2022年インドネシア流行語大賞は「G20」 コロナ禍からついに脱却

2022年インドネシア流行語大賞は「G20」 コロナ禍からついに脱却

2022-12-22

+62が主宰しツイッター投票で決める「インドネシア流行語大賞」。粘る「納豆チャレンジ」を僅差で振り切ったのは「G20」! 今年のインドネシアの世相とともに読み解きます。(文と写真・知る花)

2022年インドネシア流行語大賞の決選投票結果

大賞は「G20」 コロナ禍の終わりを象徴

インドネシア在住ではない私が挙げるのもなんだけど
「G20」
かなぁ。少なくとも日本で最もメディアに取り上げられたインドネシアネタだったので。ジョコ大統領の映像を初めて見た日本人も多いのでは?
次点でサッカー圧死事件と地震。でも縁起悪いから、やっぱG20推し。

MsFixer learning Indonesian@MsFixer_IDN

なにも思い浮かばない。この界隈だと、開催地だったせいもあり「G20 2022」かな。いまだに垂れ幕あるし。

nrs@abianseka
G20の看板が掲げられた教育省ビル
G20の看板が掲げられたジャカルタの教育文化省

 「ゲー・ドゥアプル」。今年、ものすごく頻繁に耳にした言葉ではないでしょうか。G20、グループ・トゥエンティ、「先進国に新興国を加えた主要20カ国・地域」のことです。具体的には、米国、日本などがメンバーとなっている「G7」7カ国に、ロシア、インド、インドネシアなどの13カ国・地域が加わります。

 このG20、今年の議長国はインドネシアが務めました。2021年議長国のイタリアからバトンタッチされ、昨年末に実務を開始。折しもコロナ禍からの脱却を目指す時期とタイミングを一にし、インドネシアにとっては大きな力の入った国際会議でした。

 スローガンは「Recover Together, Recover Stronger」。いつまでも続く世界的なコロナ禍からそろそろ抜け出したい、これまでの苦難をバネに、さらなる成長を遂げたい、という強い願いが感じられます。

 真っ赤な背景に紫の山がそびえるキービジュアル、死と再生を象徴するかのような、ワヤンのグヌンガンをモチーフにしたロゴが印象的でした。垂れ幕やロゴが空港や政府官庁など至る所に張り出され、あちこちで目にした人も多いかと思います。

 このG20、外交の晴れ舞台として「シャンシャン会議」で終わるかと思いきや、今年2月にロシアがウクライナを侵攻するという世界的危機が勃発しました。必然的にG20も大きな注目を集めることになりました。「ロシアをG20に招待するべきではない」という西側諸国の圧力もあり、インドネシアは難しい舵取りを迫られますが、お得意の「バランス外交」で乗り切りました。

 華やかな外交の場での自国や自国産品アピールもインドネシアの得意とするところ。インドネシア政府は「UMKM(Usaha Mikro Kecil Menengah=中小企業)」推しなので、UMKMをG20公式グッズに起用したほか、「G20お土産詰め合わせ袋」にも、東ジャワで作られた木製バンドの腕時計やアチェのコスメ製品など20点が選ばれました。

 G20はバリを中心に行われ、ハイライトとなる首脳会議もバリで開催。「インドネシアにはバリがある」強みを改めて感じさせました。バリは世界的な観光地であり、ビジネスでも外交でも、国際会議はお手の物。首脳陣もバリ滞在を楽しんだようです。フランスのマクロン大統領は、晩餐会から戻る途中で車から降り、道のぶらぶら歩きを楽しんだり、子供を抱き上げたりしている姿が話題を呼びました。マクロン大統領は子供のころに、両親に連れられてバリを訪れていたとのことです。

 G20は無事に閉幕し、「大成功」「各国首脳が賞賛」といった「自画自賛」がインドネシア・メディアの見出しに踊りました。

 +62で「インドネシア流行語大賞」を始めた2020年、そして第2回の2021年は共に、ノミネートはコロナ関連一色。大賞ももちろん、コロナ関連の「Di Rumah Aja」(2020年)、「PeduliLindungi」(2021年)が選ばれました。今年になって初めて、コロナ関連のノミネートはほぼゼロに。大賞「G20」は、長く続いたコロナ禍の終わりを象徴するかのようなキーワードであると言えるでしょう。

次点「納豆チャレンジ」 TikTokの影響力

 次点は「Natto Challenge」(納豆チャレンジ)です。決選投票では「G20」と抜きつ抜かれつの接戦を繰り広げました。僅差で敗れたものの、インドネシア在留邦人にとって今年の重大な関心事であったことがうかがえます。これもまた、昨年や一昨年と比べると「世の中が平和になった」と感じます。

私たちの生活が一時期でも苦しめられたことを忘れてはいけない。

がじん@ジャカルタにいた人@nesijin

納豆が無い!
納豆チャレンジ、、とにかく納豆が、、関連で一票お願い致します。

niko niko😊@n1_wnl

 「納豆チャレンジ」とは、今年7月ごろにインドネシア人の間で流行った遊びです。「初めて納豆を食べてみる」体験を「納豆チャレンジ」と称し、その動画をTikTokに投稿。それを見た人が我も我もと納豆を買って、次々に動画を投稿しました。そのとばっちりを受けたのがインドネシア在留邦人で、「スーパーで納豆が売り切れ」「納豆が買えない」という事態になりました。

 この「納豆チャレンジ」のTikTok動画は不快なので、見るのはあまりお薦めしません。大抵の人は、納豆を口にして「うえっ」「おえっ」とやっています。口に入れてから「泣いちゃう」と言って、吐き出す人も。食べ方はめちゃくちゃで、オンラインで取り寄せた納豆を凍ったまま、無理矢理に食べている人もいました。

 「納豆が嫌い」という人の気持ちもわかりますが、その食べ方を知ろうともせずに、ただの「面白いコンテンツ」として使うためだけに食品を消費するのはどうかと思います。

 ただ、この納豆騒動でわかったのは、TikTokでこのぐらい話題になっただけで、いつも安定供給されているスーパーの納豆が長期間なくなる、という、ちょっと怖いぐらいの影響力です。情報としてではなく、ただの娯楽として使われている今の時代のSNS、TikTokらしさも感じられました。

 TikTokネタでノミネートされたのは、もう一つあります。

“Kamu nanya? Kamu bertanya-tanya??”

最近何か質問する度に、うざいくらいにこう切り返される。
TikTokでバズってるらしい。

Yᴜᴛᴀʀᴏ@yutaroishii

Kamu nanya?
Kamu bertanya-tanya?

夫や夫の友達がやたら使ってる😅
一度聞くとなかなか頭から離れない笑

marina🇮🇩🇯🇵@maaaaaaari_u

 これは、映画「ディラン」で主演した人気俳優、イクバル・ラマダンのものまねです。その特徴的な声としゃべり方を、アリフ・チェプメック(Alif Cepmek)さんがまねして動画をアップしたところ、バズりました。

 イクバル・ラマダンは大人気俳優ながらもテレビに出ることはほとんどなく、ある意味、孤高の存在です。そのイクバルを「イジった」「ネタにした」所がウケたようです。YUTAROさんやmarinaさんが指摘している通り、インドネシア人がよく口にしています。

@alif_cepmek

Membalas @elangadip follow 800K dikit lagi Join Live juga ya skrng #alif_fypdong #saddmikey77

♬ suara asli – Alif_Tiktok🔹 – ALIF_CEPMEK. 🔹

まだまだ続く、国家警察の大事件

 決戦投票の3位は「サンボ」でした。「ヨシュア」「Brigadir J(J先任曹長)」なども関連ワードとなります。

ヨシュアを銃撃するE二等巡査(警察の再現動画より)

Sambo

せせせいや@honkytonks99

ferdysambo #brigadiryosua

IBU CHANDRA@ATSUKO97533517

やはり「kasus Joshua」です。

夫婦揃って一時は日本から毎晩kompasを見ていたくらいインパクトが強かったです。
事件の中心がkasus Sambo→kasus Putriと変化していくのも興味深く、plus62の特集記事もインドネシア社会の側面が垣間見える素晴らしい内容でした。

妖怪シンガプーラさんは油断しない@neko1taurosu334

 これは、国家警察高官のサンボが、部下のヨシュアを南ジャカルタの公邸で殺害した事件です。衝撃的な事件と捜査の進展に、国民の目は釘付けとなりました。2、3カ月もの間、テレビのニュースはほぼサンボ一色となるぐらい、高い関心を集めました。この事件について、詳しくは「Jの悲劇〜警察の闇」、「続きはどうなった? Jの悲劇〜警察の闇」をご覧ください。

 現在、サンボや妻のプトリら事件に関わった人たちは南ジャカルタ地裁に起訴され、公判中です。この裁判でもまた、いろいろなドラマが繰り広げられています。「殺害の動機」という最も肝心な点はまだ見えてきませんが、その他の点で、明らかになっている事柄もあります。「裁判ハイライト」は、またまとめて、お届けします。

チタヤム・ファッション・ウイーク

路上に咲いた若者パワー

 コロナ禍の終わりと相まって出て来た社会現象としては、「チタヤム・ファッション・ウイーク」があります。

一瞬の輝きだったような気もしますが、一時期Citayam Fashion WeekはよくTwitterで見た印象があります。

祐輔@jkt_chuotto

業界関連ではあるのでCitayam Fashion weekと言いたいのですが、やはりG20ですかね・・

Yoshio Yokobori@yoshioyokobori

「流行語」って主役はできごと自体ではなくそれに伴う「ことば」なので、うーん。Citayam Fashion Weekかな。あと、外しにいきますが、2022年のSNS流行語だとUstaz Yusuf Mansurの発した「dari mana duitnya」です。たぶん、これが一番いじり倒されてました(笑

Y0s@Y0s_tan

 「チタヤム・ファッション・ウイーク」とは、中央ジャカルタ「ドゥク・アタス」駅近くにある横断歩道で繰り広げられた若者の「ファッションショー」です。ジャカルタ近郊の若者パワーを見せ付ける、長く続いたコロナ禍の暗いムードを払拭するような明るい話題でした。詳しくは、こちらの解説記事(「チタヤム・ファッション・ウイークって何?」)をご覧ください。残念ながら、「一瞬の輝き」という祐輔さんの言葉の通りでしたが、また別の場面で、若者のエネルギーの発露を見られることと思います。

チタヤム・ファッション・ウイーク

 その他のノミネートは下記の通りです。

sepakbola スパックボーラ 

サッカー(マランのサッカー場での圧死事件、W杯など)

正直迷いましたが、色んな意味でこれかなと

エイミー林 / Amy Hayashi 語学講師・フリーランス通訳者(英語・尼語)@AmyHayashi_id

Jakarta International Stadium ジャカルタ・インターナショナル・スタジアム

ジャカルタ国際競技場(2022年7月にオープン、ジャカルタのサッカーチーム「プルシジャ」の新しいホーム)

KKN di Desa Penari カーカーエヌ・ディ・デサ・プナリ

「KKN〜踊り子の村で」(大ヒットしたホラー映画のタイトル)

Ivanna イファンナ

「イファンナ」(大ヒットしたホラー映画のタイトル)

ほんと、ホラー映画大盛況でしたよね

ブカツのKOR@tohelonapopaif

来年もホラー尽くしのインドネシア映画界😅 KKN di Desa Penari のロングバージョンも公開されるし、全部観て論ずることが出来ないのが残念です😆

अह्मद् तोदोरोकि@ahmadhito

Bosan dengan Covid19 ボサン・ドゥガン・コフィッド・スンビランブラス

コロナには飽きた

引き籠もりがちでなにが流行っているのかもわからないが、昨年の流れからで今年は
“Bosan dengan Covid19”
をよく目にした。しかしこの界隈では”Banjir”か。

例年この時期は酷いことになるけど今年は火山の噴火と重なって被害が大きい。
流行とは言えないか・・。

S.Utsuki@Sat_Utsuki

Ibu kota Nusantara イブ・コタ・ヌサンタラ

ヌサンタラ(カリマンタンに移転予定の新首都の名前)

今年新しい首都が命名されました。

Dave 🇮🇩@Dave460305

macet マチェット

渋滞

渋滞再開、「macet」!

Ikeda Hanako@jakartahanachan

参照

Produk UKM berkesempatan jadi suvenir hingga mejeng di perhelatan G20 sampai aca…
finance.detik.com
Natto challenge mengharuskan seseorang menyantap makanan Jepang, natto. Meski ta…
www.kompas.com
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