前回記事の通りズボーラ菜園を楽しんでいた6月下旬。1本の電話があり、私は地元の観光専門高校で日本語を教えることになりました。なんでや?まったくわからん!と自分でも予想だにしない展開に。

 私には教員免許もなければインドネシア国籍もありません。日本語だって日本で生まれ育った日本人だから話せるだけで、教授法も知りません。そんな私がインドネシアの公立校で働いているのです。摩訶不思議ですが、今のところお給料をいただいて働かせてもらっています。こうなったら、とことん役目を果たすしかありませんね。

 なーんて、真面目に考えていたこの仕事。これがなかなか面白いんですよ!

 どんなふうに面白いか、ちょっと覗いてくださいな。

 電話の翌週、私は校長先生と直接お会いして話す機会をいただきました。

 ……まず校門を入って真っ先に見えるのが瓦礫の山。

校門を入ってすぐの光景
校門を入ってすぐの光景

 はい、2018年のロンボク地震で大きくヒビの入った校舎を取り壊したんですね。

 瓦礫を横目に校長先生と一通り話をしたあと、校舎を見て回りました。

 校舎はプレハブの仮設校舎です。教室には最低限のものしかありません。

教室
教室

 これ、私が教えている高校の教室です。

 うわー、なんもないわー。
 っていうか、床、土!!!
 なにこれ、テンションあがるーーー!

 はい、逆境だと俄然やる気になる性質なんですよ、私。

 10月以降はコロナの状態が少し落ち着いたので対面授業になりましたが、校長先生と会った7月はまだまだコロナの真っ最中でした。

 「当面はオンライン授業になると思います。準備しておいてください」と校長先生。
 「準備とは?」
 「授業の動画です」
 「はい?!」
 「あ、来週、教員向けの動画作成セミナーがあります。参加してくださいね」

 そんなわけで、動画作成セミナーへの参加が私の初仕事でした。講義が2日、動画作成が2日のみっちりセミナーです。同僚の教師たちとはここで出会いました。いきなり自分たちの職場に外国人がやって来たにもかかわらず、皆にとても親切にしていただき、動画作成セミナーもなんとか終了。

 ちなみに、このセミナーでは動画作成法のほかにGoogleクラスルームの使い方も学びました。私はGoogle クラスルームについて何も知らなかったので「こんなことができるのか!」と興奮しました。Googleクラスルームがあると、オンライン上に教室が持てるのです。

 そして、翌週、はいドボーン!

 オンライン授業という名の荒波に落とされました。いや~、さすがはインドネシア、準備なしでもやりながら対応していく力が違いますなぁ。 

 私はあろうことに月曜日の1時間目に授業がありました。ほかの先生の様子をみながら真似しよう~などという目論見は儚く散り、いきなりトップバッターです。まじでかー。

 でも、ほとんど半泣きで土日に動画を作り上げたぞ! たった7分の動画を作るのに5時間かかりました(動画は10分程度にまとめるように指示がありました。経済的に余力のある生徒が少ないので、あまり長い動画は携帯料金の支払いを増やすだけで、見てもらえないからです)。

 でね、ついに月曜日がやって来て、担任の先生による出欠確認が始まる……予定だったのですが、なんと、授業が始められないという事態に。私の授業予定だったクラスの先生がGoogleクラスルームの使い方がわからなかったそうです。

 そりゃそうだわなー。こんなの、いきなりは無理だわなぁ。

 そんなわけで、月曜日の授業はなくなり肩透かしをくらいました。

 先生からごめんなさいの一言もなければ、生徒から「先生、どうなってるの?」の声もありません。この辺りの「流れ流されるがまま」なところは大変ロンボク的です。が、私は小さく叫びました。「こっちは5時間かけて作ったんだぞ!」。

 でも、仕方ないね。流された方がうまくいくことの多いこちらの生活。私も流されておきます。ヒュルー。

 次は、木曜日です。今度はうまくいき、私の初授業がオンラインで行われました。

オンライン授業
オンライン授業

 木曜日の授業はホテル科1年1組です。朝8時、Googleクラスルーム の「質問」機能を用いて、出席をとります。しばらくすると、ポツポツと出席者が増えてきたので、今度は「資料配布」の機能であらかじめ作っておいたビデオのURLと資料を送りました。

 初回は、入学してからほとんどのクラスメートの顔を知らないままオンライン授業を受ける生徒たちのために、まずは私の自己紹介と、ごく簡単な日本と日本語の紹介ビデオを作成して届けました。

 ビデオはYouTubeにアップロードしていたのですが、いいねボタンを押す者、コメントする者、低評価ボタンを押す者など様々でした。ってオイ、低評価ボタン押したの誰だーーー! 地味に傷つきます。ま、2秒で立ち直りますけどね。

 生徒たちがビデオを見終わった頃合いに、「課題」機能で宿題を出します。この日は「あなたが見たことのある日本のドラマ、アニメ、ゲーム、聞いたことのある日本の歌を教えてください。なければ『ない』と書いて返信してください」と、ちょっとしたアンケートをとりました。NARUTO、ドラゴンボール、ONE PIECEのほか、進撃の巨人も入っていましたよ。

 とまあ、こんなふうに書くだけなら簡単なのですが、実際には「こ、こ、このボタンを押したらいいんだろうか??」と家の中で始終ソワソワあたふたしておりました。

 こんなふうな授業を数週繰り返しましたが、一つ問題がありました。それは、オンライン授業に生徒は半分も参加していないこと。あとでわかったのですが、「半分も」いればいい方だったのです。(つづく)

岡本みどり(おかもと・みどり)
2010年から2年間、青年海外協力隊の栄養士隊員としてロンボク島の西ロンボク県へ派遣される。2012年、任期満了後に結婚。北ロンボク県へ移住し、現在に至る。2018年のロンボク地震被災後は、家族のストレスケアのため、家族中心生活へ移行。2020年7月から、地元の観光専門高校で日本語教師。

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