アートディレクターのQと「窪田君は鳥みたいだよね」という話になった。「小動物っぽい」と言われるらしいが、それよりも「鳥」というイメージではないか?

 「何の鳥だろう?」。私が想像したのは、その「シュッ」とした姿から、サギのような細い鳥。

 私よりも鳥に詳しく、「鳥変換」の得意な、「インコ侍」を本誌で連載中のこまつか苗さんに聞いてみた。すると、即、ある鳥の動画が送られて来た。

 「パッと浮かんだのが、このフウチョウのオス。黒髪に大きな丸い目、思いもよらない変身を見せてくれそうな感じ」「シックで控えめな見た目から繰り出す、あの奇想天外な求愛ダンスが彼っぽいと思っています。羽全体が目のようになります。ちなみに、窪田君は顔だけで見ると、オオタカに似てると思います」

 「極楽鳥」と通称されるフウチョウ科のアオフウチョウだった。
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 極楽鳥が生息するのは、世界中でインドネシア、パプアニューギニア、オーストラリアのみ。美しい飾り羽を持ち、実際に見てみないと想像もつかないような、独特の求愛ダンス(「ディスプレイ」と言う)をする。
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鳥のイラスト…本多トモコ
Illustration by Honda Tomoko

 
 16世紀に初めて極楽鳥がヨーロッパへもたされた時、羽毛を傷つけないように足が取ってあったので、これは足のない鳥、ずっと空中を飛び続ける楽園の鳥(Bird of Paradise)だと信じられた。私の愛読書のウォレス著『マレー諸島』では、ウォレスがマルクやパプアで極楽鳥を探すのがハイライトだ。

 ジャカルタで何度かバード・ウォッチングをご一緒させていただいた田中康久さんは、ニューギニアの山中で見たオジロオナガフウチョウを「天女の羽衣」と言った。長さ1メートルもある白くて長い尾羽をたなびかせ、緑濃いジャングルの中を飛んでいたという。私はまだ、ジャカルタの動物園と剥製でしか、極楽鳥を見たことがない。いつかパプアへ行って、野生の極楽鳥を見るのが夢だ。

 全39種もある極楽鳥のうち、アオフウチョウはニューギニア島の東部にのみ生息し、「その鮮やかな色彩と希少性で、フウチョウ科でも幻の存在」(ティム・レイマン、エドウィン・スコールズ『極楽鳥全種 世界でいちばん美しい鳥』、日経ナショナル・ジオグラフィック、2013年)とされる。国際自然保護連合(IUCN)のレッドリスト、絶滅危惧II類に指定されている。

 求愛ダンスでは、原形がわからないような、鳥とも思えない形状に変わる。この変幻ぶりは、確かに、「窪田君」かもしれない。
 
 
編集長日記

窪田君「ス・ゴ・イ」

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