8月31日(月)午後8時〜同10時(西部インドネシア時間、日本時間は同日午後10時〜0時)、YouTubeでワヤンのライブ公演が行われる。インドネシア独立記念月間の8月、「Greget Dhalang Wayang(ダラン=人形遣い=の熱気)」と題して毎日行われてきた公演の最終日だ。トリを飾るのは、当代随一とも称される、マンタップ・スダルソノさん。
マンタップさんはこの日、72歳の誕生日を迎える。演目は、マンタップさんが「短縮版」を演じるのを得意とする「ラーマーヤナ」の物語から、「クムボカルノの死」。
クムボカルノはアルンコ国王ラウォノの兄。ラウォノが、ロモの妻シントを誘拐したことから、ロモと猿の軍勢がアルンコ国に攻め入って来る。アルンコ国にあって高潔な武将クムボカルノは、ついに戦いに立ち、ロモによって手足を矢で射切られて殺される。
「ダランの熱気」のテーマは「ビモ」で、各ダランがビモの活躍する物語を演じてきた。しかし、ビモは「マハーバーラタ」の主要人物の一人で、「ラーマーヤナ」には登場しない。
当日、同時翻訳による英語字幕を担当するキャスリン・エマーソンさんによると、「マンタップさんは従来のストーリーを演じるか、(ビモの登場する)マンタップさんオリジナルの物語を展開するか、どちらか」だと言う。
日本語字幕を担当するのは岸美咲さん。マンタップさんのワヤンの見所について、「人形さばきの巧みさから、『Dhalang Setan(悪魔のダラン)』の異名を持ちます。ですので、特に戦いの場面は注目して見ていただきたいです。人形に命が吹き込まれているかのようです」と語る。
ソロでワヤンやガムランを学んでいる岸さんは「個人的には、マンタップさんのスルック(suluk)が面白いです。スルックとはダランによって歌われる朗唱で、物語の雰囲気を暗示するための歌です。フリー・リズムで、決まった拍はありません。マンタップさんはスラカルタ(ソロ)様式以外に、いろいろな地方のスルックを使います。公演を見るたびに、こんな節回しの歌があるのか……と驚かされます」と言う。
公演は、英語、日本語、インドネシア語の同時翻訳(字幕)がある。
字幕なし
https://www.youtube.com/watch?v=XU3s3IhMMt8