしました。
文と写真・武部洋子
近所のY字路が好きだ。住んでいるアパートの目の前にあって、住まいのベランダからも観察ができる。多分、横尾忠則の絵を見ているような気がするから好きなんだと思う。わさわさと葉を茂らせた大きな木があるところもいい。

この角には、いつも揚げ物屋さんと、ガドガド屋さんが店を出している。

と、いうのは実はちょっと前までの様子で、今はこの土地に最近流行りのラケットスポーツ、パデルのコートができて、角にきれいな塀が建てられてしまった。揚げ物屋さんはかろうじて塀の横にはいつくばるように営業しているが、ガドガド屋はどこかに移って行った。ごちゃごちゃっとしたY字路だったのが、なんだかしゅっとかっこいいY字路になった。

だからといって、私のY字路はもうない、などと感傷に浸る趣味は私にはない。街は生きているから面白い。Y字路は今日もかっこいい。

武部洋子(たけべ・ようこ)
ジャカルタ在住30年以上。2013年にインドネシア国籍に帰化。「旅の指さし会話帳 インドネシア」著者。
Baleo Books
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