2025年のインドネシアの祝日が10月14日に発表されました。「ようやく来年の休暇や仕事の予定を立てられる!」という方も多いでしょう。インドネシアの祝日はどうやって決まるのか。来年の連休はどれぐらいあるのか。それぞれの祝日の意味は何なのか。簡単に解説します。
インドネシアの祝日、なぜ毎年変わるのか?
インドネシアの祝日は、宗教省、労働省、国家行政改革省の3省が協議して決定し、共同通達の形で発表されます。日本のように「毎年、祝日の日が決まっている」のではなく、毎年、日にちが変わります。なぜかと言うと、祝日のほとんどが宗教的に重要な祭日であり、その日が毎年、変わるからです。
インドネシアの人口のうち、イスラム教徒は約87%と多数を占めますが、イスラムの祭日のみがインドネシアの祝日になっているわけではありません。キリスト教、仏教、ヒンドゥー教、儒教(華人)の重要な祭日もまた、祝日に定められています。人口比率の高いイスラムの祝日が最も多く、その他はそれよりも少なくなります。
有休奨励日「チュティ・ブルサマ」って何?
インドネシアの場合、「休みのための休み」ではなく、それぞれが意味のある祭日なので、土日に当たったからと言って「振替休日」などにはなりません。その代わりに存在するのが、「準祝日」のような「有休休暇取得奨励日」(以下、「有休奨励日」。インドネシア語で「cuti bersama」)です。
政府が「この日に一斉に有給休暇を取りましょう」と推奨する日を決めて、祝日と共に発表しています。この有休奨励日によって、適宜、連休を作ったり休みを増やしたりして、調整しています。「有休奨励日」の扱いは会社によって異なり、「祝日」扱いにしている会社もあれば、「年間の有給休暇から引く」という会社もあります。
2025年は、祝日が17日、有休奨励日が10日、計27日です。
先に述べたように祝日とは意味のある祭日ですので、「この月の祝日が少ないので、ここに入れましょう」と、年間でバランス良くばらけさせることは、もちろんできません。有休奨励日も「祝日に絡めた日」となっていますので、何もない月にぽんと入れることはできません。このため、2025年も今年(2024年)同様に、祝日は上半期(1〜6月)に集中しています。

2025年連休の一覧
祝日と有休奨励日、土日を合わせて出来る、2025年の連休は下記の通りです。
1月 | 25日(土)〜29日(水) | 5連休(ムハンマド昇天祭、中国正月) |
2月 | なし | |
3・4月 | 3月28日(金)〜4月7日(月) | 11連休(ヒンドゥー新年、断食明け大祭) |
4月 | 18日(金)〜20日(日) | 3連休(聖金曜日、イースター) |
5月 | 10日(土)〜13日(火) | 4連休(仏教大祭) |
5・6月 | 29日(木)〜6月1日(日) | 4連休(キリスト昇天祭、パンチャシラの日) |
6月 | 6日(金)〜9日(月) | 4連休(犠牲祭) |
6月 | 27日(金)〜29日(日) | 3連休(イスラム新年) |
7月 | なし | |
8月 | なし | |
9月 | 5日(金)〜7日(日) | 3連休(ムハンマド生誕祭) |
10月 | なし | |
11月 | なし | |
12月 | 25日(木)〜28日(日) | 4連休(クリスマス) |

インドネシアの祝日の意味
続いて、それぞれの祝日の意味を簡単に見ておきましょう。インドネシアではただ単に「休みである」というだけでなく「何の祝日か?」というのは重要です。その宗教の信者である周りの人たちへの配慮が必要となるほか、例えば「ニュピの日にバリ島へ行くのは注意する」「ムハンマド生誕祭の前のお祭りに行ってみよう」など、日程や行動に影響するからです。下記、宗教・カテゴリーごとの、祝日の簡単な説明です。
イスラムの祭日
①ムハンマド昇天祭
2025年1月27日(月)
預言者ムハンマドが一夜のうちに空を旅してメッカからエルサレムまで行き、さらに、天の階層のうち最高となる第7層まで昇り、神に会ったことを祝う。特に行事はない。
【ムハンマド昇天祭】イスラム教のイスラミラージュって何?
https://www.midoriiro.net/isramiraj2022
②断食明け大祭(イドゥル・フィトリ=Idul Fitri、レバラン=Leberan)
2025年3月31日(月)〜4月1日(火)※予定
1カ月間、日中の飲食をしない「断食月」(ラマダン)の終わりを祝う。イスラムで最も重要な祭日となり、帰省して家族と過ごすことが多い。2025年のラマダンは、断食明け大祭の1カ月前となる2月28日〜3月1日ごろから始まる見込み。ラマダン開始と終了は、前日の夜に政府が公式発表する。
③犠牲祭(イドゥル・アドゥハ=Idul Adha)
2025年6月6日(金)※予定
牛やヤギを犠牲にして捧げ、貧しい人々に分け与える。メッカ巡礼(ハジ)の最後に行われるため、「レバラン・ハジ」とも呼ばれ、イドゥル・フィトリの次に重要な祭日となる。前日夜に政府が公式発表する。
④イスラム新年
2025年6月27日(金)
イスラム暦の新年。特に行事はない。
⑤ムハンマド生誕祭
2025年9月5日(金)
預言者ムハンマドの生誕を祝う。ジョグジャカルタ、ソロ、チレボンの王宮では、1週間前から「スカテン」と呼ばれる祭りが行われる。特別なガムランの演奏が行われ、市が立つ。
キリスト教の祭日
①聖金曜日
2025年4月18日(金)
イエス・キリストが十字架にかけられた受難日。その前の日曜が、キリストがエルサレムに入城した「枝の主日」(「棕櫚の主日」=Palm Sunday)で、ここからキリスト教徒にとって非常に重要な「聖週間」(Holy Week)が始まる。
②復活祭(イースター)
2025年4月20日(日)
十字架にかけられたイエス・キリストの復活を祝う。毎年、「春分後の最初の満月の次の日曜日」と決められている。
③キリスト昇天祭
2025年5月29日(木)
復活したイエス・キリストが地上で弟子たちと過ごした後、天に昇った日を祝う。イースターの日から数えて40日目の木曜日。
④クリスマス
2025年12月25日(木)
イエス・キリストの生誕を祝う。
儒教(華人)の祭日
①中国正月(イムレック=Imlek)
2025年1月29日(水)
旧正月、春節とも言う。華人にとって重要な祭日で、寺院にお参りをし、獅子舞やドラゴンダンスなどが行われる。春節後の最初の満月の小正月(元宵節)にも、パレードなどの行事がある。
仏教の祭日
①仏教大祭(ワイサック=Waisak)
2025年5月12日(月)
ブッダの生誕・成道・入滅を祝う大祭。インドネシアでは毎年、ボロブドゥール寺院で行事が行われる。
ヒンドゥー教の祭日
①ヒンドゥー新年(ニュピ=Nyepi)
2025年3月29日(土)
サカ暦の新年。火の使用や外出が禁じられる静寂と瞑想の日。バリ島の空港も閉鎖されるので、注意が必要。前夜は「オゴオゴ」が練り歩く。
国際的な祭日
①新年
2025年1月1日(水)
西暦の新年。年越しを花火やラッパで祝うが、新年当日は特に行事はない。
②メーデー
2025年5月1日(木)
労働者の日。デモの行われることが多い。労働争議やデモの激しかった2014年に、祝日に制定された。
インドネシア固有の記念日
①パンチャシラの日
2025年6月1日(日)
日本軍政下の1945年6月1日、スカルノ氏(後の初代大統領)が「インドネシア国家5原則=パンチャシラ」(唯一神の信仰、公正で文化的な人道主義、インドネシア統一、英知に導かれた民主主義、社会的公正)を提唱したことを記念する日。ジョコ・ウィドド大統領時代の2016年に制定された、最も新しい祝日。特に行事はない。
②独立記念日
2025年8月17日(日)
1945年8月17日、日本敗戦を受け、スカルノ氏(初代大統領)とハッタ氏(初代副大統領)がインドネシア共和国の独立を宣言したことを記念する日。独立宣言の後、再植民地化を図るオランダに対する独立戦争を戦い、1949年12月27日に正式に独立した。インドネシア全国で、国旗掲揚式、「棒登り」などの運動会などが開催される。

