中部スラウェシの東端にある島々(バンガイ諸島)へ旅行に行った時、そこで出会った料理上手のお母さんに土地の料理を教わりました。口頭で説明してくれたのが、アボン・イカン(Abon Ikan)でした。
香辛料を使った魚のフレーク。魚のぎゅっとしたうまみに、香辛料のアクセント、全体をまとめるライムの酸味で、ご飯が進むのです。
地域差は若干ありますが、スラウェシ沿岸部を含め、新鮮な魚が捕れる地域ではよく見かける保存食です。お母さんは、手ごろな魚が手に入ったらまとめて作り、遠方で下宿している息子に送ってあげるのだと話していました。
その作り方を参考に、もっと簡単に作れるようにと自分で考えたのが、今回ご紹介するレシピです。
まず、魚。これは、手に入りやすいサバ缶を使ってしまいます。骨まで軟らかいので、小骨の取り残しなどの心配も要りません。鮮魚を使う場合は、マグロ(Tongkol)やカツオ(Cakalang)などを蒸してから、骨と、気になる場合は血合いの部分を取り除いてください。
ココナッツミルクも、生のココナッツから搾りましたが、市販のパックの物でも構いません。香辛料はフードプロセッサーでペースト状にしてしまいます。
レシピの辛さはマイルドです。トウガラシの量はお好みで調整してください。
白いご飯のお供に最適なだけでなく、野菜炒めなどを作る際に適量を加えると、良い風味が出て、食が進みます。
次回は、このアボン・イカンを使った島のおやつをご紹介します。
材料
サバ缶(正味120g) 2缶
A
赤トウガラシ(細くて縮れ気味の物) cabai merah keriting 3本
シャロット(赤小玉ネギ) bawang merah 5個
ニンンク bawang putih 2片
レモングラス(内側の、筋が硬くない部分) serei 1本分
コリアンダーシード ketumbar 小さじ1/2
ショウガ jahe 約2センチ
ガランガル lengkuas 約2センチ
ターメリック・パウダー bubuk kunyit 小さじ1/2
ココナッツミルク santan 100cc(「準備」を参照)
炒め油 minyak goreng 大さじ2
ライム果汁 sari jeruk nipis 大さじ2
塩 garam 適量
準備
- サバ缶を開け、水気を切っておく。
- ココナッツを搾る。すりおろしたココナッツ約半個分(約200g)に約80ccの水を注ぎ、よく揉み出してから搾った後、漉してカスを取り除く。こうすると、約100ccのココナッツミルクになる。
作り方
- Aの材料を適当な大きさに切ってフードプロセッサーに入れ、ペースト状にする(フードプロセッサーが回りにくい場合は少量の水を加える)。
- フライパンに油を熱し、1のペーストと、それぞれ皮をむいてからたたいてつぶしたショウガとガランガル、それにターメリック・パウダーを入れて、香り良く炒める。
- 香りが立ったところで、ココナッツミルクと水気を切ったサバを加え、木べらなどでほぐしながらフレーク状に炒める。
- 水分がなくなったら、ショウガとガランガルを取り出し、ライム果汁と塩適量を加えて味を整える。全体がホロホロになったら火を止め、粗熱を取って、出来上がり。
西宮奈央(にしみや・なお)
イギリス出身の写真家の夫とバンドン在住。ご飯は食べるのも作るのも大好き。インドネシアで簡単に作れる料理をご紹介します。
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