日曜午前5時半、スナヤン。まだ真っ暗な中、こうこうとまぶしいライトをつけた自転車約50台が次々に道路へ繰り出して行く。スナヤン競技場を1周、2周、3周……隊列を整え、準備を整えてから、つっと、朝一番の太陽の光を受けたジャカルタの街へと飛び出した。

 明け方の街は、ほとんど車もバイクも走っていない上、この自転車集団は白バイに先導されている。交差点でも車を停めてしまうので、自転車は止まることなく、瞬きするほどの間に走り抜ける。こちらはバイクで併走しているのだが、ゆっくり走るバイクのスピードとそう変わらない速さだ。時速約30キロを自分の足でこぎ出していく。カラカラカラ……車輪の回る乾いた音。

 はっと気が付いたら、いつの間にかクラパガディンを走っていた。スントゥルの池、パサールバルのゲート、ガンビル駅舎……見慣れた景色がどんどん後ろへ流れて行くが、景色と自分との間に車という遮蔽物がないと、まったく違って見える。バラバラに記憶されていたジャカルタのさまざまな場所が、自転車での走りによって、1つにつながっていく。点が線になっていく。ジャカルタの街を縦横無尽に走り抜けるのは、日ごろの渋滞のストレスを吹き飛ばす爽快さ!

 この自転車集団、「ミラグロ(Milagro)」(www.milagro-cyclist.com)は、コンパス・グループ創業者であるヤコブ・ウタマさんの息子であり実業家のイルワン・ウタマさんとキャサリンさん夫妻らが中心になり、6年前に始めた同好会。Milagroはイタリア語で「奇跡」、「La Vida es un Milagro(Life is miracle)」から取った。

 「自転車に乗ると子供のころを思い出す。風を受け、土のにおいをかぎ、景色を眺めながら走るのが楽しい」とメンバーのヒダヤット・スさん。「ゴルフ場に行くには車に乗らないといけないが、自転車は道路に出たら、そこがもう遊び場」と岡田智之さん。

 ミラグロは月曜を除く毎日早朝、スナヤンを走り、土日はジャカルタの街、または郊外へと繰り出す。自転車隊を守るサポートバイク、サポートカー、救急車まで併走し、安全対策は万全だ。

 「バリイチ」筆者の湯浅さんら日本人の自転車好きが集まる会、「ジャカルタ自転車部」も、最近はミラグロと一緒に活動している。活動日は土日。部員募集中、参加歓迎。詳しくは同部ブログ(http://yuasa2.wix.com/jakaji)の「お問い合わせフォーム」から問い合わせを。

 

 

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