「かわいい」トゥムトゥム、なぜ消えた? 万博インドネシアパビリオンのマスコットがデザイン修正 

「かわいい」トゥムトゥム、なぜ消えた? 万博インドネシアパビリオンのマスコットがデザイン修正 

大阪・関西万博のインドネシアパビリオンのマスコットに選ばれた「トゥムトゥム」が、開幕直前に突然、「デザイン修正」された。日本のマンガやアニメに影響を受けたダウド・ヌグラハさんが「インドネシアも『かわいい』と世界に伝えたい」と制作したマスコットだったが、「かわいい」トゥムトゥムは消えた。関係者は「パビリオンのビジュアル・エレメンツを統一するため」と説明する。

万博のインドネシア館マスコットにバティック文様キャラ 「インドネシアもかわいい」伝えたい

 4月11日、万博インドネシアパピリオンの公式インスタグラムで突然、「マスコットの『トゥムトゥム』を紹介します」と、6枚の写真が投稿された。公募コンテストで選ばれたキャラクターとはまったく異なる、木のお面と立体の像になったトゥムトゥム3種類だ。

インドネシアの「自然」を守る「トゥマラ」(万博インドネシアパビリオンのインスタグラムより)
インドネシアの「自然」を守る「トゥマラ」(万博インドネシアパビリオンのインスタグラムより)
インドネシアの「文化」を表す「トゥンバヤ」(万博インドネシアパビリオンのインスタグラムより)
インドネシアの「文化」を表す「トゥンバヤ」(万博インドネシアパビリオンのインスタグラムより)
インドネシアの「未来」を象徴する「トゥマサ」(万博インドネシアパビリオンのインスタグラムより)
インドネシアの「未来」を象徴する「トゥマサ」(万博インドネシアパビリオンのインスタグラムより)
トゥムトゥム
コンテストで選ばれた、オリジナルのトゥムトゥム
オリジナルの「トゥムトゥム」。夜空の星をモチーフにしたバティック文様「トゥルントゥム」を元にし、縁の模様はインドネシア各地の織物から取った
夜空の星を見てバティック(ろうけつ染め)にしたといわれる伝統文様「トゥルントゥム」を基にして出来たマスコット。縁の模様はインドネシア各地の織物や木彫りから取った

 突然の発表に対し、インスタグラムのコメント欄には「なんで??」「前の方が良かったし、かわいかった。日本っぽさが(万博に)合ってた」「公募で行われたコンテスト結果がなぜ変えられたのか知りたい」などと書き込まれた。

 インドネシアパビリオンのテーマは「NATURE. CULTURE. FUTURE.」。前のトゥムトゥムはそのテーマに合わせて、「自然」を表す緑、「文化」を表す赤、「未来」を表す青とわかりやすく、目や口はインドネシアパビリオンのロゴから取るという工夫がされていた。新トゥムトゥムの色は、中部ジャワのバティックに多い茶・クリーム・青色に、トゥムトゥムの表情は「ワヤン・ゴレック」(ジャワ島の人形芝居で使われる、木の人形)風にされた。

 インドネシアパビリオン関係者は「トゥムトゥムのデザイン修正は、テキスタイル文様から建築に至るまでの全てのビジュアル・エレメンツを、共通する文化的審美性の下でそろえるために行われた。新トゥムトゥムは、インドネシアのクラフトマンシップと物語性に根差し、パビリオンのメッセージを伝えている。それはすなわち、インドネシアの過去、現在、未来は、自然と文化と深く関わり合っているということだ」と説明する。

万博インドネシアパビリオンのトゥムトゥム(上原径さん撮影)
万博インドネシアパビリオンのトゥムトゥム(上原径さん撮影)
万博インドネシアパビリオンの「木のお面」風トゥムトゥム(上原径さん撮影)
壁に飾られた「木のお面」風トゥムトゥム(上原径さん撮影)

 万博を訪れた日本人客は「前のトゥムトゥムを知っているので、『あれ、こんなだったかな?』と思った。知らない人が『こんにちは、私がトゥムトゥムです』と言ってきた感じ。前のトゥムトゥムなら『そう、これこれ! インドネシアからようこそ!』と、万博会場で会えたうれしさもひとしおだったと思うが……」と語る。

 ダウドさんは「修正を聞いて最初はちょっと驚いたし、修正について疑問に感じる人もいるかもしれないが、違った形でトゥムトゥムが活躍するのを見るのはうれしい。もしかしたら、将来、もっと違う形に発展していくかも……?」と語る。「前よりもっとシンプルになったし、表情もずっとインドネシアらしくなった。新しいトゥムトゥムとも仲良くしてあげてください」と語っている。

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